100文字以内で作られた問題文を読めば、答えになっている医療用語がサクッと覚えられる、学べる「クイズ100文字」。今回の問題文は……
Quiz 037
PCIのもっともスタンダードな治療法である風船拡張。解離を作り、血管を引き伸ばすことによって狭窄を拡張します。でも、解離を作って血管内の内膜がぐちゃぐちゃになったり、血管そのものをグイーンと引き伸ばしたら、この後どういうことが起こり得ると思いますか?
Answer 037
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再狭窄
PCIの最大の天敵は再狭窄。PCIでどのような治療をしても、再狭窄の問題はつきものです。そのなかでも、シンプルにバルーンによって拡張しただけだと再狭窄のリスクは高くなってしまいます。
その要因としては、解離を起こし、血管を引き伸ばし、血管径を拡大することがバルーンによる拡大のメカニズムということも一つあるのかなって思います。解離を起こせば、その解離を修復しようと新しい組織(新生内膜)が形成されたり、血管そのものを引き伸ばせばまた元に戻ってしまうということ(リコイル)が起こりえます。
そうなると、せっかく治療した部分が再び狭窄(再狭窄)してしまいます。そんなことが起こり得るので、ステントっていうものが登場したんですね。解離を押さえつけ、血管が元に戻ろうとするのを支えることによって再狭窄を防止しているということです。
図:『心カテのはなしをしましょうか』P101より
野崎暢仁
新生会総合病院 高の原中央病院
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。