100文字以内で作られた問題文を読めば、答えになっている医療用語がサクッと覚えられる、学べる「クイズ100文字」。今回の問題文は……

Quiz 048

PCIのとき、なんだか治療をすればするほど血栓ができ、冠血流が悪くなってきた。体外にデバイスを取り出すとデバイスに血栓が付いている。さらにはカテーテルから血栓が湧き出てくる。これはいったい何が起こっているのでしょうか?




Answer 048










HIT(ヒット)

HIT(heparin-induced thrombocytopenia:ヘパリン起因性血小板減少症)は、本来ならPCI中に血栓を作らないように投与する抗凝固薬であるヘパリンを投与することによって、逆に血栓が形成される、血栓が湧き出てくるものです。

HITが起こった、またはHITかな? とHITを疑うような状況になった場合、すぐに対処しなければ全身の血液が血栓化し重篤な状態になってしまいます。いち早くHITに気づくためには、つねにHITの疑いをもち、造影を見ることや体外に取り出されたデバイスを見て血栓が付着していないかを確認することが非常に重要です。ヘパリンを投与している状況にも関わらず、少しでも血栓を見つけた場合には、まずはチーム内にて情報共有することが重要です。

HITが起こった、またはHITを疑う状況になった場合は、即時にヘパリンの投与を中止します。直接投与は当然のことですが、PCI中はさまざまなものにヘパリンが使われていると思います。例えば、造影ラインにはヘパ生(ヘパリン加生理食塩液)が使われていると思います。また、デバイスを洗うためのバットにもヘパリンは使われていますし、ドレープや清潔者の手袋・ガウンなどにもヘパ生が染み込んでいるかと思います。

これらすべての使用を中止します。その代わりとして抗トロンビン薬(アルガトロバン)を使用します。抗トロンビン薬の使用方法は各施設であらかじめ決めておき、カテ室の中にまとめて掲示して迅速に対応できるようにしておく必要があります。



図:『心カテのはなしをしましょうか』P124より





野崎暢仁

新生会総合病院 高の原中央病院
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人

メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。

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