100文字以内で作られた問題文を読めば、答えになっている医療用語がサクッと覚えられる、学べる「クイズ100文字」。今回の問題文は……
Quiz 052
右冠動脈造影のためにカテーテルを挿入します。カテーテルが挿入できたか確認のため少量の造影剤を投与したところ、右冠動脈全体が造影されず、画面上方に向かう小さな枝が映し出されました。その直後、心室細動が発生。さて、いったい何が起こったのでしょうか?
Answer 052
●
●
●
●
▼
円錐枝に血液が流れなくなったから
円錐枝(conus branch:コーヌスブランチ)は右冠動脈入口付近から派出している右冠動脈の枝で、右室流出路付近を栄養しています。右室流出路付近には心室細動のトリガーがあるといわれていて、なんらかの刺激が加わると心室細動が発生する場合があります。
今回、カテーテルが右冠動脈の本幹のほうを向いて入っておらず、カテーテルの先端が少し上方に向いたことにより、円錐枝にすっぽりと入り込んでしまい血流を妨げてしまいました。そのうえで造影剤も投与したことにより右室流出路に血液が流れなくなって虚血となり、これが刺激となって心室細動が発生してしまったのです。
冠動脈造影も、造影剤を投与したり、カテーテルを挿入したり、と侵襲を伴います。それにより起こり得る合併症もあるということを心して挑む必要がありますね。
図:『心カテのはなしをしましょうか』P129より
野崎暢仁
新生会総合病院 高の原中央病院
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。
▼野崎暢仁先生のセミナー




▼野崎暢仁先生の書籍

