看護師になると決めた時から救急看護認定看護師を志し、2005年に亀田総合病院に入職。2011年に日本看護協会看護研修学校救急看護認定看護師課程へ入学し、翌年救急看護認定看護師資格を取得。2014年より現職。地域に目を向けた救急看護を目標に院内外で精力的に活動を行っている。
(2020年執筆時点の内容です)
日々の看護を楽しむコツをさがそう
臨床では、感情的にならないようにしています。どんなに忙しくても、疲れていても、患者さんにはもちろん、スタッフの前でもそれを表に出さないように努め、常に冷静でいることを心がけています。感情的になっても何も解決しませんし、思考力や判断力、集中力などさまざまなものが鈍ると考えるからです。実際、インシデントなどは怒りや焦りなどの心のザワツキが原因になっていることが多くあります。確実で安全な看護を提供するためには、感情をセルフコントロールして冷静でポジティブな気持ちを保つことが最善であると思います。
そしてなにより、看護を楽しむことです。私は、患者さんに介入する時は、自分は探偵だと思うようにしています(笑)。最近流行りの脳トレや謎解きに取り組む気持ちに近いかもしれません。五感を使って観察し、さまざまなことに思考を巡らせ、自身の考えに矛盾がないか自問自答し、介入に反映しています。そして、自身のアセスメントや提供した看護に問題がなかったか、どのような結果を得られたのかを必ず確認するようにしています。
何気ない日々の看護業務も、視点を変えれば多くの場面でモチベーション向上につながります。自身の看護観を大切にしつつ、日々の看護を楽しむコツを見つけてみてください。
現場を意識しつつ視野をひろげよう
偉そうに言えるほど、研究をしているとは言えませんが……、実践報告や量的研究を中心に取り組み、学会活動につなげるように努めています。臨床で感じたジレンマや、実践した看護の妥当性の検討が主なテーマです。一方、新しい知見を得るために積極的に原著論文を中心に目を通しています。文献を読む際には、すべてを鵜呑みにせずにクリティークし、どのような場面で活用できるかなどをイメージするようにしています。
学習に関しては、看護師として働き始めてから現在まで、1日1時間は自分のための学習時間を設けています。きっかけは、当時の上司からのアドバイスで、当初は看護に関することが中心でしたが、徐々に医学全般についても学習し、現在ではビジネス書なども活用して思考法や社会学、心理学などにも取り組んでいます。
多種多様な役割を担う看護師は、さまざまな知識が必要になると思います。看護だけに捉われずにいろいろな知識を獲得できるように努力してみてください。きっと、今までにはなかった視点で患者さんをより深くみることができるようになると思いますよ。
積極的に相互に学びあおう
指導では、対象者自ら答えを導き出せるようにすることが重要だと考えています。一方的に伝えても、その内容は数パーセントしか記憶に残りません。自分の力で答えを導き出した方が何倍も学習効果があります。なので、自分で課題を見つけ、持っている知識を統合して答えを導き出してもらえるように心がけています。インストラクションというよりエスコートするイメージです。この指導方法では、ショートカンファレンスをしている形になるため、私も新たな視点を得られ、相互に学びを深めることができていると実感しています。
院内での多職種協働はもちろんですが、他施設の医師や看護師、プレホスピタルの方々、また、幸いにも行政の方々と協働する機会にも恵まれています。正直、看護の世界は広いようで狭い世界……。私たち看護師の常識は、ほかの方々からしたら非常識な場合もあります。活動のフィールドをひろげると新たな発見や学びが多く得られると思います。
他者指導とか苦手だし……。他職種との協働とかちょっと怖い……。なんて思わず、積極的に挑戦してみてください。気づけばそれが楽しくなり、いつの間にかあなたの評価を上げてくれる強みになっていると思います。
スタッフとのレクリエーション時の写真。同じ職場で働く医師や看護師はもちろん、さまざまな職種のスタッフと公私ともにコミュニケーションをとり、より働きやすく、患者さんにとってもより良い医療・看護を提供できるように心がけています。
本コラムは『Emer-Log(エマログ)』の2020年年間購読限定の特典として刊行された『デキる救急医・救急看護師の3つの習慣』からの再掲載です。
チームで読める、救急看護の専門誌。二次救急や救命救急センターなど、さまざまな場での患者さんの評価、初療対応を取り上げます。救急看護を深めたいあなたへ、「自己学習」と「後輩指導」に役立つプラクティカルな知識をお届けします。
本誌:隔月刊/増刊:年2冊刊行
最新号 2023年2号
【特集】エビデンスがわかる!後輩指導に役立つ! 厳選 救急ガイドライン集
1 JRC蘇生ガイドライン2020:一次救命処置(BLS)
2 JRC蘇生ガイドライン2020:二次救命処置(ALS)
3 JRC蘇生ガイドライン2020:小児の蘇生(PLS)
4 JRC蘇生ガイドライン2020:急性冠症候群(ACS)
5 JRC蘇生ガイドライン2020:脳神経蘇生(NR)
6 外傷病院前救護ガイドライン(JPTEC)
7 外傷初期診療ガイドライン(JATEC)
8 外傷初期看護ガイドライン(JNTEC)
9 頭部外傷治療・管理のガイドライン第4版
10 急性腹症診療ガイドライン2015
11 急性膵炎診療ガイドライン2021
12 急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018
13 急性中毒標準診療ガイド
14 日本版敗血症診療ガイドライン2020
15 ①熱中症診療ガイドライン2015
②新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(第2版)[医療従事者向け]
16 日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン(J-PADガイドライン)
17 急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
18 2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン
19 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版)
20 ARDS診療ガイドライン2021
21 成人肺炎診療ガイドライン2017
22 脳卒中治療ガイドライン2021
23 救急・集中ケアにおける終末期看護プラクティスガイド
刊行:2023年3月
ISBN:978-4-8404-7972-1
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