2023年5月に『マンガと図説で見てわかるICF(国際生活機能分類)の使いかた』(詳しくはこちら)が発売されました。本書は、回復期リハ領域で患者さんの全体像を把握し、多職種チームで情報を共有するための必須のツールとなっているICFの活用実例を、マンガを使ってわかりやすく解説する一冊です。今回は本書に収載されている第1章「ICFのはじまりと変遷~なぜICF?~」を全文公開します。

●執筆
及川惠美子
一般社団法人日本ICF協会 代表理事



ICDの限界~障害に関する新たな分類「ICIDH(国際障害分類)」 誕生

数世紀に渡る「人権」に対する意識は、「障害をもつさまざまな人々」の人権尊重という新たな問題意識に変わり、WHOも「障害」という問題に向き合う時代に入りましたが、ICDでは「障害」をとらえきれないという限界を認識します。

1972年、障害に関する「国際障害分類」の制定作業を開始し、そして1980年に「ICIDH(国際障害分類)」が誕生します。「ICDの補助分類」という形でしたが、国連機関が発表した障害に関する初めての国際分類で、障害を構造的に把握する枠組みを示した画期的なものでした。

ICIDH のモデル図

ICIDHの最大の特徴は、「障害」というものを、①機能・形態障害、②能力障害、③社会的不利――という3つのレベルに分けて、「障害の階層性」を示した点です。どういうことかというと、まず「変調・疾患」が原因となって「機能・形態」に障害が起こり、それから「能力障害」が生じ、それが「社会的不利」を起こすという「医学モデル」としてのとらえ方でした。

書籍紹介

マンガと図説で見てわかるICF(国際生活機能分類)の使いかた

マンガと図説で見てわかるICF(国際生活機能分類)の使いかた
回復期リハスタッフの“わからない”が“わかる”に変わる!
「生きること」へのリハビリテーションに向けて


アセスメントとプランの視点が身につく!
ICF(国際生活機能分類)は、回復期リハ領域で患者さんの全体像を把握し、多職種チームで情報を共有するための必須のツールとなっている。しかし、完全に使いこなせているかと訊かれるといまひとつ自信が持てない…。そんなICF活用の実例を、マンガを使ってわかりやすく解説する。
▶本書の書評を読む

発行:2023年5月
サイズ:B5判148頁
価格:3.630円(税込)
ISBN:978-4-8404-8176-2
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<プログラム>
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■リハビリテーションとICFの関係
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■わかったようで分かっていない『参加』の大切さ
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日時:2022年8月29日(月)10時30分~12時
申し込み締切:2022年8月23日(水)
※予定数に達し次第 受付終了となります
対象:医療従事者
受講料:無料

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