この連載は、なかなか総合的に語られることが少ないIVR看護について、標準看護計画にあてはめてみることで、その価値と魅力を再考し、「やっぱりIVR看護って最高!」と読者といっしょにサイ発見するための試みです。




皆さん、こんにちは。

私は循環器看護の領域でカテーテル検査・治療(以下IVR)に出会いました。以降、さまざまな学会を通じて、IVRに携わる熱意のある人々と交流を深める機会に恵まれ、まだまだ歴史の浅いIVR看護を発展させたいと願う仲間がたくさんいることを知りました。

そこで私は、IVR看護の質を向上させ定着させるためには、看護実践の可視化、つまり「標準看護計画に基づく実践と継続看護に活用できるIVR看護の実践記録の充実」が不可欠だと考えるようになりました。

日本看護協会は『看護業務基準』のなかで「看護実践の一連の過程を記録する」とし、また『看護記録に関する指針』のなかで「あらゆる場で看護実践を行うすべての看護職の看護実践の一連の過程を記録したもの」と示しています。そして、その目的を「①看護実践を証明する、②看護実践の継続性と一貫性を担保する、③看護実践の評価および質の向上を図る」としています(図1)。


図1 日本看護協会における看護記録の位置づけ

私たちはIVRを受ける患者に対し、さまざまな看護実践をしています。事前に情報収集を行い、患者の病状を把握し、腎機能やアレルギー歴・治療内容などから合併症を予測し、備えます。長時間の同一体位による苦痛に配慮し、安楽な体位の工夫をします。肌の露出を最小限にし、室温を調整します。局所圧迫を避け、皮膚保護剤などを用いて皮膚障害を予防します。患者の年齢、理解度、精神状態に配慮し、オリエンテーションや声かけを行い、不慣れな環境やIVRに対する不安の緩和に努めています。入退室時には転倒・転落防止対策を行っています。

これほどたくさんの看護実践が行われていますが、多くの施設でカテ室の看護記録は「治療の流れと患者のバイタルサイン」が中心の経時記録となっており、実践した看護が見えないと悩まれている声を聞きます。当院でも、実際は行っているのに看護記録に記載がない項目が多くあり、同じような課題を抱えています(図2)。


図2 当院におけるカテ中の看護実践と看護記録の実際

▶IVR看護記録の課題:後編~看護実践の見える記録:標準看護計画~に続く

【参考文献】
1)公益社団法人日本看護協会.看護記録に関する指針.平成30年5月.
https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/nursing_record.pdf




村瀬早苗
華岡青洲記念病院
クリティカルケア認定看護師/看護副部長

IVR看護好きな仲間とIVR看護について語り合う時間が大好きです。言葉にすると漠然とした思いが具体的になって、何でもできそうな気持ちになるからです。「IVR看護の世界にもっと標準看護計画を広めたい」と思ったのも仲間との会話からでした。本連載『IVR看護サイコウ』を仲間と語り合うきっかけにしていただけると幸いです。

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