この連載は、なかなか総合的に語られることが少ないIVR看護について、標準看護計画にあてはめてみることで、その価値と魅力を再考(・・)し、「やっぱりIVR看護って最高(・・)!」と読者といっしょにサイ発見するための試みです。




IVRはX線透視やCTなどの画像でからだの中を見ながらカテーテルや針を使って行う治療です。低侵襲でからだへの負担が少なく治療を受けられますが、同時に被ばくに伴う有害な健康影響をもたらす可能性があります。

人体に対する放射線の影響は、被ばくした本人に現れる身体的影響(急性障害および晩発性障害)と生殖腺細胞の被ばくにより子どもや孫に現れる遺伝的影響に分けられます。また被ばく線量とともに障害の程度(重症度)が増大する「確定的影響(組織反応)」と、被ばく線量に障害の発生率が比例する「確率的影響」とに区別されます。

被ばくによる皮膚への影響は「確定的影響」で考えます。「確定的影響」は被ばくをした場合、線量の増加とともに症状が発症する人の割合(頻度)が増加し、症状も重くなります。皮膚への影響に対するしきい線量(ある一定の線量以上で影響がでて、それ以下では影響が出にくい境界の値)、発症までの期間を(表1)に示します。

表1


▶「#009|皮膚統合性障害のリスク状態[放射線被ばく]:後編」を読む(2024年8月7日配信予定)

【参考文献】
1)日本アイソトープ協会.IVRにおける放射線傷害の回避.http://www.icrp.org/docs/P85_Japanese.pdf(2024/7/22閲覧)
2)日本アイソトープ協会編集.改訂版 看護と放射線―放射線を正しく理解した看護職であるために. 東京,丸善出版,2021,196p.
3)日本インターベンショナルラジオロジー学会.IVRに伴う放射線皮膚障害の防止に関するガイドライン.https://www.jsir.or.jp/wp-content/uploads/2015/03/ivr_hifusyogai_GL.pdf(2024/7/22閲覧)
4)日本循環器学会.2021年改訂版 循環器診療における放射線被ばくに関するガイドライン.https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/03/JCS2021_Kozuma.pdf(2024/7/22閲覧)




増島ゆかり
日本医科大学武蔵小杉病院/看護部 放射線室/放射線看護専門看護師、INE(インターベンションエキスパートナース)
思い返せばIVRに携わるようになってはや10年。何年たっても半人前ですが、やっぱり“IVR看護サイコウ”と思う今日この頃です。もっともっと多くの方々に“IVR看護”の醍醐味を知ってもらいたいと思っています。

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