この連載は、なかなか総合的に語られることが少ないIVR看護について、標準看護計画にあてはめてみることで、その価値と魅力を再考(・・)し、「やっぱりIVR看護って最高(・・)!」と読者といっしょにサイ発見するための試みです。




MDRPU(医療関連機器圧迫褥瘡:Medical Device Rerated Pressure Ulcer)とは、医療関連機器による圧迫で生じる皮膚ないし下床の組織損傷と定義されています。

血管造影室では、多くの機器を装着するためMDRPU発生のリスクが多く、そのためナースは、MDRPUのリスクの評価・予防・管理を行う必要があります。装着される多くの医療機器は、サイズが標準化されバリエーションが少ないため、患者の体型に合わせることが困難なケースがあります。また、患者の多くは高齢者で複数の基礎疾患をもっているため、皮膚が脆弱です。さらに、重症患者は循環不全を伴っており、脳卒中患者は感覚障害を伴っていることもあります。検査・治療中は患者の体動が制限され、看護師は思うようにその観察や除圧ができません。そのうえ、IVRでは抗凝固薬を使用するため、長時間の圧迫止血を余儀なくされることもあります。

このように血管造影室はMDRPU発生要因が複数存在するため、発生リスクが非常に高い環境であると言えます。

MDRPUの発生要因としては、機器要因・個体要因・ケア要因の3つに分類されます。
1.機器要因:サイズ、形状の不一致
2.個体要因:皮膚の非薄化・循環不全・機器装着部の湿潤・機器装着部の軟骨、骨、関節等の突出・低栄養・感覚、知覚、認知の低下
3.ケア要因:外力低減ケアの不足





▶「#011|皮膚統合性障害のリスク状態[MDRPU]:後編」を読む(2024年9月24日配信予定)

【参考文献】
1)日本褥瘡学会編.ベストプラクティス医療関連機器圧迫創傷の予防と管理.東京,照林社,2016,120p.
2)一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会編.スキンケアガイドブック.東京,照林社,2017,320p.
3)今中与主安.メディカテmini.糖尿病ケア.2021,18(6),573.




馬場希里
神経内科病棟・循環器病棟を経験後、アンギオ室・内視鏡室へ移動しました。今の部署は14年目になります。「アンギオ室にも看護はしっかりある!」を信念にこれからもより良いカテ室看護を提供していきたいと思います。

今中与主安
ICU・CCU・HCU、救急外来を経て、アンギオ室・内視鏡へ配属。現在は、アンギオ室・内視鏡室・救急外来の三部門で勤務してます。2023年に大学院を修了し、「看護にエビデンスを」をモットーに、日々、看護のなぜ? どうして? を探しています。

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