この連載は、なかなか総合的に語られることが少ないIVR看護について、標準看護計画にあてはめてみることで、その価値と魅力を再考(・・)し、「やっぱりIVR看護って最高(・・)!」と読者といっしょにサイ発見するための試みです。
IVR室において検査や治療を実施するうえで、血管造影はなくてはならない存在です。C T室で使用されるヨード造影剤と同じ種類の造影剤を、血管造影室でも使用します。腎臓の機能が正常であれば、造影剤は2時間後には約60%、24時間後にはすべての造影剤が尿として体外に排泄されます。しかし、必ずしも安全な薬液とは限らず、一定数、何らかの反応を呈する場合があります。
私の担当回では、「有害反応を引き起こす危険因子」と「起こり得る合併症」などについて、前編・後編に分けて述べていきます。
さて、本題に入る前に…… ヨード造影剤使用の禁忌を確認しましょう。
造影剤の添付文書によると、以下の2項目があげられます。
①ヨードまたはヨード造影剤に過敏症の既往歴のある患者さん(ショック等の重篤な副作用があらわれることがある)
②重篤な甲状腺疾患のある患者さん(症状が悪化する恐れがある)
副作用発現の危険因子としては、以下の項目が挙げられます。危険因子をもつ場合は、発現率が3〜10倍高いと報告されています。
●造影剤副作用歴
●喘息
●心疾患
●喘息を除くアレルギー歴
ヨード造影剤を使用するにあたって、併用注意としてビグアナイド系糖尿病薬が挙げられます。ビグアナイド系糖尿病薬の腎排泄が減少することで血中濃度が上昇すると考えられ、乳酸アシドーシスが現れるおそれがあります。そのため、一定期間の休薬が必要となります。
以上、「#ヨード造影剤有害反応リスク状態 前編」では有害反応の項目や危険因子について解説しました。
後編では、腎障害について述べていきます。お楽しみに!
【参考文献】
1)日本腎臓学会ほか.腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイドライン2018.
https://cdn.jsn.or.jp/data/guideline-201911.pdf(2024/10/10)
青森県立中央病院 放射線部 INE(インターベンションエキスパートナース)
IVRに従事する以上、造影剤を使用するにあたり、腎機能障害に関する知識は、しっかりと学びを深めていきたいものです。一緒に安全なIVR看護に努めていきましょう
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