この連載は、なかなか総合的に語られることが少ないIVR看護について、標準看護計画にあてはめてみることで、その価値と魅力を再考(・・)し、「やっぱりIVR看護って最高(・・)!」と読者といっしょにサイ発見するための試みです。




皆さんは、「IVR中の安楽障害」というワードを聞いてどんなことを思い浮かびますか? IVR中の刺激的な痛みなどの苦痛、だけではないですよね。IVR前の不安や緊張、IVRが終わった後の圧迫バンドや足が曲げれない苦痛も、すべて「安楽障害」というワードが当てはまるのではないでしょうか!?

この記事では「安楽障害」というテーマを、前編・後編と2回に分けて取り上げていきたいと思います。 第1回目では「IVR室の安楽障害」とは何か? を考えてみましょう。続く第2回目では症例をあげて、そのなかから取り上げた「安楽障害」を一つずつ紐解きながら「看護」に結びつけていきます。

IVR室の安楽障害とは
まず、第1回目のテーマである「IVR室の安楽障害」についてあらためて考えてみましょう。皆さんがすぐに思いつくものはどんなものでしょうか……?

一般的なイメージとしては、「痛み」「不安」「恐怖」などがあると思います。ここで私の所属する病院のIVR室のスタッフが思う・感じる・経験した「安楽障害」をいくつかあげてみました。

このように無数のキーワードが出てきました。あげだせば無数にあるのが「安楽障害」ですが、やはり共通することは「患者さまが経験する苦痛」といえるでしょう。

ここで一度、「安楽」という言葉を考えてみましょう。看護学の学術用語によれば、「安全な環境のもとで、身体各部の位置関係に無理がなく機能的に安定しており精神的にも適度の緊張のもとに自然な活動が営まれる状態。安全・自立とともに看護ケアを行う際の必須条件」と定義されています。
したがって、安全・無理のない体位・適度な緊張感のすべてが患者にとって満たされなければ「安楽障害」となるでしょう。逆に「障害」とはいうまでもなく「安楽」の真逆の意味を指します。

IVR室の外に目を向けてみると
ちょっと視点を変えてみましょう。日常生活での「障害」とは何でしょうか。ストレスで眠れない? 忙しくてご飯食べる時間ない・トイレに行く時間がない? 対人関係? 仕事? ケガで動けない?
中身は人それぞれでしょうが、日常のなかにも障害になるもの・それと思うもの・感じるものは少なからず潜んでいます。言ってしまえば、障害を取り除く看護を行えばおのずと安楽になるということです。

ここでは「安楽障害」がどういうものか知ることができたかと思います。さて、後編のテーマは症例に紐づいた「安楽障害の看護」です。皆さんの各施設でも、少しばかりか参考になるかと思います! お楽しみに!




仲尾次翔太
沖縄県立中部病院 手術室・放射線科所属
看護師歴20年目 IVR室歴12年目
2014年 INE(インターベンションエキスパートナース)取得
「カテ室にこそ深みのある看護が出来る」をモットーに日々活動しています
趣味は吹奏楽鑑賞・サッカー審判 さらにDMATとしても活動中

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IVRナース 仕事の流儀
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