この連載は、なかなか総合的に語られることが少ないIVR看護について、標準看護計画にあてはめてみることで、その価値と魅力を再考(・・)し、「やっぱりIVR看護って最高(・・)!」と読者といっしょにサイ発見するための試みです。




「疼痛」は、その要因もさまざまですが、「程度の違い」や「持続性か断続性か」など多種多様です。そして、身体的にも精神的にも大きな苦痛をもたらします。私たち看護師は、患者さんが抱く疼痛を理解し、軽減できるようケアにあたる必要があります。
本稿では、IVR看護における「疼痛ケア」について考えていきます。

まずは、IVR中の急性疼痛の要因を整理してみましょう。以下のものが考えられます。

・RFA
→ 高出力RFAによる疼痛、肝RFAの場合には肩への放散痛が起きやすい

・TAE(TACE)
→ 塞栓後症候群(post-embolization syndrome)塞栓したことによる反応

・EVT
→ バルーン拡張時や末梢塞栓などにより虚血が生じ下肢疼痛が生じる

・ABL
→ 高周波による心筋焼灼による疼痛

・PCI
→ バルーン拡張時や末梢塞栓などにより虚血が生じ胸痛が起きる

・脳血栓回収術
→ 回収デバイスを挿入したことにより頭蓋内の血管走行が変化して疼痛が起きる

このほかにもさまざまな要因があるかと思いますが、なかには上記にあげた通り、治療によって起こりうる疼痛、すなわち「予測できる疼痛」もあります。したがって、起こりうる疼痛について事前に患者さんへ説明しておくとよいでしょう。患者さん自身が心構えを取れるだけでなく、疼痛出現時には伝えてもらうよう事前に伝えておくことで、早期に対応でき苦痛の軽減にもつながります。

一方、疼痛に関して、「我慢する」「薬(鎮痛剤)はなるべく使いたくない」「なかなか言いづらい」とおっしゃる患者さんも少なくありません。しかし、疼痛を我慢しすぎることで最悪の場合には死に至るケースもあります。患者さんが痛みを表出しやすい環境づくりはもちろんですが、患者さんの全身状態をしっかりみて “私たち看護師が疼痛に気づいてあげること”がまず重要です! そして、疼痛の程度をアセスメントし、それを軽減できるような関わりをすることが求められると思います。

「疼痛の程度」を客観的に評価するためには、NRS(Numerical Rating Scale)、FPS(Faces Pain Scale)などが用いられます。
患者さん自身の言葉で疼痛の状況を聞けるとよいですが、一方で疼痛を客観的に評価することも必要になってくると考えます。自分1人での判断が難しい場合には、ベテラン看護師さんに相談したり、力を借りるのも1つの手だと思います。




平川歩未
所属施設:北海道医療センター
資格:INE(インターベンションエキスパートナース)・ CVT(血管診療技師)
活動:北海道IVR看護研究会 世話人・SLDC(Sapporo Live Demonstration Course)プログラム委員・Vascular Ns(CVT-NS)の会 世話人・北海道CVTの会 世話人
執筆歴:これさえあれば自信をもって心カテ室へ入れる『心臓カテーテルのギモン104』(メディカ出版)



「カテ室業務は苦手だな…」「嫌だな」とネガティブな思いを抱かれる看護師さんも少なくないかもしれません。しかし、治療を受けている患者さんに1番近くで寄り添うことのできる看護師なんて、とても素敵だと思いませんか? 不安や恐怖心・苦痛を抱いている患者さん、さまざまな状況で治療の成功への貢献と、患者さんへ安全と安心と安楽を提供すること。私たち看護師にはとても大切な役割があると感じています。

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