この連載は、なかなか総合的に語られることが少ないIVR看護について、標準看護計画にあてはめてみることで、その価値と魅力を再考(・・)し、「やっぱりIVR看護って最高(・・)!」と読者といっしょにサイ発見するための試みです。




ショックとは『生体に対する侵襲あるいは侵襲に対する生体反応の結果、重要臓器の血流が維持できなくなり、細胞の代謝障害や臓器障害が起こり、生命の危機にいたる急性の症候群(日本救急医学会)』のことをいいます。統一された診断の定義はありませんが、血圧の低下(収縮期圧90mmHg以下あるいは通常血圧より30mmHg以上低下)や臨床症状(ショックの5徴候)で判断されます。

IVRは比較的低侵襲であるため、さまざまな背景をもつ患者さんが受けることができます。なかには、ビグアナイド系糖尿病薬を内服していて造影検査時には休薬が必要な患者さんや、抗血栓療法中の患者さんなど、合併症リスクの高い患者さんがおられます。また、状態が安定した患者さんばかりではなく、外傷などですでに大量出血しており体液量バランス異常を呈している患者さん、急性心筋梗塞のようにすでに心臓のポンプ機能が低下している患者さんも対象となります。
 いくらIVRが低侵襲とはいえど、さまざまな合併症のリスクを伴っており、ときに生命を脅かすようなショック状態に陥ることがあります(表)。私たち看護師は、IVRを受ける患者さんの全身状態を事前に評価し、行われるIVR手技と全身状態との関連性を理解し、急変に備えることがとても大切です。

ショックはIVR後にも起こることがあります。例えば、穿刺部の圧迫止血が不十分で発生する出血・巨大血腫、圧迫による疼痛に関連した迷走神経反射、遅発性アレルギー、膿瘍ドレナージ後の敗血症などがその要因となります。
こういった遅発性の合併症から患者さんを守るためには、やはり「病棟看護師とカテ室看護師のリスク情報の共有」が重要です。丁寧な申し送りによる共有が、予測性のある観察や早期対処につながります。近年、申し送り時間を短縮する傾向にありますが、「読めばわかる」と考えず、言葉に出して伝え合う重要性を忘れてはなりません。




村瀬早苗
所属施設:華岡青洲記念病院
クリティカルケア認定看護師/看護副部長
IVR看護好きな仲間とIVR看護について語り合う時間が大好きです。言葉にすると漠然とした思いが具体的になって、何でもできそうな気持ちになるからです。「IVR看護の世界にもっと標準看護計画を広めたい」と思ったのも仲間との会話からでした。本連載『IVR看護サイコウ』を仲間と語り合うきっかけにしていただけると幸いです。

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