この連載は、なかなか総合的に語られることが少ないIVR看護について、標準看護計画にあてはめてみることで、その価値と魅力を再考(・・)し、「やっぱりIVR看護って最高(・・)!」と読者といっしょにサイ発見するための試みです。




定義:細胞機能障害につながる可能性のある、組織への不十分な血液供給が起こりやすく健康を損なうおそれのある状態(NANDA―I 20221-2023)

点滴ルートの管理(表中*1と対応)
IVR中の患者さんはドレープに覆われてしまうため、途中で点滴ルートを取り直すことが困難です。ドレーピングの前に、滴下状態や刺入部の状態を観察し、緊急時に確実に薬剤投与ができるか否かを確認しましょう。
ルートの位置を整えることも重要です。垂れ下がったルートにCアームが引っかかり誤抜去につながってしまったインシデント事例を経験したことがあります。治療の進行を止めてしまうため、患者さんを危険にさらすことになりかねません。モニター類も同様にドレーピングの前に綺麗な波形と信頼できる数値が表示されていることを確認しましょう。 何事も「準備8割」ですね。

モニタリングの注意点(表中*2を参照)
モニターの数値を鵜呑みにしてはいけません。 出血性ショックの時に血圧が下がることは知られていますが、推定出血量750〜1500mLの段階では血圧は変化せず、脈拍数の上昇、皮膚の蒼白や末梢冷感、冷汗が出現します。つまり末梢血管を収縮させ心拍数を上昇させることで血圧を維持している状態です。推定出血量が1500〜2000Lになると呼吸数が増加し血圧が低下しはじめます。
また、IVR中は血管拡張薬をはじめとした種々の薬剤が使用されるため、通常血圧との比較が困難になります。看護師はモニターに依存せず五感を働かせ、ときにはドレープの下から患者さんに触れて観察し、早期発見に努めることが大切です。

『ショックは恐れるものではなく準備するもの』
合併症が発生したときに早期発見と適切に対処をすることで生命危機を回避することが私たちの任務です。早期発見には事前の情報収集と丁寧な観察、適切な対処には日常の物品点検と対応スキルの習得です。
つまり、これもまた『準備8割』なのです。




村瀬早苗
所属施設:華岡青洲記念病院
クリティカルケア認定看護師/看護副部長
IVR看護好きな仲間とIVR看護について語り合う時間が大好きです。言葉にすると漠然とした思いが具体的になって、何でもできそうな気持ちになるからです。「IVR看護の世界にもっと標準看護計画を広めたい」と思ったのも仲間との会話からでした。本連載『IVR看護サイコウ』を仲間と語り合うきっかけにしていただけると幸いです。

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