皆様、看護小規模多機能型居宅介護(以下、看多機)についてご存知ですか?
看多機は、「医療依存度の高い人や退院直後で状態が不安定な人、在宅での看取り支援など、住み慣れた自宅での療養を支える介護保険サービスです。主治医との連携のもと、医療処置も含めた多様なサービス(訪問看護、訪問介護、通い、泊まり)を24時間365日提供」※1することができます。
一般社団法人Nurse for Nurse(以下、NfN)では、看護職のキャリア開発支援を通して社会課題解決を目指しており、看多機の役割やそこでの看取り、看多機でのキャリアを考える機会を提供すべく、公益財団法人テルモ生命科学振興財団2023年度医療貢献活動助成を受け、「市民・看護職への看護小規模多機能型居宅介護での看取り推進」事業を実施しています(実施期間:2024年1月~2025年3月)。
※1:看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
https://www.nurse.or.jp/nursing/zaitaku/kantaki/
事業背景
我が国では病院で亡くなる方が8割を占める現状があるなか、厚生労働省の「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」が2017年末に実施した調査では、国民の63.5%が「自宅で最期を迎えたい」と回答しています。
その希望が実現しない要因は様々ありますが、医療の高度化と共に一般市民が在宅で看取ってもらえる、家族が看取れるということが理解されていない現状もあります。また、尊厳ある看取りを支える看護要員の確保が難しいという実態も浮かび上がっています。
看護の質確保のため各地で在宅看取り教育プログラム等実施されていますが、そもそもの人材確保の観点からは、より多くの看護職に本領域に関心を持ってもらうことが必要です。そして、一般市民の方々にも在宅での看取りにおける看護の役割について理解していただく必要もあります。
よって、本事業では、全国から看多機に関心のある看護職同士が集まり、情報交換しながら立ち上げや運営について学ぶ機会を提供します。また、一般市民と看護職が協働することで相互理解が深まり、信頼関係構築と同時に全国各地での在宅看取りの実現に貢献することを目指します。看護要員不在による看取り先の確保の困難さから「看取り難民」の時代が到来するといわれているなか、今後看多機が在宅看取りの一つの選択肢となり得るよう実施する2つの事業をご紹介します。
事業内容
①「看多機」見学プログラム
本プログラムでは、地域における看多機での看護、その役割や看取りについて、見学を通して学ぶ機会を提供します。そして、将来この分野で活躍する看護要員の増強を図ることを目的とします。
見学日:2024年8月3日(土)午後
訪問先:株式会社ラピオン 看護小規模多機能型居宅介護 ラピオンナーシングホーム(東京都日野市)
対象:
●日本国の保健師・助産師・看護師免許保有者(いずれか1つ以上)
●看多機での看護や看取りに関心のある方(経験は問いません)
募集人数:3名
参加費:無料(交通費・旅費補助あり)
応募フォーム:https://forms.gle/3S3MFFXT7G3Roh9x7
〆切:2024年5月18日(土)
詳しくは募集要項をご覧ください。
②ウェビナー
訪問(看護・介護)・通い・泊り全て対応可能な看多機での生活、最期について考えてみませんか?
日時:2024年12月14日(土)15-17時
開催方法:Zoomウェビナーによるオンライン開催
参加費:無料
対象:一般市民、看護職、看護学生、その他の医療・福祉関係者など
お申し込みフォーム:https://forms.gle/fcEb9H4QDBs8PvEQA
プログラム
第一部:
シンポジウム
●我が国における在宅看取りの現状と様々な看護サービス
大橋奈美氏(一般社団法人日本訪問看護認定看護師協議会代表)
●看多機の概要および現状
福田裕子氏(千葉県看多機連絡協議会会長)
●看多機の視点から在宅看取りを考える
柴田三奈子氏(株式会社ラピオン代表取締役)
●在宅看取りの経験および看護職とのエピソード
当事者ご家族(ビデオ登壇)
*看護職の方々にはこれまで歩んでこられたキャリアについてもお話いただきます!
第二部:
パネルディスカッション
座長:大橋奈美氏(一般社団法人日本訪問看護認定看護師協議会代表)
主催:一般社団法人Nurse for Nurse
後援:一般社団法人日本訪問看護認定看護師協議会
おわりに
Nurse for Nurseは看護職のための看護職によるキャリア開発支援を通して様々な社会課題解決を目指しています。看多機での看護や看取りにご関心ある方には、そのキャリアを実際に歩んでられる方の生の声をお聴きいただくことができます。また、見学プログラムではサービス利用者さんとお話をしたり、ウェビナーではご家族からご経験を伺う機会もあります。より良いサービスを受けたい、提供したいと思われている一般市民、看護職、看護学生、その他の医療・福祉関係者の皆さま、是非本事業へご参加ください!
本事業全体の詳細についてはこちら▼
https://www.nursefornurse.org/terumo23/
看護師・保健師、公衆衛生学修士。2005年3月、慶應義塾大学看護医療学部卒業。国家公務員共済組合連合会虎の門病院勤務を経て東京大学大学院公共健康医学専攻にて修士号取得。その後、国連人口基金(UNFPA)ジンバブエ事務所で勤務したのちに世界保健機関(WHO)ソロモン諸島事務所にて勤務。2021年にジョンズ・ホプキンス大学のコミュニケーション学修士号取得、一般社団法人Nurse for Nurseを設立。