看護師「はなちゃん」と「きぶな」の素朴なケアの疑問に、上田先生がエビデンスをもって回答します。日頃の看護ケアにも、研究論文があり、根拠があります。
今回は「ワルファリンを飲んでいる手術患者さんのヘパリン置換」について調べてみます。

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直接経口抗凝固薬(DOAC)と異なり、ワルファリンは効果が出るのも切れるのも遅いため、周術期にはヘパリン置換を行うことがあります。

根拠①

ワルファリンをそのまま中止する場合と比べて、ヘパリン置換しても血栓塞栓症は増えることはなく、出血リスクは相対リスク比※12.83で増加するため、多くの症例ではヘパリン置換は勧められません。
※1 相対リスク比 (RR):ある原因により、そのリスクがどれだけ増えるかを示す比率のこと。


Kuo HC, et al. Thromboembolic and bleeding risk of periprocedural bridging anticoagulation: A systematic review and meta-analysis. Clin Cardiol. 2020 May;43(5):441-449. PMID: 31944351








血栓塞栓症と出血の両者のリスクを天秤にかけて考えます。一般的にはヘパリン置換は不要なことが多いですが、機械式僧帽弁、3ヶ月以内の血栓塞栓症、非常に高い脳卒中リスクがある場合などはヘパリン置換を行います。


※本記事内容は上田先生が文献から考察しまとめたものです。適宜、関連するガイドラインなどもご確認ください。
※本記事の内容によって不測の事故等が生じた場合、著者および当社はその責を負いかねますのでご了承ください。




上田剛士
洛和会丸太町病院 救急・総合診療科 部長
メディカ出版のセミナー『バイタルサインのみかたとフィジカルアセスメント』『「悪化させない」「突然死を防ぐ」高齢者の急変予防』の講演をはじめ、『Dr.上田の もうダマされない身体診察』など執筆も多数。年間約3,000本の論文をチェックする。エビデンスと病歴と身体診察を大切にして救急・総合診療医として活躍している。







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2.肺 の診察
・上気道閉塞を見抜け!
・呼吸音の低下があれば…
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・慣れればカンタン! 頚静脈圧を見られるようになろう
・頚静脈怒張! どんな疾患を考える?

4.お腹 の診察
・怖い病気は車に乗ればわかる?!
・波のない痛みで、冷や汗は緊急疾患
・肝硬変を一目で見抜くワザ
・聴性打診で導尿すべきかわかる

5.その他 の診察
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発行:2019年10月
サイズ:A5判 240頁
価格:3,080円(税込)
ISBN:978-4-8404-6927-2