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看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「頼りすぎてるもの」です。

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最近、おもしろい話を聞きました。
「子どもになぜ空は青いのって聞かれて、すぐスマホで調べて『空が青いのはね~』って言ってしまう。スマホに頼りすぎてるよね」と。
たしかに、いまは手元に必ずあるスマホ。
ほしい情報は(うまく検索すれば)(それが本当に正しいかは別として)すぐに検索できますよね。
もはや検索という行動をしなくても、情報が流れていたりSNSでいろんな人から連絡が来るので、なにもしなくても情報が入ってくるデバイスとなっています。

なんか、すごい時代ですよね。


そして、正しい情報だけが真実なのかなってときどき思います。


バイタルサインで、いまは感染対策のために非接触式体温計を使っていますが、あれってときどきすごい温度表示しません?
「32.6℃」とか「33.1℃」とか表示されて「あれ? 生きてる?」って思いますよね。
でも、それで「36.2℃」って表示されると「はい、平熱ですね」と言えてしまう。
「もっと熱っぽいけどな」と思っても、体温計が36.2℃と表示されれば36.2℃であるわけです。
酸素飽和度も「がんばって深呼吸を促して96%」ということがありますが、じゃあいつもはなんなんだと(笑)。
なんか、知らないあいだに「正しい情報だけを得ようとする」行為をしていますよね。
けっこう重要なバイタルサイン。
絶対的な数値のはずなのに、むしろ絶対的な数値になるまで条件を整えたりする。
だから数値化できないものをさらに患者さんから聞いて「言葉」として看護記録に書く。
人間だからぴったり数値どおりってならないですよね。
ときどき患者さんでバイタルサインに非常にこだわる人がいますが、「ロボットじゃないんだから、いろんな数値があっていいんだよ」と患者さんには伝えています。

数値って客観的だし、わかりやすい指標です。
ただ、それだけに頼ると、本質的ななにかを失っているような気がします。

とはいえ、私はデジタル好きな人間。
けっこう数値に頼っています(笑)。
私のパソコンは自作PCなんですが、体感的にはなんにも変わらないパーツ交換も、数値で見るとはっきりすることがあります。
ただパソコンも人間も同じなのは「なにか異常な徴候があればいち早く見つけること」。
これがとても大切。
わずかな違和感に疑問を持ち、「あれ? いつもと違うな」と気がついたときに対処すれば、患者さんは病状の悪化が防げ、パソコンはデータの破損が防げます。
パソコンもけっこう五感頼りではあります。

なんとなく、感染症対策で人と接することが減ってきた昨今。
「脈を測る」「体調をうかがう」ことでさえ感染対策に気をつけるこの時代に、「アナログ」と「デジタル」を両立させ、よりよい看護をしていくのが、いまの看護師に求められているものではないでしょうか。

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fractale~mizuki~
twitter:mizuki@おぬ10年目看護師(@c_mikzuki

乗り物好きな看護師。事務職、データベースエンジニアを経て31歳で看護師に。脳外科、回復期、精神科病棟を経験。その後は在宅医療を経験し、再度精神科病棟へ。看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」管理者。医療メディア「メディッコ」メンバー。看護師のキャリアについて考える「ナスキャリ部!」副部長(仮)。その他多数プロジェクトに参加。好きな言葉は「まだ見ぬ誰かの笑顔のために」。好きな看護技術はひげ剃り(その他ほぼ不得意)。好きな看護業務はリーダー業務。好きな都バスの路線は【業10】新橋~とうきょうスカイツリー駅前。 

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