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看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回は「リアリティショック」を綴っていただきました。

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学生時代は、患者さんと話す時間がたくさんありました。

会話をしては、メモを取り。
会話をしては、メモを取り。
記録を見返して、必要な情報を頭に入れ直し、また患者さんのもとへ。
会話を誘導し新たな情報を得ては、メモを取り。
そして、患者さんの全体像をつかんでいく。

単純接触効果なのか、何日もずーっと一緒にすごすと患者さんも徐々に心を開いてくれます。
距離が縮まったのを感じたときや、看護師よりも情報を持っていたとき、心の中でガッツポーズをしていました。

同じグループの学生が、どのようなかかわりをしたのかを発表し合う、実習最後の日のケースカンファレンス。
この時間がわたしは大好きでした。
みんな、患者さんとそれぞれの展開があって、ノンフィクションで、変なドラマよりも感動しました。

看護師って本当に素敵な仕事だな~。
現場の看護師、ほんとかっこいいな~。
実習きつかったけど頑張ってよかったな~。

などなどいろんな感情がこみあげて、最後のケースカンファレンスでは毎回泣いていました。
というか、大体、みんなで泣きません?うちの大学だけですかね(笑)?


辛い実習と国家試験を乗り切り、いざ現場へ!
……開始15分。

学生時代に患者さんと話した、あの穏やかな時間は、一切ないことが理解できました(笑)。

病棟に放たれた初日の受け持ちはさすがに3人でしたが、それでも学生時代の3倍です。
確認確認確認、点滴準備、保清準備、記録記録記録、カンファレンス、申し送り……。
ベッドサイドにいる時間はほぼありませんでした。

1対1の看護なんて、夢のまた夢。
学生時代のような関係性を築くには、圧倒的に時間が足りません。
いや、正確には話す時間は作ろうと思えばあるのです。
ただ、そもそもの業務が多すぎて、ゆっくり話す時間を設けたとしても、どこかしらでそのことが気になってしまって、100%耳を傾けることが難しくなってしまったのです。
最初、これが本当につらかったなぁ。

業務に慣れてきて、プライマリーも持つようになってから業務をこなしながらなんとか時間もとれるようになりました。
加えて、知識と経験を身に着けていくと、学生時代とはまた違った関係性を築くことができるようになるのです。
“学生さんと患者さん”ではなく“看護師と患者さん”。
プロフェッショナルとして、患者さんの人生の一部にかかわるのです。
それもまた素敵なことですね。

ただ、今でもときどき思います。
学生時代に戻って、ゆっくり患者さんとかかわりたーい!!
(もちろん実習に伴う大量の記録はなしでお願いします。)

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fractale~satomi~
twitter:さとみ(@minisatominy

三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。 

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