「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。
今回は「解剖生理で苦手だったこと」を綴っていただきました。
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知っているでしょうか。
わたしは消化器外科(上部)出身なのです。
最初に先輩に言われたひとこと。
「消化器はつながってるから、切ってつなげるだけだから他の部位よりも単純だよ!!」
まあもちろんいうほど単純ではありませんでしたが、めっちゃ大雑把に考えるとたしかに“切ってつなげる”だけなんですよね。
何度も言いますが、大雑把にいうとです。
実際にそこまで理解するのに苦労はしなかったと記憶しています。
余裕があったのか、胃管再建をして食事している人をみて、「医学ってすごいんだな」と呑気に思っていました。
アホの子の感想みたいですね(笑)。
1年目だったので許してください(笑)。
-3年後-
ICU勤務となりました。
メインでかかわる臓器が心臓になり、十二誘導心電図をほぼ毎日使用するようになりました。
“十二誘導心電図”、これは天敵でした。
その名のごとく、12個の電極をつけているのですが……。
それぞれの電極の名称が1~12と単純ならまだよいのですが、「V1~V6」の他に「V+ローマ字」もあれば、「Vなしのローマ数字」もあるのです。
何度覚えてもすぐ忘れてしまうし、本当に苦労しましたが、ここまでは何とか覚えられました。
また、
“心臓には冠動脈といって、大きな血管が右側に1本(右冠動脈)、左側に2本(左前下行枝、左回旋枝)あります。その冠動脈が閉塞し、虚血状態が続き心筋が壊死した状態のことを心筋梗塞といいます”
教科書どおりのここまでの解剖も、理解できたし問題なかったんです。
ただ、心臓はそんな単純じゃありませんでした。
救急外来より心筋梗塞にてICU入室となった患者さん。
見慣れない波形。
十二誘導心電図を見て「あ~、ここが閉塞したんだね」と話し合っている先輩方。
え?
なんで見てわかるんですか。
教科書に梗塞部位別の心電図波形は載っていましたが、これを瞬時に解析できるわけですか。
すごすぎませんか。
しかも、時間経過で波形が変わるじゃないですか。
電解質で変わるじゃないですか。
似たようなものも多いじゃないですか。
せっかく覚えた内容も、文字として覚えただけで、現実とまったくリンクしておらず、全然生かせませんでした。
動画もたくさん見ました。
けど、多分あまり好きじゃない分野だったからか、何度やっても完璧には覚えられず、結局最後のほうは諦めてしまい、カンペ必携でした。
同時に消化器系を理解できたのは単純だったからだけではなく、興味があったからなのではないかとも思うようになりました。
もともと、お腹を下しやすいので消化器に配属されたとき、何かのご縁を感じましたしね(笑)。
「解剖生理は苦手」と思う人が多いかもしれないけど、「解剖生理が苦手」なんじゃなくて、もしかしたら「今いる部署の解剖生理」が苦手なのかもしれないですよ!
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fractale~satomi~
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三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。
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