看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。
「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。
今回は「本当にあった不思議な話」を綴っていただきました。
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今回のテーマは「本当にあった不思議な話」です。
まさに、夏にふさわしいテーマですね(笑)。
おそらく命に携わる仕事をされている方はひとつくらい不思議な経験を話せるのではないでしょうか。
わたしも何度かあります。
誰もいない部屋のナースコールとか、離床センサーとか、テレビONとか、わりと定番じゃないでしょうか(笑)。
白い半透明の女性を見たという同僚もいました。
さて、わたしの記憶に強く残る不思議な話は2つあります。
怖いお話と、尊いお話。
まずは怖い方からいきます(笑)。
その患者さんは癌のサブターミナル、自力での体位交換も困難な方でした。
意思疎通は問題なし。
いつもどおり夕飯介助を終えていつもどおりの就寝。
申し送りだと“とくにお変わりないです”状態でした。
深夜、モニター上で心拍低下が見られたので訪室すると、その方は自力でできるはずのない端座位となり、隣の部屋に全身を傾ける形でお亡くなりになっていました。
じつはその数時間前、その隣の部屋の方がお亡くなりになり、ちょうどすべてが終わったところでした。
あまりのタイミングに、あり得ない光景に、恐怖が身体を支配し、声が出ませんでした。
心の中で“連れてった……?!”と叫ぶ。
まあ冷静になって考えると、延命しない話も出ている方だったので自然な形だったのかもしれませんが、いろいろ重なってしまいこのときは恐怖が勝ってしまいました。
もう一つの尊いお話。
こちらも癌の末期の方で、低め安定。
いつ止まっても……という状態でした。
ある夜勤の夜中、その方が涙を流していました。
ぽろぽろと。
意思疎通困難、表情の変えられない方だったので驚きました。
その方は翌日にストンとお亡くなりになりました。
人は死期がわかると言いますが、きっとその方も何かを悟り、朦朧とする意識のなか、いろいろと人生を振り返っていたんだろうなと思っています。
表情はとても穏やかでした。
涙を流している場面はほかの方でも何度か経験しました。
命の終わりってわかるんでしょうね。
想像がつかないので、不思議な感覚です。
科学に基づいた仕事をしているわたしたちですが、科学だけでは説明できない場面があるような気がします。
怖いものも、尊いものも。
それだけ生命エネルギーって強いものなんですね。
いつかこういうものも解明される日が来たらとても興味深いですね(笑)。
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三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。
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