CONTENTS

▼看護師特定行為研修センター副センター長インタビュー
▼特定行為研修修了生インタビュー
▼病院基本情報
▼カリキュラム進度表
▼研修生年間スケジュール
▼研修プログラム
▼研修プログラム受講の様子
▼実習施設の紹介
▼応募方法・説明会情報



『チーム医療のなかでCUREのできる特定看護師を目指してください』





鷹野 郁与
聖マリアンナ医科大学病院
看護師特定行為研修センター
副センター長

――聖マリアンナ医科大学病院の看護師特定行為研修センターについて教えてください。

当センターでは「看護の専門性を基盤に21区分38行為の医行為の学びを駆使し、チーム医療を自律的・主体的・協働的に実践できる看護師の育成」を理念とし、臨床推論力を高めることを重要視した方針のもと、1年間の研修を提供しています。

また、38行為のみの学習に特化した研修ではなく、医師とチーム医療(cure)ができる看護の心を持った(care)特定看護師を育成することを特徴としています。

研修センターの正式名称は「看護師特定行為研修センター」ですが、親しみやすい通称として「RAN(Registerd Action Nurse) センター」を採用しました。RANの英語表記には、専門的な「レジスタードナース」に行動を起こすという意味で「アクション」を入れました。RANという音が重なる「蘭の花」をモチーフにしたロゴマークは、蘭の花の躍動的なイメージと花びらの重なり合いが、医療チームが協働する様子を表現しています。また、研修生の成長過程をイメージして白からだんだんと色がつく様子をロゴマークに反映し、ユニフォームをつくりました。

――特定行為研修が始まった経緯を教えてください。

当院は現在、入院棟の新築移転が完了して外来棟を建設中です。2026年度の新病院リニューアルオープンに向けて、高度急性期医療が提供できる看護師の育成が急務となっているなか、聖マリアンナ医科大学の創立50周年記念事業として看護師特定行為研修センターが設置されました。2020年4月より1期生3名を研修生として迎え、現在5期生3名が研修中です。これまでに法人内外含め14名の修了生がいます。

――特定行為研修を受けた看護師がどのように医療現場で活かされること、どんな変化を期待されますか。

医療の現場では、医師が外来や手術などで不在のため必要な医療がすぐに提供できない場面が多々あります。医師がいないからできないではなく、必要な医療を提供できるのであれば看護で補う。特定看護師には、患者さんの求めに応じたタイムリーな医療の提供に尽力してほしいと思います。

医師が不在の際には医師の代行としての医行為の実践を、また医師と看護師間とのシームレスな情報共有ができるような橋渡しを担ってほしいです。こういった橋渡しの役割を実践しながら、現場では特定看護師として1年間学んだことをアウトプットし、ロールモデルになってくれることを期待しています。自身の「看護の質」を向上させることはもちろんですが、看護師全体の知識や技能のレベルを底上げして、最終的には社会的地位の向上に貢献してほしいと願っています。

――特定行為研修を受けたいという看護師は、どのような方が多いのでしょうか。

「呼吸器管理が上手くできず、患者さんに苦痛を与えてしまった経験から知識不足を感じた」「タイムリーな治療・検査を行いたいが医師の不在時は待つしかなく、自分でできることの限界を感じた」というジレンマを抱えた方が多い印象です。もっと勉強して、ベッドサイドでできることがあれば何でもやりたいという熱意を感じます。また、患者さんの苦痛の軽減に役立ちたい、タイムリーな医療を提供するために自身の臨床判断力を高めたいという方も多いです。

――研修の大きな特徴を教えてください。

1年間医学教育を受けますが、看護教育との連動も重要視しています。特定行為研修は知識や技能習得に偏りがちですが、特定行為を実践する前後の患者さんの身体の状態を正確に情報収集し、「臨床推論力」をつけていくこと、かつ看護師としてのケアの必要性の判断も期待されます。 当センターが開講当初から21区分38行為の医行為にこだわっているのは、この臨床推論力の獲得を目指してのことです。ただドレーンを抜く、輸液の調整をするという特定行為を行うだけではなく、その前後の患者さんの変化をしっかりと見て報告する臨床力をつけていくのが目標です。 またカンファレンスに入ってプレゼンする機会もあるので、プレゼンテーション能力・文章力など、伝える力を身につけるためのカリキュラムを組み入れています。

――卒後研修について教えてください。

2年間の臨床研修制度を整えています。診療科の指導医のもと、診療看護師とペアを組んで症例を受け持ちながら学びます。1年目は希望する診療科と関連した科を3ヵ月ずつ4ヶ所回り、2年目は希望する診療科を選択します。

――これからの目標や課題について教えてください。

目標は特定看護師の周知と役割拡大です。そのためには、まずは修了生の数を増やしマンパワーを高めていく必要があります。組織内ではセンター通信の紙配布やメール配信、また外部に向けてもSNSなどを使って特定行為研修内容や修了生の活動を情報発信しています。

法人内で活動している特定看護師は12名と僅かな人数ではありますが、この特定看護師たちが役割発揮できる職場環境・教育体制を整えていくこと、また特定看護師を見据えた継続教育のシステムの再構築が看護管理者の役割であり、今後の課題であると考えています。





特定行為研修修了生インタビュー

『特定行為研修は、自分の看護力を広げられる可能性があります』





倉田 浩
2007年 聖マリアンナ医科大学看護専門学校 卒業 同年 聖マリアンナ医科大学病院入職 ハートセンター病棟配属
2014年 日本看護協会認定 慢性心不全看護認定看護師 取得
2021年 看護師特定行為研修修了(21区分38行為)、心不全看護認定看護師へ移行
2023年~ 循環器内科Unitチーム配属





高橋 望美
2010年 聖マリアンナ医科大学病院入職
2021年 特定行為研修修了
現在、看護部主任 血液内科所属

――特定行為研修を受講しようと思ったきっかけについて教えてください。

倉田 慢性心不全の認定看護師で、心不全チームに参加していました。心不全患者は増加する一方で高齢多疾患の方が多く、複雑な背景を理解するためにもっと医学的知識を深めないと、多職種とのコミュニケーションが難しいと考えたのがきっかけです。CCUで医師の不在時に、タイムリーな対応ができない症例を目の当たりにしていたので、特定行為研修を活かせるだろうと受講を希望しました。



高橋 病棟で患者さんが急変したときに何もできず、ICUに搬送するしかありませんでした。「もっと何かできることがあるんじゃないか。もっと知識を身につけたい」と思ったのがきっかけです。診療看護師は大学院で2年間学ぶ必要がありますが、特定看護師は1年間自施設で学べるのが決め手になりました。

――聖マリアンナ医科大学病院の特徴である教育プログラム(21区分38行為すべてカバー)を通して「看護の質」が向上できそうだと実感した部分は何かを教えてください。

高橋 すべての特定行為研修を受けたことにより、異常の早期発見など看護力の向上に役立っています。今は血液内科で勤務していますが、造血幹細胞移植などでは太い針を血管に入れる必要があります。ルート確保困難症例ではエコーを使っての針刺しが可能になり、患者さんへの侵襲を減らすことができています。これまではICUに移送したケースでも、病棟内で対応できるようになりました。



倉田 アセスメント能力が高まって、患者さんの変化にいち早く気づけるようになりました。早期に担当医に報告することにより、患者さんの悪化予防につなげています。

――研修を受けた後の卒後研修の内容について教えてください。

倉田 私は1期生なので、卒後1年目は病棟スタッフとして働きながら、週に1回心不全チームで研修していました。2年目になって臨床研修制度が始まりました。

高橋 2期生なので、私のときから卒後2年間の臨床研修が始まりました。内科や外科、ICUも回りました。

――実際に現場でどう活かされているのか、また今の役割を教えてください。

倉田 GICUでの診療補助や看護です。医師とともに患者さんを担当して、身体診察や検査結果のアセスメント、プレゼン、治療方針の補助、反応の確認をしています。GICUの重症患者は入院期間が長くなるので、病棟看護師と協働してチェックリストを作成し、観察の見逃し防止や介入もれの予防に役立てています。医師と看護師の間に立って、橋渡しコミュニケーションがとれるようになりました。



高橋 血液内科で、骨髄検査や脊髄の検査の処置に入っています。物品準備や体位の固定、検査後の観察ポイントなど、学んだ知識を病棟看護師と共有しています。外来の腫瘍センターでは、ルート確保困難症例にエコーなどのデバイスを使って対応しています。またインフォームドコンセントに同席して、患者さんやご家族の不明点に時間をかけて補足説明することもあります。

――これからの目標や課題など教えてください。

倉田 特定看護師はまだ人数が少なく、働き方を模索している状況です。研修後は診療科で働きたい人もいれば、病棟で勤務したい人もいるはずです。それぞれの働き方が明確化できれば特定看護師を目指す人が増えてくると思うので、後輩の育成に注力したいです。

高橋 診療看護師と特定看護師を混同されることがあるので、その違いを明確化していく必要があると思います。「特定看護師はこんな活動をしています」と業務内容や研究などの発表機会を増やして、特定看護師の認知度を高めたいです。

――研修費の負担はどうされていますか。在籍する病院からのサポートはどうなっていますか。

倉田 法人内は研修費用の半分を出してもらえます。研修後5年以内に退職する場合は、返済する義務があります。

高橋 研修期間中は基本給が支給され、とても助かりました。

――研修を申し込む前に気になったこと、不安なことは何でしたか。

倉田 1期生なので修了後の働き方が不安でしたが、自施設で研修できるメリットは大きかったです。振り返ってみると、自分の看護力を広げる可能性に満ちた研修でした。

高橋 同じく修了後にどのように活かせるか不安でした。看護職になって6~8年目は、管理職に進むかスペシャリストを目指すか悩む時期です。知識を深めたい人には、看護の視点をぐるっと変えることができる特定看護師をおすすめしたいと思います。今後は特定看護師の多様な働き方を、自分たちがつくっていくことになるのだと思います。

病院基本情報


■病院情報■

▼施設名
聖マリアンナ医科大学病院
▼住所
〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2丁目16-1
▼診療科
総合診療内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、腎臓・高血圧内科、代謝・内分泌内科、脳神経内科、血液内科、リウマチ・膠原病・アレルギー内科、腫瘍内科、神経精神科、小児科・新生児科、消化器・一般外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科、乳腺・内分泌外科、脳神経外科、整形外科、形成外科、皮膚科、腎泌尿器外科、産科・婦人科、眼科、耳鼻咽喉・頭頸部外科、放射線診断・IVR科、放射線治療科、麻酔科、病理診断科、救急科、リハビリテーション科、緩和ケア科、小児集中治療科
▼病院長名
大坪 毅人
▼看護部長
本舘 教子
▼病床数
955床
▼医師数
627人(2024年4月実績)
▼看護師数
1,301人(2024年4月実績)
▼年間外来数
572,777人 (2023年実績)
▼年間入院患者数
299,601人 (2023年実績)
▼病院の特徴
川崎市北部地域の基幹病院であり、また特定機能病院として、高度の臨床・教育・研究の全てを担う医療機関です。35の診療科と約1,000床を有する病棟のほか、外来部門、最新設備を誇る診療協力部門、地域救急医療の中核施設で神奈川県下初の救命救急センター、統合ERの一翼を担う夜間急患センター、個々に最適ながん治療を提供する腫瘍センター、ハイリスク妊娠・新生児を受け入れる川崎市唯一の総合周産期母子医療センター、内科的・外科的手術を統合したハイブリット手術室を有しています。
『「生命の尊厳」を重んじ、病める人を癒す、愛ある医療を提供します』を理念に掲げ、医療の充実と質向上に貢献しています。

■理念・特徴■

▼ご挨拶
聖マリアンナ医科大学病院では2020年に厚生労働省より特定行為研修指定研修機関の指定を受け、特定行為ができる看護師の教育に取り組んでいます。
当センターは研修の領域別パッケージ化が進む中でも21区分38行為の全ての特定行為の習得が必要と考え、1年をかけて研修を提供しています。特に臨床推論する力の習得と看護マネジメント力に主眼をおき、医師とチーム医療(cure)ができる看護の心を持った(care)特定看護師を育成することを特徴としています。修了後は診療科の指導医の下、診療看護師とペアを組みながら特定行為の臨床推論力・意思決定力を磨くために更に2年間の臨床研修制度を整えております。
▼教育理念
看護の専門性を基盤に、21区分38の行為の学びを駆使し、急性期におけるチーム医療を自律的・主体的・協働的に実践できる看護師を育成する。
▼研修の特徴
①大学病院のもつ整備された教育環境
②症例数のある大学病院および関連施設での実習
③特定行為研修に係る教育の実績のある医師による指導
④診療看護師による実践的な教育・指導
⑤豊富な人材(薬剤師・臨床工学士・臨床検査技師)による教育
▼研修区分
21区分38行為
▼研修期間
1年間
▼研修内容
共通科目(6科目)322時間、区分別科目(21区分38行為)424時間+各行為5事例
▼定員
5名
▼寮の有無

■在籍部門と在籍人数■

大学病院:循環器内科【1名】
大学病院:血液内科【1名】
西部病院:脳神経外科【1名】
西部病院:脳神経内科【1名】
多摩病院:脳神経外科【1名】
多摩病院:ICU【1名】
多摩病院:【1名】
卒後研修2年目 消化器外科【1名】
卒後研修2年目 精神科・リウマチ膠原病【1名】
卒後研修2年目:腎臓高血圧内科【1名】
卒後研修1年目:救急救命センター【2名】

カリキュラム進度表




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研修生年間スケジュール




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研修プログラム




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研修プログラム受講の様子





実習施設紹介



▼聖マリアンナ医科大学病院


▼聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院


▼川崎市立多摩病院


▼ソレイユ川崎

応募方法・説明会情報


■応募方法■

▼出願資格
次に定める要件を全て満たしていることが必要です。
1)看護師免許を有すること (日本国の看護師免許取得者)
2)看護師免許取得後、通算 5 年以上の実務経験を有すること
3)急性期領域の実務経験を3年以上有すること
4)所属単位のリーダー役割の経験を有すること
5)所属長(看護部長または同等職位の所属長)の推薦を有すること
6)当院・関連施設での実習が可能なこと

【出願前相談】
受験前に履修内容、カリキュラムなどについて事前に事務局職員へ相談ができます。相談の申込は電子メールにより受け付けます。件名は「看護師特定行為研修事前相談申込」としてメールを送信してください。
メール本文には、①氏名、②電話番号(対応可能な時間帯、連絡可能な電話番号など)、③所属施設名、所属部署、④相談内容を記載ください。

▼出願方法
【出願手続】
1)出願に必要な書類
必要書類は聖マリアンナ医科大学病院ホームページ「看護師特定行為研修センター」からダウンロードください。

【出願の方法】
1)出願は電子メールにて必要書類を添付書類として送ってください。郵送または持参での出願は受け付けません。
2)出願書類をそろえて、以下の手順にて事務局メールアドレスまで送ってください。
※メールにはパスワードをかけてください。パスワードは別メールでお知らせください。
(1)メールタイトル:「2025年度 研修受講申請書類」
(2)添付書類:フォルダ名:氏名 施設名 (例:川崎マリ子 〇〇病院 )
(3)フォルダ内書類:
①様式 1 ②様式 2 ③様式 3 ④様式 4 ⑤様式 5 ⑥看護師免許証(写し)
⑦受験審査料支払証明書 ⑧学位記の写し
■聖マリアンナ医科大学病院 看護師特定行為研修センター事務局
E-mail:tokutei@marianna-u.ac.jp

▼受験スケジュール
出願期間: 2024 年 10月 25 日(金)~11 月 11 日(月)最終日の 11:00 まで
一次審査:書類選考・適性検査
2024年 11月 6 日(水)~11月 13 日(水)
二次審査:面接・筆記試験・小論文 2024 年 12 月 5 日(木)
合格発表 2024 年 12 月 20 日(金) 14:00~14:30
入講手続き期間 2024 年12月 23 日(月)~2025年1 月 9 日(木)15:00 まで
※2025年度の外来棟完成に伴う本館解体作業の為、事務局を移転致します。
移転に伴い、選考試験スケジュールの時期が早まります。ご理解の程よろしくお願いします。

▼選考方法
一次審査:書類審査・適性検査
二次審査:面接・筆記試験・小論文

▼受講料
1)振込先は、受験審査料振込先と同じです。(9.出願手続き 参照)
2)看護師特定行為研修にかかる受講料は1,500,000 円(消費税込)
その他、自己購入文献代・コピー代などは実費となります。
3)振込期間:入講手続き期間までに振込確認ができるようお振込みください。

■説明会情報■

▼日時
2024年7月24日(水)・8月6日(火)・16日(金)・29日(木)・9月13日(金)・26日(木)
※日程が合わない方はご相談ください。個別対応いたします
▼会場
本館6階 看護師特定行為研修センター
▼対象
今後受験を考えている方・今の進路に悩んでいる方・看護の学び直しをしたい方
▼問合せ先
〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
聖マリアンナ医科大学病院 看護師特定行為研修センター 事務局
TEL:044-977-8111(代) 内線:6472 E-mail: tokutei002@marianna-u.ac.jp
▼参加方法
申込はこちらから