著者:川下貴士(松蔭大学看護学部精神看護学助教)
t-kawashimo@shoin-u.ac.jp



皆さんどうも。
今年もよろしくお願いします。昨年末は出版した書籍が フェア で選書していただけました。感謝しかないですね。ぜひまだ読んでない方は下記の『この書籍の購入・詳細はこちら』のリンクから立ち読みしていただき、気に入ったらぜひ購入を検討してみてください。

今回は新人時代の病棟での先輩との失敗談です。共通の趣味があるということが思わぬ事態を招きます。どうぞお付き合いください。

ときはオンラインゲーム黎明期。当時、ゲーム機にネットにつなげて遊んでいる人はほとんどいませんでした。友人から誘われて始めたオンラインゲームですが、これが僕にとって大当たり。ゲームにこんな世界があるのかと感動し、この体験が僕をさらなるゲーマーへといざなってくれました。ゲームは今でも僕の気分転換として、毎日、やっています!

そんなオンラインゲームですが、入職してすぐに先輩も同じオンラインゲームをやっていることが発覚し、共通の趣味を通して、親交を深めていきました。まさかこんなニッチなオンラインゲームをやっている人が職場にいるなんてと当時は本当に興奮しました。ゲームの話はもちろん、精神科看護の相談など頼りになる先輩として、仕事内外でお世話になってました。 「今日、一緒にゲームしようか?」
日勤の昼休みに先輩が突然、言いました。今まで散々ゲームの話をしていたのですが、先輩と一緒にオンラインゲームをしたことはありませんでした。理由は仕事とプライベートは分けるべきと思っていたし、何より僕はそのゲームについては、うますぎるからです。先輩にも得意気に話していたことがいつしか気になっていたんでしょう。あまり気は進まなかったのですが、その日の夜に一緒にゲームをすることになりました。

結果は案の定、先輩よりもハイスコアを毎回、叩き出しました。はじめのうちは先輩も褒めてくれていましたが、このような状態が半年ほど続いたあるとき、先輩の職場での反応が悪くなります。あれだけ話しかけてくれていたのに急にどうしたんだろう? 原因はゲームでした。オンラインゲームはプレイヤー同士の協力プレイが勝敗を分けます。職場では新人ですが、ゲーム上では指示を出す立場にあったのが僕なんです。きっとこれが先輩にとって、面白くなかったんだと思います。あの日以降、あれだけお世話になっていた先輩でしたが、昔みたいに楽しく話すことはなくなりました。

共通の趣味があった故の失敗。信頼関係を築くうえで共通の趣味があることは、コミュニケーションを円滑にします。しかし、あくまでもケースバイケース。当時の僕は、友人とゲームすることと職場の先輩とゲームをすることの意味があまり想像できていませんでした。仕事とプライベートは分けたほうがいいと思っていたのに、先輩だったら大丈夫だろうと思っていた僕のミスです。仕事とプライベートを完全に切り離して、コミュニケーションを図ったほうがいいとは思いませんが、そこの境界線をどのように引くかは重要だと思っています。当時の僕は境界線を越えすぎたのだと思います。職場は仕事をする場。仕事のうえで成り立っている人間関係です。友人を見つける場ではありません。僕はあの日以降、職場の方と一緒にゲームをしていません。趣味の話はしますが、僕なりの境界線は趣味の話をするまでです。職場の方とうまくコミュニケーションを図るためには、適度な距離感が大切で境界線を越えすぎないことが、うまくいくためのコツなのかもしれません。

昨年まで日本看護協会出版会『コミュニティケア』誌で「精神科訪問看護へようこそ」を連載していました。興味のある方はこちらも読んでいただけると嬉しいです!

※本記事に登場するスタッフや患者さんなどは、著者の体験に基づくフィクションです。実在するスタッフ、患者さんなどとは関係はありません。 ※感想や質問などございましたら、メールアドレスまで連絡していただけるとうれしいです!

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