著者:小野坂益成 (松蔭大学看護学部精神看護学講師)



みなさん、お久しぶりです!
恥さらしのコミュニケーションです。
もしかしたら、私の恥ずかしいと思ったことが重なって、皆さんも赤面することがあるかも知れないです。
今回も、そんなお話。

医療関係者って、誰かの相談に乗ることが多くあるけど
みなさん
誰かの相談にのるとき、ちゃんと聴けていますか?

私はですね……、聴いている“つもり”になって、結局、自分がしゃべりすぎているって気づくことがよくあります。
しかも、やっかいなのは、その場では自分なりに「よし、いい感じに返せた」と思ってしまっていることです。
【相手のために言っている】【役に立ちたい】【安心してもらいたい】
そんな気持ちは、たしかにあるんです。
でも、あとから思い返すと、「あれ? もしかして、私、ほとんど自分の話してた?」となる。

ある人が、悩みを話してくれたことがありました。
私は、ちゃんと受け止めようと思って話しを聞く姿勢をとっているのですが……
ところがです。
「うん。そうだよね」
「そういうのって、確かにあるよね」
「自分も似たような経験があって」
「こういう見方もできるよね」

……いや、しゃべりすぎですね。
いま並べると、だいぶ前のめりです。
相手が話しているのに、途中から私の独演会みたいになっている。
しかも自分は、そのときあまり気づいていない。
これが、なかなか恥ずかしいところです。
たぶん私は、相手の話を聴くことよりも、「うまく返すこと」に気持ちが向いていたんだと思います。
何か気の利いたことを言わないといけない気がする。
そうしているうちに、相手の話に自分の経験を重ね、まとめ、意味づけし、気づけば“私が話す時間”になってしまう。
でも、聴くって、本当はそういうことじゃないんですよね。
何かを返せたから聴けたわけではない。
むしろ、すぐに返したくなるときほど、まだ聴けていないのかもしれません。
相手がほしいのは、立派な助言ではなくて、
「それはしんどかったですね」
「そう感じたんですね」
「もう少し聞かせてもらってもいいですか」
そんな言葉だったりします。

短い。
地味。
でも、こういう地味なひと言のほうが、相手にとってはずっと安心できることがある。
自分の話を奪われずに、そのまま置いておけるから。

私は今でも、ときどき話したい気持ちがわき上がってきます。
自分が感じたことを、伝える。「聴こう」と思うほど、つい何か言いたくなる。
なので、自分が話したくなったら、
【なんで、このことを相手に伝えようと思うのか?】と、考えるようにしています。
すぐに自分の体験を出さない。
すぐに結論を言わない。
相手の言葉のあとに、少し余白を残す。
聴くつもりが、話しすぎていた。
今思い出しても、なかなかの赤面ものです。
でも、その恥ずかしい失敗があったからこそ、少しだけわかってきた気がします。
上手く話しを聴くコミュニケーションは、うまく話すことではなく、相手が安心して話せる場所を整えるものなのだな~と。

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