「消化器の術式は難しくて理解できない……」。そんなお悩みも『消化器ナーシング』のこの連載で解決! 消化器外科医のおぺなか先生が描くリアルで臨場感あふれるイラストで、まるで “実際の手術を覗いているように”術式が理解できます。術式がわかれば、起こり得る合併症の危険も見えるはず。連載を通して、消化器手術を極めましょう!

ポイント解説
消化器外科手術の中でもトップクラスにたいへんな術式です!

Check!食道亜全摘術とは

主に食道がんに対する術式です。胸部から腹部の食道を切除(食道亜全摘)し、頸部から腹部までのリンパ節をできるだけ切除(リンパ節郭清)し、胃管を頸部に挙上し、吻合して再建します。

食道の位置する縦隔には気管、大動脈、反回神経などの重要臓器や構造が密集しています。食道切除術は「危険いっぱいな縦隔の中から“食道と周囲リンパ節だけ”をきれいにくり抜く」という非常に繊細な技術が要求される高難度手術と言えます。

胸部・腹部操作は開胸・開腹手術が主流でしたが、近年は胸腔鏡・腹腔鏡手術が積極的に行われています。鏡視下手術は傷が小さいため、痛みが少なく早期離床が可能となり、さらに術後の呼吸器関連の合併症の軽減が期待されます。

Check!起こり得る合併症

●反回神経麻痺
反回神経が電気メスの熱や牽引によって損傷すると、嗄さ声せい・嚥下障害・呼吸困難などをきたすことがあります。通常は3~6 カ月程度で自然回復が見込めます。また、両側反回神経麻痺では、声帯が閉鎖し呼吸困難となる場合があり、気管切開を要することがあります。

●縫合不全
血流障害などにより頸部の食道-胃吻合部の縫合不全をきたすことがあります。発症した場合、ドレナージと長期絶食で改善を待ちますが、再手術を要することもあります。

●呼吸器合併症(呼吸不全、肺炎など)
術後疼痛や長期臥床の影響で排痰が困難となり、肺炎を起こすことがあります。こまめな吸痰やネブライザーの使用で予防しますが、発症してしまった際は抗菌薬治療を速やかに行います。

ナースへのお願い!

食道切除術は消化器外科の全術式の中でもトップクラスの難易度と手術侵襲の手術です。術後合併症や急変リスクが高いため、バイタルサインやドレーン排液の性状など、少しでも異変を感じたらすぐに医師に報告してください! リハビリテーションも特にたいへんですが、患者さんの退院に向けて、チーム一丸となってケアに取り組んでいきましょう。

おぺなか
現役消化器外科医
Twitter→@ope_naka



「消化器ナーシング」2025年の注目ポイント

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