「消化器の術式は難しくて理解できない……」。そんなお悩みも『消化器ナーシング』のこの連載で解決! 消化器外科医のおぺなか先生が描くリアルで臨場感あふれるイラストで、まるで “実際の手術を覗いているように”術式が理解できます。術式がわかれば、起こり得る合併症の危険も見えるはず。連載を通して、消化器手術を極めましょう!

腹腔鏡下胆囊摘出術(ラパコレ)を侮るなかれ! 一見簡単そうに見えて実は恐ろしい合併症でいっぱいの手術です。
Point!腹腔鏡下胆囊摘出術とは
胆囊結石症、胆囊炎などの主に良性胆囊疾患に行われる術式で、国内では年間に10 万件近くの件数が行われる非常にありふれた術式です。腹腔鏡下に胆囊管、胆囊動脈を切離し、肝臓から胆囊を剝離して摘出します。手順としては比較的シンプルで、若手外科医が初めての腹腔鏡手術として取り組むことが多い術式ですが、決して簡単と言い切れる手術ではありません。特に炎症や癒着が強いケースでは熟練の外科医でも腹腔鏡で完遂することが難しく、開腹手術になったり胆囊の一部の切除にとどめる亜全摘術になることもあります。
安全な胆囊摘出を行ううえで最も重要なのはCVS(critical view of safety)の確認です。胆囊管と胆囊動脈の周りの結合組織を全周に剝離し、さらに胆囊を浮かせることで、「確実にこれは胆囊管と胆囊動脈だ!」と言える状況(CVS)にしてからそれぞれクリッピングして切離します。確実にCVSを得てからの胆囊管の切離を徹底することで、胆管損傷や出血などの合併症を回避することができるといわれています。
Check!起こり得る合併症
胆囊を肝臓から剝離した面や、胆囊管の切離断端から胆汁が漏れてしまうことがあります。ドレナージや再手術などの追加治療が必要です。
肝臓の切除後、肝機能の一時的な低下が影響し、胸水・腹水が出ることがあります。通常は利尿薬などで管理を行いますが、必要時には穿刺して除去することもあります。
胆囊動脈、肝臓からの出血のリスクがあります。特に炎症の強い症例では血流が通常に比べて多く、術中・術後に出血をきたし輸血や再手術が必要となることもあります。
胆囊管の剝離時に総胆管を損傷する可能性があります。CVS は損傷を防ぐために必須の手技です。もし損傷した場合、胆道再建として開腹での胆管空腸吻合術や損傷部の閉鎖など、追加の治療が必要となります。
術後の在院日数が短く軽くみられがちな手術ですが、起こると怖い合併症がたくさんあることは知っておいてください! ドレーンが入っていなくても油断は禁物です。逆に術後出血などの発見が遅れる可能性が高く、要注意です!!
現役消化器外科医
Twitter→@ope_naka
「消化器ナーシング」2025年の注目ポイント
ビジュアル重視の特集では、複雑な解剖生理や術式が写真やイラストで“見て”学べるため、ドクターの指示にもナットク!後輩指導にも活用して、先輩ナースの負担10%低減を目指します。
患者さん一人ひとりに応じたケアをナースが主体的に考えられ、“一歩先のケア”が実践できるように。
部署の活性化にも寄与します。適切なケア&アセスメント力が身に付き、合併症の予防・早期発見や再入院のリスク軽減に貢献します。
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