「 ばっかもーーーん!!! 二峰性P波じゃ!!! 」
って怒られたことありませんか? ないですよね? 僕もないです。
じつは僕……、怒ったこともないです。
ということで、
これを読み終わったあなたは、二峰性P波がわかるようになっちゃいます!
電気が心房を通らなければ心電図に波形はでない
そもそもP波って何でしたっけ?
洞結節から発信された電気が心房を通って房室結節に届くまでの波形でしたね。
洞結節から電気が出ただけでは心電図に波形はでません。
心房を通らないと波形にはでないのです。
例えば、洞房ブロックという脈が遅くなる不整脈(洞結節から出た電気が心房を渡り切る前に遮断されてしまう波形)がありますが、P波は見えません。
たとえば下図を見てみてください。
上図の左から2つ目の矢印は、電気は洞結節から出ているのですが心房を通る電線でブロック(遮断)が起こっています。
つまり、洞結節は定期的に電気を発信しているのです。
洞から房をめぐる道をブロックするので「洞房ブロック」と覚えるとよいかもしれません。
簡単にいえば洞結節から出た電車が心房を通るときに脱線し、房室結節まで行かなくなったってわけです。
房室結節まで電気が届いていないわけですから、当然心室まで電車はたどり着きませんのでQRS波も出ないということになります。
ではテストです。
上図の波形で、洞房ブロックが起こっているところを探して見ましょう。
正解を言わないのが僕のいいところです。2カ所あると思います。
二峰性P波は右心房と左心房で、電気が通る時間に差ができている
ゆーても今日のテーマは二峰性P波。
少し話が脱線しましたが(うまいこと言った)、意識してP波を見たことありますか?
ちょっとP波を意識して下図の①と②の波形を見比べてみてください。
いかがでしょうか?
P波は通常、上図②のように1つの山です。しかし、上図①の波形をみるとP波が二つ山になってるのがわかると思います。今日はこれを解説していきます。
洞結節が右心房にあるので洞結節から出た電気は右心房から流れます。
そのため、P波の前の3分の2は右心房の興奮が流れており、後ろの3分の2は左心房の興奮が流れています。
でもまあ右心房と左心房、ほぼ同時に電気が流れているので左右のP波は重なって1つに見えるという感じです。
ということは、二峰性P波というのは、電気が通り終わる時間に、右心房と左心房で差ができているということです。
だって、心電図を印刷するときは横に紙が流れるでしょ。つまり、心電図の横軸は時間です。
二つ山になっているということは、電気が左心房を流れきるのに時間がかかっているのです。
二峰性P波は左心房が大きくなっていると考えられる
なんで時間がかかるのでしょう。
それは左心房が大きくなったからなんです。シンプルに左心房が大きくなったから、電気が左心房を通り終わるまでの時間がかかったと考えましょう。
つまり、二峰性P波がでるということは、左心房が大きくなっちゃってるんです。
もっというと、左心房が大きくなっちゃう病気があるかもしれないという考えを持つことができます。
たとえば、左心房と左心室を隔てる僧帽弁の異常。
僧帽弁が狭くなったりすると左心房から左心室までスムーズに行かず、左心房に負荷がかかります。
その負荷が慢性的に続くと左心房が大きくなり、その結果、二峰性P波になるということです。
また、僧帽弁が閉じきらないと、全身へ行かずに左心房へ逆流をしてしまい当然左心房に負荷がかかります。
おわかりいただけたでしょうか?
二峰性P波は僧帽弁の異常があるかもしれないということが。
ということで、二峰性P波は僧帽弁の異常があるかもしれないということをお伝えして終わりにします。
あっそうそう。
二峰性P波のことを通称「僧帽性P波」と呼ばれていますので併せて覚えておきましょう。
今日はここまで。
・P波は洞結節から発信された電気が心房を通って房室結節に届くまでの波形である
・P波は右心房の興奮と左心房の興奮が重なって、1つの波形に見えている
・二峰性P波は左心房の膨張により、電気が左心房を通り終わるのに時間がかかっているため起こる
・二峰性P波は通称「僧帽性P波」とも呼ばれており、僧帽弁の異常が考えられる
血圧を測りに行ったのに血圧計を忘れるとんこつ...いやポンコツナース。『わからないことを馬鹿にするのは間違ってる精神』で密かに若手ナースを応援している。
「僕なんかできない…」より「僕でもやってみよう…」と考えたい超マブなお年頃。心電図を通してあなたが自信が持てたり、何かに挑戦するスピリッツを持ってもらえるように頑張るんば←黙っ
この心電図の勉強も挑戦でしょう。とにかくなんでもいいから挑戦するあなたの背中押します。ドンっ!!!