新卒では看護師の仕事には就かず、農林大学校へ進学したまめこさん。コロナ禍に初めて病院で働きはじめ、それまで通っていた農林大学校を退学することを決意し、荷物整理のために2カ月ぶりに学校の寮に戻ってきました。寮に着いて、まずは3カ月間置きっぱなしになっていた車を確認したところ、バッテリーが上がってドアが開かず、セキュリティアラームが鳴り響きましたが、舎監さんのおかげで直りました。ようやく部屋に戻って荷造りですが、その荷物の多さに愕然としました……
荷造りを再開
3カ月ぶりの寮の夜は、誰もいないため本当に静かでした。眠りの質は家よりも良かったように思います。
翌朝からは荷造り再開です。
ベッド周りの小物やクローゼットに入っている日用品、本棚に並ぶ教科書も、洋服と同様に大きなビニール袋に入れていきます。日用品は、入れ方を間違うと持ち上げたときにビニール袋が破けてしまうので、入れる順番や方向をよく考えて入れていきます。
節約のため2年生で必要になる教科書は卒業された先輩から借りていたので、それは別にまとめておきます。明日、同じ林業コースのクラスメイトが会いに来てくれることになっているので、友だちから先輩に渡してもらう予定です。
その日は土曜日にも関わらず、私が在籍していた林業コースの先生たちが集まってくれると聞き、本当にいいところにいたんだなと感じました。
明日に備えて車を点検
バッテリーは上がり、セキュリティアラームが止まらない、“困ったちゃん”な車でこのまま長距離を走るのは危険なので、近くのガソリンスタンドで見てもらうことにしました。
スマートキーが壊れているため鍵穴にキーを差し込んでドアを開けます。昨日はこの動作でアラームが鳴り止まなかったのでヒヤヒヤしましたが、今日はなんともありませんでした。
エンジンをかけるのもドッキドキしました。もしかからなかったら、ガソリンスタンドまでも行けず、また舎監さんを呼ばなければいけません。
深呼吸をして、エンジンがかかりますようにと願いながらキーを回すと、意外にもスムーズにかかりました。3カ月もエンジンをかけられなかったためバッテリー自体が傷んでしまっていないか心配でしたが、音を聞く限りは大丈夫に思えました。でも、高速道路を使って帰る途中でトラブルが起こらないか不安なため、予定通りガソリンスタンドに向かうことにしました。
寮から車で走ると5分ほどは畑とぽつぽつと民家があるのみで、しばらくするとスーパーがあり、その前にあるガソリンスタンドは車2台がやっと入れるほどの広さです。
ガソリンスタンドに入るとすぐに店員さんが駆け寄ってきてくれました。
私「すいません、3カ月間エンジンかけてなくて、昨日バッテリー上がっちゃってたのを直してもらったんですけど、バッテリーは大丈夫か見てもらいたくて」
店員さん「わかりました! こちらへお願いします!」
店員さんたちが手際良くバッテリーの状態を見てくれました。
店員さん「バッテリー大丈夫そうですよ!」
私「明日、100km以上走らないといけないのですが、それにも耐えられそうですか?」
店員さん「100kmも走るんですね! 本当にバッテリー上がってたのかなというくらい良好なので、大丈夫そうですよ!」
私「あ、そうなんですね。安心しました! ありがとうございます」
バッテリー点検にお金を払うつもりでしたが、請求もされずに「お気をつけて」と見送ってもらいました。
本当に大丈夫なのかと思いつつ、専門職が言ってるから大丈夫なんだよねと心配が芽生える自分を宥め、寮に帰りました。
準備がすべて終わった
車の不安が解消したら、次は荷物を車に詰め込む作業です。
寮のそばに車を止め、ビニール袋に詰めた荷物を積んでいきます。荷物を詰めて部屋で持ち上げたときは大丈夫でしたが、持って歩くと中で荷物同士がぶつかり、いまにもビニールが破れそうでハラハラしました。
部屋から寮の玄関まで少し距離があったので、重い荷物を運ぶ&車に積む作業は一苦労でした。
運転席以外のすべての椅子を倒し、そのうえ助手席にまで荷物を置くことになり、予想以上にパンパンになりましたが、無事すべての荷物を乗せることができました。
部屋の鍵を閉め、鍵を舎監さんに渡し、帰る準備が整いました。
明日、林業コースの先生と友だちに会ってから帰ります。
私、本当にここを離れるんだな、そんなことを考えていました。
5年一貫の看護高校卒業後、林業学校に進学。現在は、病院と皮膚科クリニック のダブルワークをしながら、発達障害を持っていても負担なく働ける方法を模索中。ひなたぼっこが大好きで、天気がいい日はベランダでご飯を食べる。ちょっとした自慢はメリル・ストリープと握手したことがあること。最果タヒ著『君の言い訳は、最高の芸術』が好きな人はソウルメイトだと思ってる。ゴッホとモネが好き。夜中に食べる納豆ごはんは最強。