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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:カルチ

「入院さんどこのカルチ?」「大腸カルチだって」
看護師さんなら「カルチ=がん(悪性腫瘍)」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「カルチ」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「カルチ」は、ギリシア語の「カニ」を意味する「Karzinom(カルツィノーム)」が起源です。
乳がんが周辺組織に広がる様子を、手足を伸ばしたカニで表現したことが由来と言われています。
「がん」は、英語で「Cancer」です。
「キャ」にアクセントを置いて「キャンサー(kˈænsɚ)」が英語に近い発音です。


6月・7月生まれの方はお気づきかもしれませんが、やはり「Cancer」にも「カニ」という意味があり、12星座の蟹座は「Cancer」です。
記録には「Cancer」を略して「Ca」と記載しているのをよく見かけます。
最近はあまり使われなくなりましたが、「LK」「MK」などのように「がん」を略して「K」と表現することがあります。
この「K」は、ドイツ語の「がん」を意味する「Krebs(クレープス)」から来ており、これも「ザリガニ」という意味があります。

では、日本語の「がん」と「蟹」は何か関係があるのでしょうか?
「がん(癌)」の漢字には「嵒」が使われています。
これは「岩」を表わす漢字です。
江戸時代の医学書には、「乳岩」と表記されている例が確認されています。
日本では、がんの固いしこりが「蟹」ではなく「岩」を連想させたようですね。
でも、日本語の「がん」と「蟹」は発音が似ていますよね。
「カニ」の音が変化して「がん」になったという説もあるそうです。
「がん」と冬の味覚「カニ」、切っても切れない関係は紀元前から現在に至るようですね。

Do you have a family history of colon cancer ?

(ご家族に大腸がんの方はいますか?)

※家族歴を尋ねるときは「do you have a family history of~」のフレーズが使えます。





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


歌の歌詞にも使われているフレーズなので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
もともとは、ギャンブルや宝くじなどで簡単に手に入ったお金は簡単に失ってしまう、という意味のことわざで、「悪銭身に付かず」という日本のことわざに相当します。
アメリカで就職先を探してもなかなか見つからず、こんなに努力しているのになぜ報われないのかと苦しんでいるときに、友人がこの言葉をかけてくれました。
“本当に手に入れたいものがあっさり手に入ってしまったら、失うのも同じように簡単なのか……”
そう思えたらずいぶん気持ちが楽になり、ほしいものはしっかり時間をかけて手に入れようと思えるようになりました。
本気で手に入れたいものがあるのなら、現状は難しくても八方ふさがりでもあきらめずにじっくり時間をかけてみませんか?
簡単に手に入らないから人生はおもしろいのかもしれません。

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。