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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:ケモ

「ケモ目的の入院」「外来ケモ」。
看護師さんなら「ケモ=抗がん剤や化学療法」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
医師や看護師の記録にも「ケモ」や「chemo」が使われます。
「ケモ」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「ケモ」は、英語で「chemotherapy」です。
「ケモ(chemo)」は英語の略語ですが、読み方はドイツ語由来なので英語としては通じません。
英語の発音は、最初の発音が「ケ」ではなく「キ」と発音して、「キーモ セラピィ(kìouθέrəpi)」が英語に近い発音です。
略語も「ケモ」ではなく「キーモ」です。

アメリカで抗がん剤治療をする患者さんから相談を受けたことがあります。
「2度の抗がん剤治療を終えても効果がない、でも自分の入っている保険では同じ抗がん剤しか使えないからどうしたらいいか」というのです。
つまり、入っている保険によって使える抗がん剤が決まっており、それ以上の治療ができないのです。
もしほかの抗がん剤を希望すれば保険適用外となります。
アメリカですから、莫大な医療費は避けられず自己破産は免れないでしょう。
事実、アメリカの自己破産の6割は医療費なのですから。

アメリカでは、いわゆる「オバマケア」と呼ばれた低所得者向けの医療保険制度はありますが、日本のような国民皆保険制度とは程遠く、あらゆる医療に制限がかけられています。
保険証を持っていれば、いつでもどこでも必要な医療サービスを受けることができる日本の医療制度は、世界でもっとも高く評価されていることをご存じでしょうか?

Chemotherapy is given at the outpatient chemotherapy center on the 2nd floor of the A building.

(抗がん剤はA棟2階の外来化学療法センターで行います)


※「A棟1階」や「B棟2階」など大きな病院は棟が分かれていますよね。案内には「on the ○ floor of the △ building」のフレーズが使えます。





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


アメリカ独立に貢献し建国の父として100ドル札の顔になったベンジャミン・フランクリンの言葉です。
「時は金なり」という名言を残した彼は、人の時間は限られているのだから浪費せず、有効に使うべきと説いています。
その使い方の1つが、今日の言葉です。
私自身、できることを「明日でいいか」と後回しにしがちで、ズルズルと日が経ってしまうことが少なくありません。
明日も同じように健康で落ち着いた精神状態とは限らないのに、明日できるから平気と思ってしまうのです。
案の定、風邪をひいたり、仕事でトラブルが発生し帰れないなど、数えきれないほど「昨日やっておけばよかった……」と後悔してきました。
睡眠時間を削ってまでできることに手を伸ばす必要はありませんが、有意義な時間の使い方を日々意識して心掛けたいものですね。

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。