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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:ウロ

「ウロ外来に連れてって」「ウロ科で入院きます」
看護師さんなら「ウロ=泌尿器」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「ウロ」はカタカナだし、英語由来でそのままでも通じるのではと、みなさんは思っていませんか?

「ウロ(科)」は、英語で「Urology」です。
一見「ウロ」と読めそうですが、この読み方はドイツ語由来なので英語としては通じません。
英語の発音は、最初の発音が「ウロ」ではなく「ユーロ」と発音します。
はじめの「ロ」にアクセントを置いて「ユーロロジィー (jʊ(ə)rάlədʒi)」が英語に近い発音です。
複数の医療機関を経験すると、各診療科の先生方の性格や医局の雰囲気がなんとなく似ているな~と思うことがあります。
今回紹介した「urology」もその一つで、比較的大らかで気取らない先生方が多い印象があります。
もちろん、これは私の個人的意見なのですが、アメリカの研修医向けサイト「Urology Match」にも、泌尿器科医(urologist)の傾向がこう書かれています。
「friendly, funny, and happy group of surgeons(親しみやすくて面白く明るい外科医の集まり)」
これについて、反対意見も多いかと思いますが、みなさんの「urologist」の印象はいかがでしょうか?

Your doctor wrote a referral letter to an urologist.

(泌尿器科の先生に紹介状を書いてくれました)





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


マイクロソフトの共同創設者で、世界でもっとも裕福な人物の1人:ビル・ゲイツの言葉です。
貧乏は罪ではないが、自分の人生を変えようともせずに貧乏のままでいるのは罪である、というメッセージが込められています。

この言葉に出会った当初は、さほど心に響きませんでした。
世の中には苦労してもお金に恵まれない人は山ほどいますから、お金の心配など必要ない大富豪の戯言程度にしか感じられなかったのです。
しかし、自分が緩和病棟で勤務をするようになり、日常的に患者さんの最期を看取るうちに、この言葉の深い意味が見えてきました。

「人の死に様は、生き様を表わす」といいますが、本当にそのとおりだと思います。
緩和病棟に入院される方は、比較的仲がよく協力的な家族のいる方が多い傾向にあります。
しかし、そうではないケースも少なからずあり、家族への対応に大変苦慮した経験があります。
ビル・ゲイツのいう「poor」とはお金の貧困だけではなく、社会や心の貧困も含まれているのではないかと解釈したときに、この言葉がストンと腑に落ちました。
この先、裕福になる可能性は限りなく少ないとしても、心が貧乏にならないよう人生を歩んでいかなければいけないなと、改めて思いました。

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。