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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。
本日のカタカナ英語:セッシ(ピンセット)
「セッシ使うから持ってきて」「鉤付きのセッシってある?」
看護師さんなら処置でセッシを使うことは日常茶飯事なのではないでしょうか?
「セッシ」は英語で「ピンセット」と思っている方が多いようです。
「ピンセット」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?
「セッシ(攝子)」とは、手術や処置などでモノをつかむときに使う医療用のピンセットです。
「ピンセット」は、オランダ語の「pincet」が由来です。
英語でセッシ(攝子)に相当するのは、「forceps」です。
最初の「フォ」にアクセントを置いて「フォーセプス(fɔ́rsəps)」が英語に近い発音です。
「forceps」は、「鉗子」という意味もあります。
「止血鉗子(hemostats)」と同様に、攝子にも鉤付きの有鉤攝子と鉤なしの無鉤攝子があります。
英語で有鉤攝子は「toothed forceps」、無鉤攝子は「non toothed forceps」と呼ばれています。
また、医療現場では「grasping forceps」「thumb forceps」「pick-ups」などさまざまな言い方がありますよ。
さて、「ピンセット」が英語ではないと知って驚かれた方は多いのではないでしょうか?私もその1人でした。
「ピンセット」は英語で「tweezers」です。「ツゥイーザァズ」が英語に近い発音です。
アメリカ留学中に、ドラッグストアで「tweezers」を購入したことがあります。
まず指でつかむところが硬過ぎて、かなり指先に力がいりました。そして、精度が悪すぎてトゲを挟んでも抜けないのです。驚くほど品質が悪く使い物になりませんでした。
「日本でこんなもの売ったら大変だよ!」と怒りがこみ上げてきたのですが、冷静に考えると日本の品質は「made in Japan」として世界から高く評価されるブランドです。
海外で不便な目にあって、あらためて日本の素晴らしさや「made in Japan」のブランド力を実感しました。
日本にいると当たり前になってしまいますが、一歩外に出て日本の素晴らしさを再発見・再認識できたことは、人生の大きな経験や宝になりました。コロナが落ち着いたら、ぜひ若い方々には、海外に出ていろいろな経験や挑戦をしていただけたら……と老婆心ながら願っています。
30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。
「トム・ソーヤの冒険」などの著者で知られるアメリカの小説家マーク・トウェイン(Mark Twain)の言葉です。「トム・ソーヤの冒険」は、1980年に日本でもテレビアニメ化されたので、子どものころに観たことがあるという方は多いのではないでしょうか?
ベストセラー作家としての地位を確立した彼は、莫大な印税によって資産家となります。しかし、見境のない株や発明の投資に資産を注ぎ込み自己破産に陥ったという、波乱万丈な人生を歩んだ人物です。
さて、今日の言葉は自分の置かれた環境によって感じ方が変わってくる言葉です。とくに大きな心配事がないときにはあまり響かないのですが、自分が心配事に囚われているときはかなり心強い言葉になります。
私は海外旅行中によくこの言葉を思い出していました。
「強盗に襲われるんじゃないか」「泊まるところがないんじゃないか」「何もしてないのに捕まるんじゃないか」など今思えば笑い話なのですが、当時は真剣に悩んでおり心配事が妄想モンスターのように膨らんでいきました。でも、ジェットコースターのような人生を生きたトウェインでさえ、自分で勝手に心配していることはめったに起こらないといっているのだから「まぁ~なんとかなるでしょう」と気持ちの切り替えに一役買っていました。
そのうち、「旅行中のトラブルやハプニングは想像の範疇を超えてくるからおもしろい!」と思えるようになり、旅行が楽しくてやめられない少々やんちゃな時期を過ごしたのは、若かりしころのいい思い出です……。
いくつになっても悩み事は絶えませんが、「十中八九要らぬ心配になるみたいだし……まぁいっか」と無駄に反応せず流れに身を任せるのも大切かもしれませんね。
心配事に囚われて身動きが取れなくなくなってしまったら、ぜひ今日の言葉を思い出して「まぁいっか」と声に出してみると、すこし気持ちが晴れるかもしれませんよ。
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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。