みなさんこんにちは。私は北海道にある斗南病院精神科で緩和ケアチームに所属している上村恵一です。今回は3回シリーズで「コロナ禍における医療者のメンタルヘルス対策講座」として、医療現場で奮闘されている医療者のみなさんの心の問題に少しでお役に立てればと思い、企画させていただきました。本シリーズでは、まずは医療者の心のなかにどのような問題が起きているのかということから、少しずつその対策に向けてお話を進めていきたいと思っています。では第3回は『「セルフモニタリング」「ネガティブ・ケイパビリティ」この2つがキーワード』についてお話していきます。(2020年8月21日撮影)

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①セルフモニタリングとは
・理由のわかる不安は経過観察してよいが、理由がわからない不安があるときは専門家に相談

②COVID-19対応者には特有のストレス反応がある
・よくわからない、先行きが見えないことが不安を増強する
・慣れない防護服、続く緊張感、隔離された環境で同僚や家族とコミュニケーションが取れないなかで起こるストレス

③生活様式の変化に気づく
・セルフモニタリングにおいて重要
・アルコールの量とパソコンに向かう時間がストレスをはかる重要な要素であり、どちらも増えている医療者は自身のメンタルヘルスを見直してもらいたい

④危険なのは自分の変化に気づかないこと
・セルフモニタリングにより自分のストレス症状の理由付けができるのか、できないのか考える習慣をもってもらいたい

⑤ネガティブ・ケイパビリティとは
・どの選択肢でも承認が得られにくい状況が関与している
・世の中のメンタルヘルスに余裕があるときは、どんな選択肢もポジティブな反応が得られる
・ネガティブ・ケイパビリティとは、正解がない問題に対処するのに、正解を安易に求めず、不確実さや不思議さを受け入れる能力

⑥まとめ
・自分の気持ちと行動の変化に敏感になる
・変化に気づくことが重要
・どうにもならないことを受け入れる力を身につける

今回で当シリーズは終了です。

上村恵一
国家公務員共済組合連合会 斗南病院
精神科・緩和ケアチーム・認知症ケアチーム・倫理サポートチーム