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真意・背景をきく

絵本 『りゆうがあります』
ヨシタケシンスケ/作・絵
PHP研究所 2015年刊
定価 1,300円+税

 鼻をほじったり、爪をかんだり、貧乏ゆすりをしたり、ごはんをボロボロこぼしたり。ある男の子がついやってしまう“お行儀の悪い癖”の理由について、それを注意したお母さんに説明していくストーリーです。

* * * * *

でもさ、 おとなだって
「ついやっちゃうこと」って あるでしょう?

そうねー。あるわね。
でもじぶんじゃ わかんないのよねえ。

* * * * *

 絵本の中で男の子が考える理由や発想が実におもしろいと感じるのと同時に、その行動に対する外部からの印象と、本人が思う理由が異なっていることに気づきました。
 いろんな行動には理由があります。表面にあらわれている言動や行動の裏には「真意・背景」があります。だから、その言動や行動を起こしている本人に尋ねてみないと、本当のところはわかりません。

率直に尋ねてみる

 以前、看護師向けの研修で「新人看護師に尋ねるワーク」を行ったことがあります。まず新人看護師がうなだれてため息をつき「もう、ダメかも」とつぶやいているシーンを想定してもらいます。看護師たちは、新人看護師がうなだれてため息をついている理由について、「患者? 彼氏? 同僚や先輩? 自己嫌悪や不安な気持ち?」などとさまざまな思いをめぐらせ、その言動や行動の「真意・背景」を考えます。本当の理由は誰にもわかりません。
 次に、こちらが見て感じたままを言葉にして尋ねてみます。「ふさぎ込んでいるようだけど、どうしたの?」「ため息が聞こえたけど、何かあった?」。率直に尋ねてみることで、少しずつ相手の世界や気持ちに近づくことができます。

考えてみましょう

【問1】行動や言動と、裏にある真意・背景が違っていた経験やエピソードを教えてください。

【問2】相手のことが気になるとき、どのように尋ねますか?



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がんばらなくてもいいんだよ
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岡山ミサ子
オフィスJOC(Japan Okan Consultant)代表
心といのちの専門家(オカン)

看護師40 年、看護部長を17 年務めた後、人材育成・相談業務を中心に活動。自殺防止の電話相談では10 年間で約1,800 人の悩みを聞いてきた。またワークショップデザイナーとして対話の場づくりを約3,000 人に実践。2019 年にはオフィスJOC を起業し、「ケアする人をケアする」「がんばリーダーを応援する」「対話の場をつくる」をコンセプトに、日本を元気にするための活動を行っている。現在は全国の医療・介護系の研修をオンラインとリアルの両方で開催。2020 年からはオカプロ(オカン力プロフェッショナル)養成塾のほか、塾生たちとの「オカン対話Café」「がんばリーダー育成講座」をスタート。主な著書に『リーダーのための育み合う人間力』(医学書院)、『ケアする人をケアする本 医療スタッフのための人間関係力』(gene)などがある。