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個性を大事にする

絵本 『11ぴきのねことぶた』
馬場のぼる/作
こぐま社 1976年刊
定価 1,200円+税

 11ぴきのねこがいつも奇想天外なことを起こします。どれもユーモアがあって楽しく、私の子どもたちがまだ幼かった頃に何度も読み聞かせしたことを思い出します。この絵本の中に、ねこたちが知り合ったぶたの家を建てる場面があります。

* * * * *

11ぴきのねこは しごとにかかりました。
まるたんぼうや いたを、どんどん くるまで はこびました。
トントンカチカチ、トントンカチカチ。ゴシゴシゴシゴシ。

* * * * *

 家を建てるのに誰一人同じことをしているねこはいません。トラックを運転するねこ、トラックの荷台で号令をかけるねこ、積み下ろした木を運ぶねこ、その木を受け取るねこ、メジャーで長さを測るねこ、木を支えるねこ、トンカチで作業するねこ、のこぎりで木を切るねこ、懸垂するような格好で木を押さえるねこ、図面を確認するねこ、大きな板を抱えているねこ。
 それぞれが異なる働きで、家を建てるという共通の目標を達成するために、一丸となって力を発揮しています。個性の違う一人ひとりを大事にしています。

「仲間意識・一体感」に潜む居心地の悪さ

 ある管理者が私に「うちのチームは一体感があってみんな仲がいいです」と話してくれました。仲間意識や一体感は、時に「わかるよね」「察してよ」「空気を読んで」と個々にあうんの呼吸を要求します。チームや組織にコントロールされているようで、ときに息苦しさや居心地の悪さを感じることがあります。
 皆で何かを成し遂げるときには、考え方や経験、価値観が異なるそれぞれの個性をうまく合意形成していく必要があります。そのためには、仲間意識や一体感より、むしろビジョンや目的、理念を共有することのほうが大切です。個とチーム、組織がどこを目指していくのかを共有することで、異質さを活かした組織づくりができます。

考えてみましょう

【問1】個性の違う人たちと仕事をするうえで、大事にしていることは何ですか?

【問2】あなたは個性の違う人たちと仕事をするときに、どのように合意形成を図っていますか?

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岡山ミサ子
オフィスJOC(Japan Okan Consultant)代表
心といのちの専門家(オカン)

看護師40 年、看護部長を17 年務めた後、人材育成・相談業務を中心に活動。自殺防止の電話相談では10 年間で約1,800 人の悩みを聞いてきた。またワークショップデザイナーとして対話の場づくりを約3,000 人に実践。2019 年にはオフィスJOC を起業し、「ケアする人をケアする」「がんばリーダーを応援する」「対話の場をつくる」をコンセプトに、日本を元気にするための活動を行っている。現在は全国の医療・介護系の研修をオンラインとリアルの両方で開催。2020 年からはオカプロ(オカン力プロフェッショナル)養成塾のほか、塾生たちとの「オカン対話Café」「がんばリーダー育成講座」をスタート。主な著書に『リーダーのための育み合う人間力』(医学書院)、『ケアする人をケアする本 医療スタッフのための人間関係力』(gene)などがある。