朝晩、冷えるようになってきました。今年の猛暑をもう忘れそうです。秋を飛ばして寒い寒い冬が訪れる予感ですよね。みなさんの冬の過ごし方はどのような感じでしょうか? 私は夏に暑くて登れなかった里山などの登山に出かけます。寒いときも、歩き続けると体がポカポカして気持ちよいです。先日は仲間と19キロ近く山を歩いてきました。

さて今回は、スタッフと個別で話す時間や空間の確保をしよう、という話をしていきたいと思います。

あなたはしっかりとスタッフと向き合っていますか?

精神科看護で大事なことは、利用者さんを「しっかりと観察し、しっかりとアセスメントすること」に尽きますよね。そうなんです、これは管理者がスタッフにもぜひやってほしいことなんです。

時間がない?

管理者さんの多くが感じているのは、「マルチタスクで多忙で……」ではないでしょうか。わかります。管理者にはさまざまな仕事があって、その合間に緊急の電話や対応も入ってきますよね。スタッフひとりひとりと時間をとって面談するなんて無理だよーという声も聞こえてきそうです。しかしやっておられる管理者さんを、私は知っています。

1回に15分くらいでも十分です。なによりも、「私のために時間を取って向き合ってくれている」という感覚が、とても大切だと思うのです。面談をすることで、ほかのスタッフの前では言えていないことや、想いなども確認できます。もやもやを抱えているスタッフの気持ちを整理したり、また看護観のすり合わせなどの時間にもなります。スタッフの不満を早期に発見し、改善していけるので、離職防止にもかなり効果的だと実感しています。

逆に、この時間に管理者さんの「こういう看護してほしい」という希望を伝えることもできますし、なにより、「こういうところを、がんばってるよね」というポジティブなフィードバックをすることで、スタッフのモチベーションの向上にもなると思います。

毎月面談をしています

私は常勤のスタッフには、必ず毎月30分ほど個別の面談をするようにしています。非常勤のスタッフは不定期ですが、数か月に一度はするようにしています。1日に1人くらいのペースであれば、毎月30分ずつの時間は捻出できるのではないでしょうか。

事業所全体でよい看護を展開するには、スタッフのやる気や気持ちの安定がなにより大事です。スタッフの話を聞くのって、わくわく感、ありませんか? 私の場合は職場をよくしたい、ケアの質を上げたいというゴールがあるので、まずは管理者もスタッフとの対話を楽しむ感じで面談を行っています。訪問看護の時間より先に、スタッフ面談の時間を確保するくらいの意気込みが、管理者には大事だと感じています。

必ずプライバシーを確保して面談

面談は、ほかのスタッフのいない空間、個室で行うことが望ましいです。立ち話ではなく、椅子に座って話をします。

座る位置は向かい合っても横並びでもよいですが、相手の緊張感などを見ながら位置を考えます。「これは絶対に伝えたい」ということがあるときは、私はあえて真正面に座ります(たとえば、修正してほしいことなどでしょうか)。真正面に座ると相手に圧を与えるので、これは真剣なお願いだと伝わりやすいです。

私は、記録をしながら面談をします。最初に、前回の面談で話したことをフィードバックをしてから開始します。スタッフも「ああ、そんなお話でしたね」と前回の面談のときの課題をこなしてきたかなと思い出したりしながら、1か月前の続きを話すことができます。また、管理者も、きちんと話を聞いていたことを示すことができます。

面談をしたことがない管理者さんもいらっしゃると思います。最初は、車での移動時などの2人の空間で雑談でもよいと思います。そうした雑談のなかに、しれっと、仕事での困り感、チームが盛り上がる方法はないかな、こうしたほうがいいかなといった話をするとよいでしょう。

ぜひスタッフとも、利用者さんと向き合うように向き合ってみてください。職場満足度の向上が顧客満足度の向上になるので、結果的に管理者は仕事が楽になるんですよね。また、スタッフも自立して仕事ができるようになります。こう考えると、スタッフと向き合うことって、みんなのためになるんだと思います。
では今日はこの辺で。





社本昌美
訪問看護ステーションふく・ふく代表・管理者/精神科認定看護師
精神科看護に長年魅了されています。地域で水が流れるように精神科看護を浸透させたい!そんな思いで2023年8月に訪問看護事業所を立ち上げました。 訪問看護につながる手前の方にも、よくお話をしに伺います。人生をどのように過ごしたいか、希望はなにか?そんなことを会話のなかから探り、ストレングスの視点でかかわることが大好きです。精神科看護に魅了され、わくわく働ける看護師を多く育成したいと思っています。
時間があると登山をしながら日本中を旅しています。四季折々の日本の山々に包まれて至福のときを過ごしています。