みなさん、こんにちは。前回まではスタッフのことを書きました。
今回は管理者が自分自身を大切にすることを忘れていませんか、と問いかけてみたいと思います。
管理職になったのはよいけれど
私は病院勤務時代に師長職を経験し、またそのあと部長職も経験しました。そのときにストレスを強く感じ慢性的に突発性難聴になったこともありますし、蕁麻疹が消えないということもありました。
今思えば、自分より先にスタッフのことを考える、患者さんのことを考える、病棟をよくしたいという強い思いが先走って、自分の体や感情をおろそかにしていたように思います。また嫌な上司と思われたくない、理解のある上司と思われたいということも相まって、無意識に自分の感情を出さないようにしていました。
どうしたらいいのか?
本来は仕事が好きで、精神科看護も好きだったのに、「なにか違う」というもやもやを抱えて、数年を過ごしました。今だったら、「あなたは、自分で自分の気持ちを聞けているのか」と自分に問う作業をできていますが、当時はまったくできていませんでした。管理職である今の状況は自分が望んでいた姿なのか? そう感じるようになり、未来の自分の姿がまったく見えず、悩んでいました。
そしてやりがいもなくなり、気持ちも疲弊し、管理職を降りたいと思ってそのときの病院を退職しました。その後、精神科看護師としてどうしていくべきかを考えるために別の病院へ転職し、そこでまたスタッフとして働きはじめました。
ゆっくりと考え、確認していく作業
新しい病院では管理業務ではなく、病棟の看護師業務だけに専念でき、そのことに嬉しさと物足りなさを感じました。でも患者さんに近いところでケアを実践できるので、全体としては楽しく働いていました。
患者さんとのやり取りで違和感や陰性感情を抱いたときに、「なぜ自分はそう思うのか」「なぜこんな気持ちを抱くのか」についてゆっくりと考え確認するようにしたのは、この時期です。勤務先が自宅からかなり離れていたため(なんと片道63km!)、幸か不幸か、通勤時間が1時間以上もあったのです。車を運転しながら、1人でずっとその日の自分を振り返る作業をすることができました。
自分の本心を出さない傾向
それを繰り返していくと、自分が、なんでも口に出しているように見えて、肝心な本当につらいことを、他者には言えない傾向があることがわかってきました。そして、管理職時代に「こうしてほしい」「私はこう思う」といったことを、スタッフにあまり伝えられていなかったと気づきました。スタッフの想いを8割聞き、自分の意見を2割ほどに控えていたのです。それでは蕁麻疹も出ますよね(笑)
管理職としてどうなりたいか
その病院での仕事を通じて、地域の精神科看護にも興味が出てきました。ご縁があって今の仕事に就くことになるのですが、今の会社を立ち上げる前に雇われ管理者として、ステーションの立ち上げにかかわったことがあります。
そのときに「管理職としてどうなりたいか?」と自分に確認し、落とし込みました。アサーテイブに、相手の意見を尊重しながら自分の意見を出せる姿を思い描き、そうなりたいと思いました。以前の上司から言われた、「あなたが基準で、病棟が変わる。自分が『これは違う』と思うことははっきりとスタッフに言うことが大事。言わないと、『それで良い』となっていく」という言葉が脳裏によみがえってきました。まさしくそうだと思いました。言うこと、伝えることは、非常に重きを置くべきことだと。
気持ちを解放する、潰れないための工夫
管理職を長年してきて思うことは、「休みの気分転換の仕方」「思い詰めない」の2点は大事だなということです。前述のように、私もいろいろ悩んで考えてきました。でも休みの日に登山をしたり、友人と食事に行ったりすると、気分転換になります。また、信頼のおける人に聞いてもらったりもします。気持ちを解放するためにも、余暇の過ごし方は重要なカギですよね。
管理職が自分の気持ちを大切にケアし、余暇を満喫する。もう大げさなくらい大切にしてよいと思います。それほどに需要なポストですので。管理者が元気だと、活気ある前向きな職場になります、ぜひ自分を大切にしてください。
ではこの辺で。ありがとうございました。
訪問看護ステーションふく・ふく代表・管理者/精神科認定看護師
精神科看護に長年魅了されています。地域で水が流れるように精神科看護を浸透させたい!そんな思いで2023年8月に訪問看護事業所を立ち上げました。
訪問看護につながる手前の方にも、よくお話をしに伺います。人生をどのように過ごしたいか、希望はなにか?そんなことを会話のなかから探り、ストレングスの視点でかかわることが大好きです。精神科看護に魅了され、わくわく働ける看護師を多く育成したいと思っています。
時間があると登山をしながら日本中を旅しています。四季折々の日本の山々に包まれて至福のときを過ごしています。