みなさん、こんにちは。日差しがまぶしくなってきましたね。最近、運転中にサングラスを着用しています。仕事中にサングラスをするなんてと思われるかもしれませんが、しかし、しかし! 私は51歳になりまして、白内障予防でまぶしい光をカットする大事さを考えるようになりました。

サングラス良いですよー。疲労感が軽減します。もっと早くから着用していたらよかったなあと思うほどです。もちろん、サングラスは利用者さん宅の玄関前でさっと外します。日焼け止めとサングラスが手放せない季節になりそうです。

利用者さんから暴言、暴力を受けたことはありませんか?

みなさんのなかに、訪問看護の現場で暴言や暴力の被害にあわれた、もしくは同僚があったという方はいらっしゃいますでしょうか?

もしいらっしゃったら、それは相当な心の傷になると思います。幸い、弊社では暴力、暴言は今のところありませんが、あった場合、どう対応していくかはいつも考えています。

精神科病院で勤務中は多くの暴言、暴力を受けた経験があった

私も、精神科病院で勤務中に暴言を吐かれたことはよくありましたし、背後から蹴られたこともありました。

いちばん怖かったのが、保護室の患者さんへ昼食を運んだときのことでした。2人の看護師で対応しないといけないのですが、1人が隣の保護室の患者さんに対応しているときに、先に1人で入室してしまいました。慣れている患者さんだったので甘く見ていました。ここがそもそもダメな対応ですね……。

すぐ隣にほかの看護師がいるから大丈夫だろうと考えていました。するとその患者さんが蹴ってきて馬乗りになって私の顔をひっかいて、髪の毛も引きちぎってきました。なにやら言葉にならない声で叫んでいました。女性の患者さんでしたが、かなり体の大きな方でした。私は「あ、このまま死ぬかもしれない」と思いました。

異変に気がついた隣の保護室の対応をしていた看護師が来てくれて助けてくれようとしましたが、彼女もまた殴られて、2人ともぼこぼこにたたかれました。しばらくしてカメラを見て異変に気がついた男性看護師が3人ほど入ってきてくれて、私たちを助けてくれました。

患者さんは、私を殴った理由は妄想に関連したものと説明されたようでした。もう1人の被害者の看護師は、しばらく休職されました。私はそのまま勤務をし続けました。

ほかにも数回殴られたり、蹴られたことがあります。そんなに?と思うかもしれませんが、あります。実際、精神科病院ではCVPPPという技を看護師は習得しています。 ※CVPPP(シーブイトリプルピー):包括的暴力防止プログラム

そのあとのフォローを考える

精神科病院では暴力、暴言、またそこまではいかなくても嫌味のような失礼な態度というものは、患者さんから看護師や医療者に向けてさまざまな場面で見かけます。そのときに私たちはどうとらえ、どう回復していくかが、仕事を継続するうえで大事になってきます。

このときは、まず上司が個別に話を聞いてくれました。そしてこのまま勤務できるか?と確認されました。私は着替えて自分の顔の傷の処置をして、仕事を継続しました。帰宅してもよかったのですが、そのままの場所で振り返りたかったからです。なぜ暴力を振るわれたのか? 自分の対応の落ち度を考えます。そして先輩にも話をしながら探っていきました。しかし、その後の仕事は、手につかなかったような気がします。

上司の個別面談と、気持ちのフォローと、自分自身の振り返りは必要です。訪問看護の場面でもここは必ずしてほしいです。とくに上司の立場にいる方は、きちんとしっかりと話を聞いてあげてください。自身が上司で暴言、暴力にあった場合でも、スタッフとの気持ちの共有で救われると思います。

また、主治医、関係機関にすぐに共有することも大事です。

患者さん側への振り返る機会を

スタッフの振り返りやケアが終わったら、患者さん・利用者さんに行動や言葉を振り返ってもらうかかわりをします。当事者ではない看護師が行うのがよいでしょう。当事者同士だと感情的になり、冷静さを保持できないかもしれないからです。

なぜあのようなことを言ったのか、なぜ暴力になったのかなど、患者さんの気持ちもしっかりと聞いていきます。きっと理由があるからです。看護への振り返りになります。

加害(という表現をしますが)をした側にとっても、傷つき体験となっているのです。

それも精神症状なので許し受け入れないといけないのか?

ここまで読んでいると、「精神症状で暴言、暴力を受けても、『仕方ない』こととして受け入れないといけないのか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

私はそうは考えていません。それはなぜか? この世のなかで暴言や暴力は決して許されるものではないからです。「あれはよくない行動だった」と、振り返りのときに患者さんに伝えます。「それに代わる方法はなかったのか」も考えていきます。

また患者さん・利用者さんにとって、以前に取り上げた「クライシスプラン」を作成するよい機会としてとらえます。

自分の「レッドカード」の手前の「イエローカード」を知っておくことが、患者さん自身や看護師、周りの人を守ることになるからです。

暴言までいかずとも失礼な発言はどうするのか?

暴言までいかなくても、患者さんから失礼なことを言われたり(見た目のことをけなされる。女だから男だからと言われる。仕事が遅い、早くしろ。電話になぜすぐに出ないんだなど)、されたりしたことは、みなさんも少なからずあると思います。

ハラスメントという考え方を、精神科の現場でもしていかないといけないですよね。

精神科だから、患者さんだから、OKではないと思います。私たちも人間なので傷つきますし、きちんと「言ってよいこと、悪いこと」を伝えていきましょう。「(患者さん・利用者さんの行った)それには非常に傷ついた」と表現してほしいと思います。フラットな関係で看護を提供してくためには、きちんと線引きをしてほしいです。

私はスタッフに、パワーで押されそうなときは「目に見えない壁」を自分の前につくってくださいと伝えています。そうすることで、ずいぶん気が楽になるというスタッフもいます。わたしたちの仕事は感情労働でハードです。自分の心の健康がよい看護につながるのでぜひ、自分を大事にしてくださいね。

まとめ

〇精神科の現場では少なからず暴言や暴力があったりする

〇被害者も加害者も振り返りケアが必要

〇精神疾患だからOKではない、ダメな行動だったと振り返る

〇クライシスプランを作成・活用し、今後に生かす

〇傷ついた、嫌だったと表明してOK





社本昌美
訪問看護ステーションふく・ふく代表・管理者/精神科認定看護師
精神科看護に長年魅了されています。地域で水が流れるように精神科看護を浸透させたい!そんな思いで2023年8月に訪問看護事業所を立ち上げました。 訪問看護につながる手前の方にも、よくお話をしに伺います。人生をどのように過ごしたいか、希望はなにか?そんなことを会話のなかから探り、ストレングスの視点でかかわることが大好きです。精神科看護に魅了され、わくわく働ける看護師を多く育成したいと思っています。
時間があると登山をしながら日本中を旅しています。四季折々の日本の山々に包まれて至福のときを過ごしています。