書籍『予防のためのせん妄ケア』（詳しくはこちら）の著者が、臨床で役立つせん妄の基礎知識をクイズ形式で出題・解説します。

Q

入院時の持参薬にデパスが入っていました。

受け持ち看護師として、次の中から適切な対応を1つ選択してください。

A：持参薬の自己持ちと指示を受けたから渡した
B：デパスは高齢者にとってせん妄を惹起する場合があるため、医師や薬剤師に相談してから、対応を考えることにした
C：デパスは高齢者にとってせん妄を惹起する場合があるため、飲まないほうがいいと患者に助言した

正解はこちら

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［　B　］

【解説】
BZD（ベンゾジアゼピン系）薬の中止には注意が必要です。書籍「予防のためのせん妄ケア」の第2章1（p22）を復習してください。
「Z ドラッグ」とよばれる薬剤には、ゾルピデム（マイスリー^🄬）、ゾピクロン（アモバン^🄬）、エスゾピクロン（ルネスタ^🄬）があります。ベンゾジアゼピン系の短時間型の不安薬は、エチゾラム（デパス^🄬）クロチアゼパム（リーゼ^🄬）ブロチゾラム（レンドルミン^🄬）トリアゾラム（ハルシオン^🄬）、塩酸リルマザホン（リスミー^🄬）などがあります。ベンゾジアゼピン系薬剤はせん妄発症の代表的な要因のひとつであり、これまで数多くの研究でそのリスクが報告されてきました。
薬剤別のリスクの違いや服用期間による違い、急速に中断することによるリスクについての報告もあり、各々の患者に応じてせん妄リスクを正しく評価し、対応することが求められます。集中治療室や終末期医療におけるせん妄治療の選択肢としてのベンゾジアゼピン系薬剤の検討について、エビデンスは乏しくリスクを充分に考慮した検討が必要^1）と報告されています。

【参考文献】
1）吉沢和久ほか．せん妄とベンゾジアゼピン系薬剤．臨床精神薬理．26（7），2023，689-95．

【執筆】
吉井 ひろ子
関西医科大学総合医療センター 精神看護専門看護師

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