みなさんこんにちは!
前回の#033「心カテ室で使われるME機器~テンポラリーペースメーカー①~」からテンポラリーペースメーカーのお話をしています。
その続きをお話ししますね。
今日のお話は、臨床工学技士や医師にとってはいつもやっていることかもしれません。では看護師のみなさんは関係ない? そんなことはありません!
特に病棟の看護師さんは、今回のお話を知っておいたほうがいいかもしれません。テンポラリーペースメーカーの患者さんが病棟にいらっしゃることもありますよね。
病棟で心電図をモニタリングしているとき、テンポラリーペースメーカーが入っているにもかかわらず徐脈になった! そんなことを経験したことありませんか? そのときの対処で今回の操作や確認が必要になることがあります。
ぜひお付き合いくださいね!
ペーシングカテーテルとテンポラリーペースメーカーとの接続(図-A)
ペーシングカテーテルの先端の位置が落ち着いたところで、ペーシングカテーテルをテンポラリーペースメーカ-と接続をします。そのときには中継ケーブルが必要です。ペーシングカテーテルのDistal(ディスタル:後ろっていう意味)が黒色(-)のコネクタ、Proximal(プロキシマル:先端側っていう意味)を赤色(+)に接続します。中継ケーブルのもう片方をテンポラリー本体のそれぞれ赤色・黒色に色を合わせて接続します。接続したらちょっと線を引っ張って抜けないかを確認してください!
閾値みてー!って言われたら
ペーシングカテーテルを挿入しても、ペーシングが効かなければ意味がありません。
ペーシングのテストを行います。
このとき声出しがとても重要です! 術者にいま何をしているのかを伝えましょう。
(1)本体の設定を確認します
※電源入れたらいきなりペーシングしないために必ず確認しましょう!
①出力最小(0.3Vとかいちばん低い数字)
②感度最大(f〈無限大〉または20mVとかいちばん高い数字)
③ペーシングレート最小(30p/minとかいちばん低い数字)
(2)電源を入れます(図- B)
ON=VVI(多くの機種はVVIがONになります)
(3)感度を確認します(図-C)
【見るところ】
・Senceライトの点灯
・心電図モニタ(QRS)
【やること】
・操作するところ:Sence(感度)
①患者さんの心拍に合わせてSenceのライトが点灯するか?を見ながら
②Sense(感度)を低い値から目盛りごとに上げていき、それぞれの数字ごとにSenceライトが患者さんの心拍に合わせて点灯したら次の数字へ(例1→1.5→2→2.5→3→4→5mV)
➡声出し「センスみます! 1mV!! 1.5mV!! 2mV!! …5mV、オッケーです!」
③5mV以上、上記確認できたらOK
④Senceを1.5mVくらいに設定
※設定値はSenceランプが点灯確認できた値の1/3の値に設定
例えば5mVであれば1.5mVでOK
➡声出し「5mVオッケーなんで感度1.5mVに設定しておきます!」
<NGの場合>
2mV以下くらいでSenceライトが点灯しなければNG
➡声出し「2mVでセンスできません!」
(4)閾値を確認します(図-D)
【見るところ】
・Stim(pace)ライトの点灯
・心電図モニター(QRS)
【やること】
・操作するところ:Stim(pace 出力)とRate(レート)
①患者さんの心拍数を確認します
②Rate(レート)を上げる
目安:だいたい現在の患者さんの心拍数の10~20p/min
(例:患者さんの心拍数が50ならば70p/minとか)
➡声出し「いまレート50なんでペーシング70に設定します!」
③Stim(出力)を5Vに上げる
➡声出し「ペーシング入ります!5V!」
④心電図波形の形が変わりレートが設定された値(70p/min)になります
➡声出し「レート70! ペーシング入りました! 出力落としていきます!」
⑤心電図QRSと心拍数を見ながら、Stim(出力)を1Vづつ下げる
(例:5→4→3→2→1V)
➡声出し「4V!! 3V!! 2V!!…1V、オッケーです!」
⑥Stim(出力)を3Vに上げる
➡声出し「閾値1Vオッケーなんで3Vに設定します!」
※設定値はペーシングが確認できた最小の値の3倍に設定
(例:1Vであれば3VでOK)
<NGの場合>
2V以上でペーシングが確認できなかったらNG
➡声出し「2Vでペーシングできません!」
(5)レートを設定する(図-E)
【見るところ】
・Rate(レート)ダイヤル
・心電図(QRS)
①指定されたRate(レート)に設定する
➡声出し「先生! レートいくつに設定しますか?」
➡声出し「レート50に設定しました! 今、自己です!(または今、ペーシングです!)
これで、テンポラリーペースメーカーの準備が完了です!
この操作は間違いがあってはいけません。また、みんなで確認するためにも必ず周りのスタッフに聞こえるように大きな声で伝えながら作業しましょう。
次回は、テンポラリーカテーテルのトラブルや病棟で起こりうる合併症などについてお話ししていきます。次回もお付き合いよろしくお願いします。
ありがとうございました。
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。