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2022年4月よりセカンドラボ株式会社に入社。主に介護施設を中心に医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の営業・採用課題のサポートを行う。
看護師として新卒で就職したはいいものの、残業続きで毎日忙しい。仕事もなかなか覚えられず、先輩にも怒られてばかり。正直辞めてしまいたい…。そんな風にお悩みの方も多いのではないでしょうか。
1年目で同じ悩みを抱えている看護師の方は多くいます。この記事では、看護師が1年目に抱くことが多い悩みとその解決策を紹介します。
1.看護師の離職率
「辞めたい」と悩む新人看護師が多いとはいえ、実際に退職した看護師はどれくらいいるのでしょうか。本項では記事の導入として、看護師のリアルな離職率を紹介します。
公益社団法人日本看護協会の「2022年病院看護・助産実態調査」によると、2021年新卒看護師の離職率は10.3%と全体の11.6%よりもやや低い結果になりました。
看護師の離職率は全体で10%~12%の状態がしばらく続いていますが、新卒看護師に関しては前年の8.2%からやや増加傾向にあります。理由としては新型コロナウイルス対応の影響が大きいようです。
出典:公益社団法人日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査」
2.看護師1年目の悩み
ここからはいよいよ、1年目の看護師が抱えがちな悩みを紹介していきます。
■忙しくて残業が多い
一つ目の悩みは「残業の多さ」です。
日本医療労働組合連合会が2022年に実施した「看護師の労働実態調査」によると、日勤時で始業時間よりも前に30分以上の時間外労働をしていると回答した看護師は全体の45.9%。さらに終業時間後に30分以上の時間外労働をしていると答えた看護師は全体の73.4%に上りました。
残業時間の平均は、日勤時で始業時間前が22分、終業時間後が46分。つまり、日勤時だけでも平均で1日1時間以上の時間外労働が発生していることになります。
ただ年齢別の労働時間を見ると、新人教育や研修などを担う40~50歳代の時間外労働が他の年代に比べて多い傾向があります。したがって、ベテラン層に比べると新人看護師の時間外労働は少ないといえます。
出典:日本医労連・全大教・自治労連「2022年看護師の労働実態調査」
■仕事がなかなか覚えられない
次に多い悩みが「仕事がなかなか覚えられない」ことです。特に「看護学校でしっかり学んだはずなのに……」と、今までの努力への自信を失ってしまう人が多くいます。ですが、看護学校で学ぶのはあくまでも基礎的な内容のみ。実際の現場では患者の容態や設備環境にあわせて応用的な対応が求められるので、学んだ内容がそのまま役に立たないことも少なくありません。
何より、座学で学んだ内容と現場の実態が異なるという状況は、どんな仕事でも頻繁にあることです。落ち込みすぎることなく、ある程度は「そういうもの」として受け入れ、着実に成長していく覚悟が必要です。
■先輩や医師に叱られる
「仕事がなかなか覚えられない」ことで、先輩や医師に叱られて悩んでしまう新人さんも多いのではないでしょうか。求められるレベルが高すぎたり、時には自分のミスではないことを叱られたり…。そんな経験を、誰もが一度は味わったことがあるはずです。
ただ覚えておいてほしいのは、「必要だから叱っている」ということと、新人のうちは「『叱られること=悪』ではない」ということ。医療の現場は、わずかなミスが文字通り命取りになる現場。だからこそ、緊張感をもって業務に臨んでほしいという想いで強く指導されることもあります。
また人手が不足している所も多いため、忙しさからつい後輩に対して丁寧さを欠いてしまうという先輩看護師もいます。こちらに関しては理不尽さを感じてしまうかもしれませんが、自分が先輩の気分を害してしまったと落ち込むのではなく、環境による仕方なさもあると考えると気持ちが楽になります。
■患者の看護が不安
先述の通り、看護師は患者の命を預かる仕事です。新人の頃は、その大きなプレッシャーに慣れるのもなかなか難しいものです。
「正しい手順で処置をしているつもりでも合っているか不安」、「仕事のやり残しやミスで電話がかかってこないかと退勤後も気が休まらない」など、特に1年目の看護師は悩んでしまうことが多いようです。
ただそういった不安は、あなたが重い責任感をもって一人前の看護師になろうとしていることの裏返しでもあります。しっかり成長しようとしている姿勢に自信をもって、時には周りに相談しながら、徐々にプレッシャーに慣れていきましょう。
■将来が不安
ライフスタイルの変化、自身のスキルアップ、また体力の衰えなど…。看護師としての自 分の今後を考えてみると、不安になる要素があまりに多いことに気づくでしょう。
結婚や出産といったイベントを無事に迎えられるのか、今の職場にいて成長できるのか、給料は満足に上がっていくのか、また夜勤を含む不規則な労働をいつまで続けるのか。働き始めの1年目は、特に悩みの種を探しだすとキリがありません。
しかしその中には、悩んでもすぐには解決できないこともあります。また「漠然と不安だ」という方は、まずは自分の中にある悩みを明確にしましょう。悩みを整理した上で、優先順位の高いものからひとつずつ向き合っていくことが大切です。
■給料が安い
医療・福祉の現場では比較的給与が高いと言われる看護師ですが、それでも業務の負担を考えると不満を抱いてしまうこともあるでしょう。 次の項では、看護師1年目の給与について詳しくご紹介します。
3.看護師1年目の給与
看護師は給料が高いと言われますが実際はどうなのでしょうか。ここでは看護師の初任給やボーナスといった給与事情を詳しく紹介していきます。
■看護師の初任給
日本看護協会の「2022年病院看護・助産実態調査」の結果によると、2022年度新卒看護師の初任給の平均基本給与額は、高卒+3年課程新卒で20.3万円、大卒の場合で20.9万円となっています。
また、通勤手当や夜勤手当等の各種手当を含んだ平均税込給与総額を見ると、高卒+ 3年課程新卒で26.3万円、大卒の場合で27.1万円となります。基本給の金額だけ見るとそこまで高く感じないかと思いますが、手当を含んだ月給額は他業種と比較しても高い傾向にあると言えます
■看護師1年目のボーナス支給額
看護師のボーナスも一般企業と同様、夏と冬に支給されることが一般的です。1年目の場合、夏のボーナスは入職して日が浅いため、満額支給されることは少なく、あまり期待できないでしょう。一方、冬のボーナスは満額支給されることが多いです。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、経験年数0年の看護師のボーナス支給額が約9.3万円とあり、夏のボーナスは10万円前後ということが分かります。経験年数1年~4年では約70.6万円になるので1年目の冬のボーナスは半分の35万円程度と考えられます。
ただし、この数字は経験1年~4年の平均で、ボーナスの金額は経験年数が増えるごとに上がっていくので、1年目の冬のボーナスはもうすこし少ないと考えた方が良いかもしれません。
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
4.看護師1年目の悩みの乗り越え方
ここまで1年目の看護師が抱きやすい悩みを紹介してきました。ここからは、それらの悩みを解決する、あるいは和らげる方法を紹介していきます。
■先輩や上司に相談する
悩んだとき、もっとも頼りになるのはやはり先輩や上司です。今ではすっかり一人前に見 える先輩や上司も、皆かつては新人看護師として苦しみを乗り越えた経験を持っているからです。
とはいえ、まさに先輩や上司との人間関係に悩んでいるという方もいらっしゃるでしょう。 そのような方は看護師同士で悩みを共有できる掲示板サービスや、また日本看護協会が設置している相談窓口を利用してみるのもおすすめです。
もちろん専門的な知識を要する悩みでなければ、まずは家族や友人に相談するのも良いでしょう。話をしてみるだけでも頭の中が整理され、グッと気が楽になるものです。
■勉強する
看護師は大変な仕事だからこそ、休めるときにはしっかり休むのが大切。ただ、自分の未熟さに対してどうしても気が休まらない、「何もしていないと不安だ」という時は、看護の勉強に取り組んでみるのも良いでしょう。
メモなどを見返して先輩に教わった内容を確認するのも良いですし、もっと成長のスピードを上げたい、現状の自分のスキルに満足できないという方は、より専門的な資格取得に取り組むという道もあります。
また最近では、看護師に向けたセミナーも充実しています。「キャリアパスについて」や「栄養管理について」など、普段の実務と離れた分野の話を聞いてみるのも良い刺激になります。
■休息をとる
身もふたもないですが、心と体の健康のためには何を差し置いても、まず十分な休息が欠かせません。
特に、睡眠は健康のもとです。睡眠時間が7時間を切ると(または過度に長すぎると)死亡率が上がるというデータ(*1)や、睡眠不足が続くとネガティブな刺激に脳が反応しやすくなるというデータ(*2)、さらに睡眠不足が記憶力の低下に繋がるというデータ(*3)もあります。
不規則な労働に体が慣れず、さらに精神的な負担も大きい1年目は、睡眠をはじめとする休息をしっかりとることが一層大切です。貴重な自由時間を満喫したい気持ちもわかりますが、心身の状態が良くないと感じたらまずはたっぷり寝ましょう。
(*1)出典:国立がん研究センター「睡眠時間と死亡リスクとの関連について」
(*2)出典:国立研究開発法人科学技術振興機構「睡眠不足で情動不安定や抑うつに」
(*3)出典:阪野クリニック「睡眠障害と記憶力低下の関係」
■同僚と協力する
看護師の退職理由の一位は人間関係。だからこそ、人間関係を良好に保つことは職場で長 く働く上で大きなメリットになります。
中でも同僚は、同じ環境で苦労を分かち合う貴重な存在です。学生時代の部活動などでも「同期がいたから苦境を乗り越えられた」という経験がある方は多いのではないでしょうか。
先輩に相談すべきかわからない些細な疑問や、上司を含めた職場の人間関係についてなど、働く中で一番なんでも話せる相手が同僚であると言えます。特に1年目は、あなただけでなく周りの看護師たちも不安を抱いているはず。同じ不安や緊張感を共有している時期だからこそ、同期と仲を深めるチャンスです。
■自分のペースで成長する
最後に、心構えとして最も大切なのは自分のペースで成長すること、つまり「他人と比較しすぎない」ことです。
「仕事がなかなか覚えられない」「先輩や上司によく叱られる」などマイナスなことが続くと、つい同僚などと比べてしまいがち。ですが、そうすると自分の悪い所ばかりが目につき、余計に気分が沈んでしまいます。
また先輩看護師に話を聞くと、「一年目の仕事の出来は、その後のキャリアにはあまり関係がない」と経験をもって語る方も多くいます。そのため、多少夜勤のデビューが早い、処置の実践が早いといった「成果」ではなく、できないことに対してどのように向き合い、努力しているかという「姿勢」を評価しているという職場も多くあります。
繰り返しになりますが、大切なのは「成果」以上に向き合う「姿勢」です。一歩一歩、着実に成長していこうというひた向きな気持ちがあれば、きっと報われて素敵な看護師になれるはずです。
5.1年目での転職はどう考えるべき?
では、「つらい」「辞めたい」と感じた時は転職はするべきなのでしょうか。つらいと感じるケースには寄りますが、1年目での転職はあまりおすすめできません。その理由について解説します。
■同期とのスキル面での差が大きくなる
1年目は知識や技術もまっさらな状態で、看護技術、患者との接し方、アセスメント、看護記録の付け方など看護師の基本を教えてもらう期間です。他の同期はこの期間でスキルを伸ばしていくのに、その期間に辞めてしまった自分だけが技術や経験を積むことができず、看護師のスキル面で差が生まれかねません。
■転職先の選択肢は多くない
1年目で転職した場合、スキルがほとんど身についていない状態なので、即戦力を求められるようなクリニック、介護施設への転職は難しくなります。病院の場合も「実務経験3年以上」「○○科の経験をお持ちの方」など応募要件が引き上げられていることがあるので、そもそも応募ができない可能性があります。
人手が足りておらず、経験が浅い方でも採用する医療機関や介護施設はもちろんありますが、その場合は満足な教育を受けることができない可能性が高いので注意が必要です。
■辞め癖に注意
ネガティブな理由での短期離職の場合、人によっては辞め癖がついてしまう可能性があります。少しでも嫌なことがあれば「逃げてしまえばいい」「職場を変えればいい」と辞める以外の選択肢を持てなくなってしまい、何度も転職を繰り返してしまう人もいます。本当に辞めなければその問題が解決できないか、一度立ち止まって検討することが大切です。
■転職した方が良い場合もある
1年目での転職は「基本的には」おすすめできませんが、場合によってはすぐ転職した方が良いこともあります。
例えば、長時間勤務やパワハラが常態化しており、健康を害してしまうようなケースです。すぐ「辞める」選択肢は取らない方が良いと説明しましたが、自分の体調を崩してまでそのような職場で働くべきではありません。
また、「休みが取れない」「残業代が出ない」といった労働基準法に反する職場も続けるべきではありません。働き続けて悪影響が出る前に転職を検討しましょう。
6.1年目での転職のポイント
実際に1年目で転職するとなった場合、どのようなことを意識して転職活動を行えば良いのか説明します。
■どうして転職したいのか理由を明確にする
転職を考えたときにまずやっておきたいのは、「どうして転職したいのか」という理由を明確にすることです。「あいまいな理由で転職しようとしていないか」「本当に転職をしないと解決できないことなのか」など、自分を見つめ直す良いきっかけになります。
■求人の探し方
求人を探す際には、自分の転職理由とマッチする職場を探しましょう。条件が良いからと飛びついてしまうと、また同じ理由で転職することになりかねません。
もし、自分の中の転職軸が定まり切らないという方は、「教育制度が整っているかどうか」を軸にすることをおすすめします。1年目の転職は難しいと説明しましたが、「第二新卒」という形で新卒同等の扱いで採用し教育してくれるようなところもあります。
前職の病院独自のやり方などが身についてない分、新たに育てやすいと考えている職場もあるようなので、そういった職場を探してみるのは一つの手です。
また、患者が急変することが少ない療養型病院を目指してみるのも良いでしょう。医療処置が少なく、急性期ほど忙しく動き回るわけではないので、先輩看護師からしっかりOJTを受けたり、様子を見ながら学んでいくことが可能です。
ただ、看護師としての実務経験が必要な場合もあるので、求人を良くチェックしてから応募しましょう。
■面接で気を付けるポイント
面接で気を付けたいのは、アピールする内容を間違えないことです。転職の場合、多くの面接ではこれまでの経験にフォーカスしてアピールを行うと良いですが、1年目の場合は経験らしい経験はほぼないと思うので、そこをアピールしても意味がありません。
それよりも、やる気や前向きさをアピールすることが良いです。採用担当者側もあなたに期待をしているのは経験ではなく、今後の将来性です。自分が「今後どうなりたいか」「ここでどんな風に成長したいか」などやる気や前向きさをアピールできる内容をしっかり自分の言葉にして伝えることを意識しましょう。
7.まとめ
看護師1年目は、誰でも悩むものです。しかし、悩みを乗り越えれば、看護師として成長できる貴重な時期でもあります。上記の悩みの乗り越え方を参考に、看護師1年目を乗り越えましょう。ただし、どうしても耐えられないつらさもあると思います。その場合は、転職も一つ視野に入れて見てはいかがでしょうか。
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