ここには12枚の『問い』が書かれたカードがあります。
ゲストが、それぞれ選んだカードに書かれた『問い』について、インタビューを通じてゆっくり考えていきます。
カードには何が書かれているか、ゲストにはわかりません。

ここでの『問い』とは、唯一の正しい答えがあるものではなく、思考を深め、さらなる問いを生んだり、生涯にわたって何度も問い直したりするような本質的なもの。
そして、ゲストの考えや価値観、人柄に触れるようなものが含まれています。
簡単に答えは出なくても、こうした考える時間自体に意味があるのかもしれません。
いま、少しだけ立ち止まって、あなたも自分や周りの人に問いかけ、想いを馳せてみませんか。



ゲスト:底辺ちゃん
卒業後、新卒で総合病院のオペ室配属になり3年目。休日は朝まで飲み歩いたり、ストレス発散のため、ひとり暮らしなのに大量に料理を作って消費に追われたり、音楽フェスに行くなどパワフルに過ごしている。好きな手術器械は『エレバラスパ』。1本で両頭使える二刀流の側面と、スマートな形が好き。

インタビュアー:白石弓夏
小児科4年、整形外科・泌尿器科・内科系の混合病棟3年、その後、派遣で1年ほどクリニックや施設、ツアーナース、保育園などさまざまなフィールドで勤務。現在は整形外科病棟で非常勤をしながらライターとして活動して5年以上経つ。最近の楽しみは、仕事終わりのお酒と推しとまんが、それと美味しいごはんを食べること。

新卒でオペ室3年目、だんだんとつけるオペが増えてきた

白石:
底辺ちゃん、お久しぶり!実は底辺ちゃんとは母校が同じなんですよ。私が過去に学生時代の実習ユニフォームを着ている写真をSNSにあげたところ、身バレして(笑)。今日はそんな懐かしい母校に関する話とかも含めてお聞きしたいです!

まず、今のお仕事についてなんだけど、新卒でオペ室に配属になって3年目ということで、現在はどのような仕事を任されているんですか。

底辺ちゃん:
手術室看護師としては、心臓血管外科以外の外科、婦人科、泌尿器科、皮膚科、眼科、整形外科、耳鼻科、脳外科などのオペについています。最近は新しく入ってきた1年目や2年目の後輩がいて、その子たちが外科や婦人科のオペを担当することが多いので、自分は整形外科や眼科のオペにつくことが多くなってきました。まだプリセプターとかはやっていなくて、診療科ごとに滅菌物の期限を管理したり、新しい機械が入ったときの運用方法をまとめたりする係を任されています。

白石:
心外や整形外科、眼科のオペは難易度が高いんだね。

底辺ちゃん:
そうですね!心外はうちの病院だと3年目からになるので、これからオペに入ると思います。整形外科は人工物を扱うので滅菌の取り扱いが大事で、ひとつしかない借用の器械を落としてはいけないので、ある程度オペ室業務に慣れてきてから入るようになります。眼科、耳鼻科は手術自体の難易度が高いわけではないんですけど、マイクロ(手術用顕微鏡)の器械を使うので。

他にも脳外科や耳鼻科も難易度が高めだと思います。2年目以降に入るようになるオペですね。基本的にオペ室では器械出しと外回り看護師という役割があって2人1組で動くことが多いんですけど、自分はまだオペ室では下っ端なので、基本器械出しにつくことが多いです。

白石:
なるほど。これまでオペ室の取材も少ししたことがあって。けっこう外科チームとか診療科によってチーム分けがされているイメージがあったんですけど、底辺ちゃんのところはそういうチームはあるんですか。

底辺ちゃん:
うちの病院は医師の出入りが多いので、診療科固定のチームはないですね。わりとなんでもオペにつきます。

白石:
へぇ、なんでもやる感じなんだ。底辺ちゃんは、最初からオペ室希望だったんですか。

底辺ちゃん:
いや、全然!希望では救命救急センター、外科、小児科って書いた気がするんですけど、周手術期や急性期にはかかわりたかったんですよね。それで、まさかのオペ室って感じです。

白石:
外科とか急性期で希望を書くとオペ室にまわされるあるあるだね。オペ室希望を出す人は少なかったんだ。

底辺ちゃん:
そうですね、同じ学校からは全然いなかったです。他の学校からの同期でも希望したのは2人くらいで。いつか聞いてみたいですよね、なんで私オペ室だったんですかって(笑)。

希望じゃない部署でどう気持ちを整理したか

白石:
底辺ちゃんにとってオペ室は希望じゃなかったわけで、周りもそんなにオペ室希望の人がいないなかで、自分の気持ちとしてはどう整理していったの?悩んだりとかした?

底辺ちゃん:
1年目のときは嫌で嫌で、仕方なくて。同期が自分以外でまとまって仲が良かったこともあり、日ごろの仕事の悩みとかも相談しにくかったんですよね。だけど、逆によかったなと思うところもあって。他の病棟配属になった同期は、実習でみた病棟で働く看護師に対する憧れが、すごくあったんです。実際に働き出してからそのギャップでしんどくなってしまって、6月あたりで心が折れてしまったような話をよく聞いていました。

その点、私は自分のなかでオペ室はこういうイメージというものが特別あったわけではないので、そもそもギャップを感じませんでしたね。もうやるしかないなと。本当に周りに助けられているなって思いました。他の病棟の同期と仕事の悩みやつらさを共有したり、受け止めあえたりしていたこともあって、なんとか乗り越えられたと思います。

白石:
その、もうやるしかないと思ったのは、底辺ちゃんぽいなと思ったんですけど、なにがそんな気持ちにさせたんだろう。

底辺ちゃん:
これは自分の性格ではあると思うんですけど、一度志したことって絶対に曲げたくないとか、あきらめたくないという気持ちが強いんだと思います。もちろん、心が折れて再起不能になってしまったら元も子もないんですけど、やっぱりいけるところまでいってみようみたいな気持ちはあります。それは、学生時代につらかった状況があって、そこまで落ちなければ大丈夫でしょって、自分自身がわかっているから。魔法の言葉のように、そう思えるのかもしれないですね。

今辞めたらいつか後悔するだろうな、ここは踏ん張りどきだと

白石:
学生時代につらかった状況があったと。

底辺ちゃん:
そうです。私2年生のときに留年しているんです。実習や実習以外でも精神的な部分でしんどくて、数カ月後の自分がまったく想像できなくて前を向けなくて、不登校の時期とかもあったんですよね。当時は辞めようと何度も思いましたし、留年したのが1年生だったら辞めていたかもしれないですね。2年生の途中だったので、もう半分は来ていると。しかも性格上、一度目指したことを諦めるのが嫌で。ずっと看護師という職に就きたくて、今辞めて他の選択をして働いていても、いつか後悔するだろうなと思ったんで……ここは踏ん張りどきだろうと思いました。

ここを乗り越えればどんなことが起こっても、人生のなかで糧となって自分の強みになるかなって。もうこれはほぼ根性論ですね。それでも、元同級生がすごく応援してくれて、支えてくれたこともあって、一緒に留年した同期と切磋琢磨して頑張ろうと。新しい同級生もすごく優しくて、一緒に頑張りましょうって受け入れてくれたことは大きかったですね。

白石:
そうだったんだ。留年してひとつ下の代と同級生になると、気まずさとか焦りとか出てきそうだなと思ったんですけど、そういう気持ちはなかったの?

底辺ちゃん:
あまりなかったですね。これは自分の性格もあると思うんですけど、ひとつ下の代と同級生になっても、「次の授業これ使いますよ、持ってますか」「次、移動教室あそこです、知ってますか」と声をかけてくれてお世話してくれて。留年はしたんですけど、後半はわりと楽しく学生生活を送っていましたね。

白石:
それは底辺ちゃんのキャラクターもあってこそって感じだね。

底辺ちゃん:
へんぴなところにある学校だったので、こんなところで看護師を目指すくらいだから、いい子たちの集まりなのかなと思いましたね。学生寮があって文化祭や勉強会とかで学生同士、先輩後輩とのつながりも強いので、そうしたなかで助けられたことも多いですね。

白石:
ずっと看護師という職に就きたかったと話があったけど、看護師を目指したきっかけはなんだったんですか。

底辺ちゃん:
きっかけは母親が看護師になりたかったっていうところからですね。母は医療事務で働いているんですけど、自分が中学生のころに進路の話になったとき、「私は看護師になりたかった、でもなれなかった」という話を聞いて。それで母から職場の看護師さんの話を聞いているうちに、母は看護師にならなかった、なれなかったけど、私は今からでも目指していけるんじゃないかと思ったのがきっかけです。

元々、自分も小さいときに小児喘息で入院したり、膝の手術で入院したときに看護師さんがすごくよくしてくれたりした記憶があって。会社勤めや工場のように作業を黙々とこなす仕事もいいなと思うんですけど、それよりも日々移り変わっていく医療の現場って面白そうだなって思ったんですよね。

ひとりの人間として“じりつ”した部分も育てていくため

白石:
それでは、本題の質問のカードをこちらから引いてください。

底辺ちゃん:
じゃあ好きな数字で、左から3番目でお願いします。

白石:
「あなたにとって働くとは」ですね。底辺ちゃんはせかせかと、チャキチャキ働いているイメージがあるけども。

底辺ちゃん:
勝手に病院競歩部みたいなこと言ってますけどね(笑)。え~なんだろう、難しいな。自分にとって働くとは……。ひとりの人間として生きるために働いている、のはありますよね。もちろん生活するための収入という部分と、“じりつ”という部分も育てていくために働く。そのなかで看護師として働く、としたらなんだろうな。今すぐパッと出てこないかもしれない。

白石:
今“じりつ”と言いましたけど、立つほうと律するのほうどちらの話ですか、両方?

底辺ちゃん:
両方あります。怠けようと思えば自分はいくらでも怠けられるし、実家は太くないんで(笑)、仕事を辞めて自由に生きることができないんですけど。やっぱり自分自身、ひとりで生活していくために働いているのは“自立”のほうで。奨学金のお礼奉公もあって途中で辞めないのは“自律”のほうで。本当にしんどくなったら逃げるという選択肢もあると思うけど、今は切磋琢磨してこの環境で働いていくのが大事な時期だと思っていて。もう高野豆腐みたいにたくさん吸収できる時期で、ここに身を置くというのが自分を律するでもあるのかな……。

白石:
高野豆腐、かわいいたとえが出てきましたね。いっぱい吸収しそう。底辺ちゃんは今3年目になりますけど、朝起きて仕事に行きたくないとか、明日仕事嫌だなと思うことってあるの?

底辺ちゃん:
毎日思います(笑)。ICカードで打刻するときも思いますし、着替えるときも、器械出ししながらも思いますけど。でも、それも自分を律するというところで、自分がいなくても仕事は回ると思うけど、Team STEPPS®の考え方の影響か、チームの一員として社会の1人として限られたなかで看護師がシフトを組んでいるので、安易に休んではいけないなという気持ちはあります。「2日酔いだ、行きたくないな」みたいな気持ちでは休めないなと。「あ~やっぱり頭痛いかも」って一瞬考えることはあっても、それでも行く選択をしています。

自分のやりたいこと、楽しさを考えていろいろやってみたい

白石:
お礼奉公の話になると、今年が3年という区切りの年になるわけだけど、今後はどういう働き方をするかとかなにか考えているんですか。

底辺ちゃん:
もう入学するときに、3年で辞めるとは決めていて、ここに3年以上はいないって。まぁ、立地的なものが大きいですよね。大きな病院だからずっと働き続けるのはしんどいなって、負担が大きいなとも思っています。この後どうするかは、まだ具体的には決めていないんですけど。学生のときから美容系に興味はあったし、病棟で働いてみるということもしてみたいし……。手術室は患者さんとかかわる機会が少ないので、看護ってやっぱり人とかかわること、コミュニケーションが大事だなと自分のなかでも思っているので、終末期や緩和ケアのような病棟で働いてみたいという気持ちもありますね。

あとは看護師という仕事をそもそもやるか、辞めて違う仕事をしてみるかということも含めて考え中ですね。職場の人に「辞めてどうするの?」と聞かれたときは「クレープ屋さんやります」と言っています(笑)。看護師の仕事を一度離れてみて、また戻りたくなったときに戻ってみてもいいのかなって。

白石:
かなり幅広く考えているんだね。その看護師以外の仕事をする選択肢っていうのは、看護師の仕事がしんどくて嫌だからという感じではなく、いったん離れていろいろ考えてみたいというポジティブな考えなのかな。

底辺ちゃん:
そうですね。看護師の仕事は好きなことも多いので。嫌で辞めるわけではないですね。私、カフェとか喫茶店がすごく好きで、今だからこそ喫茶店とかで働いてみたいなって気持ちもあるんです。まだ独り身でいろんな責任がない時期にゆるく働いてみるのもいいなって。だから二度と看護師をやりたくないっていう意味じゃなくて、自分のやりたいこと、楽しさを考えて他のこともやってみようかなって気持ちですね。

白石:
なるほどね。美容系とかはオペ室での経験も活きてきそうだよね。

底辺ちゃん:
よく友だちにも言われますけどね。でも滅菌物の取り扱いなんて数日で覚えられると思うので、自分はオペ室での経験はあまり強みになるとは思っていないですね。

白石:
そうなんだ。でもそれはたぶん、外に出てみて気づくパターンじゃないですかね。中にいると全然わからないっていうことは大いにありそうなんで。ちなみに、今後のキャリアをいろいろ考えるなかで、どういうところから情報収集するとか、最終的に決断しようみたいなことって考えているんですか。

底辺ちゃん:
まだ右も左もわからないので、いろんな人に話を聞いて相談してみて、そこから自分が譲れないもの、やりたいことをいくつか書き出して整理していこうかなと思っています。まだ譲れないこと、やりたいことがほんわかとしているんで。

白石:
人に相談したり自分のなかで分析したりする予定なんだね。なんかイメージでは、1回飛び込んでみるか!みたいなところもあるのかなと思ったんだけど。

底辺ちゃん:
ある程度やりたいことが明確になったときには、ちょっと無理そうな分野でも1回やってみよ!というところはあると思います。そこに行くまでは、ちょっと自分のなかのやりたいことを明確にしたいっていうほうが優先されますね。

白石:
うんうん。あらためて、底辺ちゃんにとって働くとはどういうことなのか、もう一度教えてもらってもいいですか。

底辺ちゃん:
生きるためにお金を稼ぐために働くけど、やっぱりそのなかで自分のやりたいことで、楽しく働く。自分が働くうえで大事にしていることは楽しく働くなので、少しでも興味のあることをしたいかな。手術看護は最初、全然興味もなかったし、やりたくもなかったけど、やってみると実は楽しいなと思えるところもたくさんあるので、自分が興味を持ったことを楽しくわくわくしながら邁進していくってことですかね、働くって。

自分が興味を持ったことを、その先の行動までも想像して学ぶ

白石:
なるほど。ちょっと最初の働くイメージとは少し変わった印象ですね。“じりつ”のなかに楽しく働く要素もあったと。 それでは、最後の質問です。「後輩の看護師に伝えたいことはなんですか」

底辺ちゃん:
世の中の看護学生さん看護師さん、みなさん実習や国家試験の勉強でつらかったことを乗り越えてきていると思うんですけど、やっぱりはじめてのことはできなくて当たり前という大前提があって。私はまだ3年目ですけど、後輩にはそういう風に接しようと思っています。一緒に働くならみんな楽しく働いてほしくて、焦って卑屈にならないでほしい。

あとは、仕事でも「どうしてだろう」「なんで?」という気持ちを大事にしてほしいなと思っています。そこから興味が湧いて、調べていくなかで自分の得意分野が出てくることもあるので。それって看護師の仕事でなくとも何事においてもそうだなと、貪欲になってほしいなと思います。

大丈夫!1週間前は怒られたことでも、それがずっと続くわけではなくて、1週間後とかには解決していることもあると思うので。暗くならずに仕事頑張ろう!って言いたいですね。

白石:
底辺ちゃん自身が「どうしてだろう」「なんで?」と思ったことで、自分の得意分野がわかったという出来事があったのかな。

底辺ちゃん:
たとえば、手術室だと麻酔薬を使う頻度が高いですけど、普段の私は仕事もできないし、物覚えも悪いしで同期に比べても劣っているなと、いわゆるダメな子として扱われているだろうなと思うんです。だけど、麻酔薬に関しては興味を持って学んできたので、作用や使い方、介助方法など同期のなかでも詳しいだろうなと思っています。また、緊急事態が起こったときにどう行動するかという部分の勉強も楽しいなと感じるので、そうした緊急事態で思っていたより自分が動けたことがあって、自らできる部分を知ることができました。

たぶん麻酔薬の作用とか調べることはみんなやると思うんですけど、じゃあこの薬を使った一歩先はどうなるのか、その後どう行動するのかまで興味を持って想像して学べたからこそ、自分自身の行動にもつながったのかなと思いました。うまく言葉にできないんですけど。

白石:
なるほど。知識として薬の作用を頭に入れるだけでなく、こういう場面でこの薬を使われたら、自分はこう行動しようとイメージすることまで一緒に学ぶことって大事ですね。その麻酔薬に興味を持ったきっかけはなんだったんですか。

底辺ちゃん:
手術室で麻酔科の医師はすごく身近なんですよね。診療科によって執刀医はコロコロ変わりますけど、麻酔科の医師は常にいるので、わりとなんでもお話できる関係性があって。何気ない話をしているなかでも薬のことを聞かせてくれるんですよ、耳学みたいな感じで。それで私も「なんで今こうしたんですか」と麻酔科の医師によっても使う薬や使うタイミングが違ったりするので、そこにまず興味を持ったんですよね。「あの先生はこうだったけど、先生はどうしてこう使ってるの」って。その探究心から面白さに気づいていったことが大きなきっかけだと思います。

白石:
薬の作用機序の勉強自体が楽しいというよりは、麻酔科の医師がどう使い分けているのか、その考えの先にあったことが底辺ちゃんにとって面白い、興味深いってことだったのかな。

底辺ちゃん:
そうかもしれないですね。医師も看護師も患者さんの苦痛を最小限にするために、こういうことを考えて薬の選択をしているんだなと思ったときに、それが手術看護なのかなと自分のなかでつながったときに、面白いなと思ったんだと思います。

白石:
先ほど、緊急事態で実際に行動することができたって話があったと思うんですけど、それって自分自身でそう気づけたのか、周りの先輩とかにフィードバックをもらったりしたの? また、それってどのくらいの時期の出来事だったのかな。

底辺ちゃん:
先輩や医師から「あのときの○○はよかったよ」「助かったよ」と言ってもらえたことがあって。1年目のときから医師も優しい人が多かったので、「よくできているよ」と褒めてもらえることもあったんですけど、当時は「いやいや、できていません」と自分自身が受け入れられなかった部分があったんですよね。

勉強した知識や手技も実力もまだまだと思っていたんで、本当につい最近ですね。2年目の終わりくらいに。ある程度すべての診療科のオペを受け持つようになってから、自信がついてきたし、褒めてもらえたことも素直に「ありがとうございます」と返せるようになって。自分が学んだことを活かせてよかったなと思うようになったのは、本当に最近です。

白石:
底辺ちゃんのインタビュー、もう数カ月後にやっていたら、また考えていることや今後の話は違った方向になったかもしれなくて、可能性がたくさんだね。もしかしたらクレープ屋さんをしているかもしれないし、美容や病棟で働いているかもしれないし……。また、いろいろと近況教えてください、今日はありがとうございました!

インタビュアー・白石弓夏さんの著書



Letters~今を生きる「看護」の話を聞こう~

Letters~今を生きる「看護」の話を聞こう~
私もエールをもらった10人のストーリー


今悩んでいるあなたが元気になりますように
デジタルアートや3Dプリンタを看護に活用したり、看護をとおして一生の出会いをつかみ取ったり、在宅のほうが担い手が少ないから訪問看護に従事したり、苦しかった1年目のときの自分を手助けできるようにズルカンを刊行したり、医療と企業の橋渡しをするためにスタートアップに就職したり、悩みながらも新生児集中ケア認定看護師の道をまっすぐ進んだり、ロリータファッションモデルとして第一線で活躍しながら看護師を続けたり、目的に応じて疫学研究者・保健師・看護師のカードをきったり、社会人になってから「あっ、精神科の看護師になろう」と思い立ったり……。 さまざまな形・場所で働く看護師に「看護観」についてインタビューしようと思ったら、もっと大事なことを話してくれた。看護への向き合い方は十人十色。これだけの仲間がいるんだから、きっと未来は良くなる。「このままでいいのかな?」と悩んだときこそ、本書を開いてほしい。

目次


◆1章 クリエイティブな選択肢を持つこと 吉岡純希
◆2章 大きな出会いをつかみ取ること 小浜さつき
◆3章 現実的な選択肢をいくつも持つこと 落合実
◆4章 普通の看護師であること 中山有香里
◆5章 ものごとの本質をとらえる努力をすること 中村実穂
◆6章 この道でいくと決めること 小堤恵梨
◆7章 好きなことも続けていくこと 青木美沙子
◆8章 フラットに看護をとらえること 岡田悠偉人
◆9章 自分自身を、人生や仕事を見つめ直すこと 芝山友実
◆10章 すこしでも前を向くきっかけを作ること 白石弓夏

発行:2020年12月
サイズ:A5判 192頁
価格:1,980円(税込)
ISBN:978-4-8404-7271-5
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