ここには12枚の『問い』が書かれたカードがあります。
ゲストが、それぞれ選んだカードに書かれた『問い』について、インタビューを通じてゆっくり考えていきます。
カードには何が書かれているか、ゲストにはわかりません。
ここでの『問い』とは、唯一の正しい答えがあるものではなく、思考を深め、さらなる問いを生んだり、生涯にわたって何度も問い直したりするような本質的なもの。
そして、ゲストの考えや価値観、人柄に触れるようなものが含まれています。
簡単に答えは出なくても、こうした考える時間自体に意味があるのかもしれません。
いま、少しだけ立ち止まって、あなたも自分や周りの人に問いかけ、想いを馳せてみませんか。
手術室5年、救命救急センター8年、その中で大学院に進学し家族支援専門看護師の資格を取得。看護大学で教員の経験を積み、現在はクリニックと訪問診療の看護師として働いている。
小児科4年、整形外科・泌尿器科・内科系の混合病棟3年、その後、派遣で1年ほどクリニックや施設、ツアーナース、保育園などさまざまなフィールドで勤務。現在は整形外科病棟で非常勤をしながらライターとして活動して5年以上経つ。最近の楽しみは、仕事終わりのお酒と推しとまんが、それと美味しいごはんを食べること。
なにもできなかった、家族とかかわることが苦手だった自分を見つめ直すことで
白石:
中村さん、はじめまして。今日はよろしくお願いします。まず、中村さんのご経歴についてお聞きしたいです。最初は手術室で、その後に救命救急センターで働かれていたそうですが、これは希望で配属されたんでしょうか。
中村:
いいえ、元々の希望は脳神経外科の病棟に行きたくて、希望を出していたと思います。それは大学時代の看護実習で脳神経外科に行ったときに、患者さんとかかわるなかで、少しずつ回復していくところを目の当たりにして、自分もこういうところで働きたいと思ったからです。ただ、希望には書いていなかった手術室に新卒で配属されてしまいまして……。それでも、なんとか自分ひとりで動けるようになるまでは頑張ってみようと思い、新人指導やリーダーなどをやりつつ5年間働きました。それから今度は救命救急センターに興味を持ち、希望で異動させてもらった感じです。
白石:
そのときには脳神経外科への異動は考えなかったんですか。
中村:
そうですね。病棟への異動も考えたんですけど、ちょうどそのときに仕事からの帰宅途中で交通事故に遭遇して、傷害者対応したことがあったんです。だけど、当時の僕はその場にいても自分が看護師だと名乗ることもできずに、ただ周りに言われるがまま動いていて……。これから看護師を続けていくなかで、看護師人生長いので、このままではいけないなと思い立ちまして。オペ室では急変対応があまりなく、あっても麻酔科の先生や執刀医がいるので、その指示に従って動くことが多かったんです。なので、急変対応に関する知識や技術をしっかりと身につけたいと思って救命救急センターに異動しました。
白石:
なるほど。それから大学院で家族支援の専門看護師の課程に進まれるわけですが、これはどんなきっかけがあったんでしょうか。
中村:
これも自分の苦手なところからが発端なんですよね。元々、看護師のキャリアを考えるなかで、認定看護師や専門看護師は興味があったんです。周りには、自分の興味関心や得意分野を極めたいという方が多かったんですけど、僕はその逆でした。救急外来でご家族となにをしゃべったらいいのかな、どうかかわったらいいのかな、そういう基本的なところからどうも苦手だったんですね。ご家族への配慮がまったくできていないなと、救命救急に来て3年目くらいのときに気づいて。それで家族看護を勉強したいと考えていたところで、家族支援専門看護師コースがある大学院を探し、師長さんとの面談のときに「専門看護師を目指しています」と伝えて、そのまま受験して教育課程に進みました。大学院の1年目は働きながら夜勤明け・入り、休みのタイミングで通い、2年目からは実習時間の確保のため、病院に籍を置いたまま休職して大学院に通いました。僕がいた施設は認定看護師取得に対する支援制度はあったんですけど、専門看護師に対する支援制度はなかったので、自己研鑽という形で学んできました。
白石:
大学院に2年通われて、なにかその苦手意識には変化があったんでしょうか。
中村:
まず「なんのために家族の支援が必要なのか」というところからわかっていなかったので、患者さんとかかわるなかで、家族は相互作用しているという考え方が、家族支援をするにあたって必要だとわかったことは大きいですね。あとは家族看護の理論的な部分やアセスメントなど、患者さんへのアセスメントのように家族にもアセスメントツールがあって介入方法があると学ぶことができて、それを通いながら実践に活かすことができたのはよかったと思っています。大学院に通うまでは、本当に視野が狭かったので、僕自身患者さんの目先のケアばかりに集中して、没頭してしまっていたんです。今思うと、家族を含めて支援することがまったくできていなかったなと思いましたね。
家族支援の基本的な考え方、大きなギャップ
白石:
そもそもの話にはなりますが、家族支援の専門看護師のおもな役割や強みについてお聞きしてもいいですか。
中村:
詳しいことは日本看護協会の専門看護師のページに明記されていますが、患者の回復を促進するために家族を支援する、患者を含む家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的、精神的、社会的に支援するという役割があります。よく「家族ケアをするって、患者さんのケアをしないんだよね」と言われがちなんですが、患者さんを含むことを考えて、家族の支援は患者さんの支援のためにやっている。これも大きな役割のひとつです。特に家族支援専門看護師が多いのは、小児科ですね。それと入退院センターや看護部で、救命救急センターや成人病棟ではまだ少ないと思います。
家族支援専門看護師の強みとしては、やっぱり領域にとらわれないところがあると思います。がんや精神、救急や老年になると、その分野に限られてしまいますけど。それこそ幅広くいろんな領域でも携われるところで、家族全般……そもそも家族とはなんだろうと家族支援の前段階から学べるのは大きいですね。
白石:
中村さんが、家族支援専門看護師として学ぶなかで、大きなギャップを感じたことはあったんですか。
中村:
ひとつは、看護師ってどうしても患者さんや家族の問題を見つけがちだということです。この患者さんの、ここが問題だよね、ここが異常だよね……って。その見方を変えて、弱みとなっているところを強みという風に考えを変えることを大学院で学んだこともあって。専門用語でいえば『リフレーミング』ともいいますけど。問題に感じる部分を、違う視点で少し俯瞰的に見てみるといった、状況の見方を別の視点から捉え直すという考え方ですね。
たとえば、よくある患者さんのケアに対して注文の多い家族がいたとして、医療者からするとクレーマーのように感じてしまうこともあるかもしれません。だけど、見方を変えてみると、家族は患者さんのことを心配している、それがケアへの満足や不満につながってくることを訴えているとわかります。こうした弱みだけに注目するのではなく、強みとしてみることが大事だと、学んだなかで大きくギャップに感じたところですかね。
白石:
看護師は問題を探しがちというのは、よくわかります。その視点を変えたあとの行動の違いというのは、実際中村さんの場合はどのように変わったんでしょうか。
中村:
僕が専門看護師を取ってからは、現場での実践として直接ご家族への対応もするんですけど、どちらかというと院内の教育やシステム的な部分の調整や相談、倫理に関することがメインになっていったんですよね。部署内で問題とされるご家族の話が出てきたときに、たとえば「こういう風に見かたや考え方を変えてみませんか」と働きかけたり、「実はこのご家族は患者さんのこういうところが不安だったから、こういう言い方をしているかもしれない」とアドバイスをしたり、勉強会やカンファレンスを導入したりしていましたね。そうすることで、家族の捉え方、見え方が変化していったり、少しずつ患者さんやご家族に対する言葉が柔らかくなったり……。双方の雰囲気が変わっていくことを実感しました。システム的なところで個人とご家族と、対象を広げてかかわることが多かったですね。
白石:
なるほど。ちなみに、家族看護の話のなかで、患者さん本人は家族看護に含まれるのかという話題があがることがありますが、中村さんはどのように考えていますか。
中村:
家族支援の専門看護師は、大学院で家族のなかに患者さんも含むことを大前提で学ぶんですね。おそらく、いろいろな領域の認定看護師や専門看護師も家族支援が大切と語られていると思うんですけど、意外と患者の背景として家族は患者を支える存在というような、患者と家族を切り離された別のものとして捉えられている気がします。その点は家族支援の専門看護師との視点の違いなのではないかなと感じますね。
たとえば、家族にも発達段階があって、子どもがまだ小さい家族なのか、成人して家を出ている家族なのか、それぞれ持っている役割も違います。その家族のなかの誰かが病気になると、役割の変化をしなければならない、そうして家族自身の仕事の状況や健康状態、精神状態、社会的活動などをアセスメントしています。患者さんとご家族と別に考えるのではなく、必ず相互作用しているので、一緒に考えたほうがうまくいくという考え方ですね。家族を支援することは患者さんの支援にもつながるということです。
訪問診療クリニックの看護師としてできること
白石:
ちなみに専門看護師を取得されてから救命救急センターに戻って数年働いて、看護教員もされていたと。それから今は訪問診療も行うクリニックで働いているとのことですが、訪問診療で働こうと思ったのはどのような理由からですか。
中村:
病院で働いているときも院内教育に携わっていたので、大学の基礎教育にも興味が出てきたんですね。それで、大学院のときにお世話になった先生からのお誘いを受けて大学教員として働いていました。しかし、そこで気づいたのは、思ったよりも自分の研究時間が取れず、日々の業務に追われる日々で、朝早くから夜遅くまで働き、身体の調子もあまり良くない状態が続いて……。専門看護師は臨床にいることが多いので、やっぱり戻ろうと。そう思っていろいろ探していたところで、地域に出てみようと訪問看護や訪問診療の職場をいくつか見に行きました。そのなかで、訪問診療でも訪問看護師のような役割は担っていて、病院よりもご家族とのかかわりが多いことを知ったんです。家族支援専門看護師は在宅や地域でも存分に活かせるなと思いましたね。決め手は院長先生が家族看護・ケアの視点は在宅において重要だと話してくれていたのが印象的で、同じ想いがあったので、待遇面なども含めて最終的に決めました。
白石:
実際に今はどのような働き方をされているんですか。
中村:
今は午前中がクリニックの外来で、午後からは訪問診療、また夕方から外来がはじまるスタイルですね。固定の曜日では丸1日訪問診療しています。訪問診療では医師と同行して患者さんのご自宅をまわっていきます。ほかにも、僕が専門看護師ということもあって、家族支援が必要な方へ個別に時間を作って訪問することもしていますね。これはまだ、看護の質を高めるためのお試しの取り組みなので、試行錯誤している段階です。
白石:
先ほど、訪問看護ステーションの看護師と似たような役割とお話しされていましたが、訪問診療における看護師となにか立場や役割の違いなどはありますか。
中村:
患者さん・利用者さんとご家族と深く長い時間かかわれるのは、訪問看護ステーションの看護師さんです。我々は医療の側面でかかわることがほとんどですが、そこで大事になってくるのは調整だと思うんですね。訪問看護ステーションの看護師さんと在宅医・訪問診療医の中間の位置づけになるといったらわかりやすいのかな。たとえば、医師からの指示を我々が中継して訪問看護ステーションに流すこともあるし、訪問看護師さんが在宅医に聞きにくいこと、どうやって指示をもらえばいいか悩まれるところで相談が来て、医師に報告・相談することもあります。
ただ、今のクリニックが少し特殊なこともあり、血液疾患の患者さんが多いので、在宅輸血をするような、予後が数カ月から半年という方もいます。そうしたときに、意思決定だとか、ご本人とご家族の意向がずれてきたときにどうかかわるかなど、医師と一緒に動いていることで、調整がしやすいという点もあります。もちろん情報共有ツールなどもありますが、文面だけのやりとりと対面で実際のやりとりができること、そこが訪問看護師さんとの違いなのかなと。まだ入職して短い期間ではありますが、そう思っています。
白石:
中村さんはこれまで病院と地域とで働かれてきて、家族看護のあり方に、違いみたいなことは感じられますか。
中村:
病院にいたときは救急外来にいたので、患者さんともご家族とも一期一会ばかりで。はじめて会う人の情報を限られた時間で取り、かかわっていくことが多いなかで、地域では何度も訪問できたり、ご家族とのかかわりが長くなってきて自分のケアの経過が見られるようになったことは大きいですよね。訪問診療だと100人と患者さんがいたら、それ以上にご家族さんとかかわるので、圧倒的に介入できる時間や場面、できることも増えたと感じます。
自分がしてもらったことをきちんと返したいという気持ち
白石:
それでは、こちらで質問のカードを準備したので、ひとつ選んでください。
中村:
じゃあ右から4番目で。
白石:
「看護師を続ける理由」ですね。中村さん、最初のほうに「これから看護師人生長いんで」と話されていて、私のなかですごく印象的でした。
中村:
そうですね、僕の年齢からしても、少なくともこれから20年以上働くと思うんです。やっぱりベースにあるのは、僕が看護師になろうと思った、自分自身が中学生のころに難病で長期治療したことが大きなきっかけで。自分が弱っているときに支えてもらえるって、すごくうれしかった気持ちがずっとあるんです。僕が入院しているときも、当時はまだ珍しかった男性の看護師さんがいて、そのときに一生付き合っていかなくてはいけない病気であること、現在起こっていることに対して理解できなかったときに、すごく支えてもらったんですね。
しかも、入院や治療で両親が僕に集中してしまうことによって、家族崩壊の手前というか、妹の反抗期ですごく荒れた時期がありました。当時はよくわかっていなかったですけど、看護師になってからいろいろ振り返ってみると、やっぱり家族のなかの誰かが病気になると、家族機能ってこれだけ変化が起こるんだと思いましたね。僕の性格上、なにかしてもらったことに対して、自分もちゃんと返したいという気持ちがあって。困っている人、不安に思っている人の気持ちが少しでも減ったり、助けたりすることができたらと思って看護師を続けています。
白石:
ご自身の病気、男性看護師さんとのかかわりがきっかけだったんですね。当時、その男性看護師さんとのやりとりでなにか印象に残っていることはありますか。
中村:
当時は中学生だったので、病名を言われても実感がなかったんですよね。一生付き合っていく病気だって。だけど、どんどん病状が悪化して手術するまでになったタイミングでただごとではないと思うようになって。自分の病状の悪化で状況を理解したような形でした。ちょうど高校受験を控える時期であって、どうしても現役で受験をしたいという焦りもありました。
そうやって悩んでいるときに、それこそさっき僕が言った言葉じゃないですけど、「人生まだ長いよ、この1年間を自分の身体のために休む時間に使ったって、その先の人生を考えたときに、遠回りにはならないと思うよ」とその男性看護師さんが声をかけてくれたんです。その言葉がすごく自分のなかでふっと腹に落ちたんですよね……。結局、病院を受験会場にしてもらって高校入試は受けたんですけど、病院から高校に通う生活がはじまって、無事退院してからも、病気で苦しんでいるときにもすごく助けられました。
当時は男性で看護師になれるとは思っていなかったので、とくに印象に残っています。今思うと、その人はちょうど今の僕くらいの年齢でしたね。自分が看護師になってからも、看護師辞めたいな、しんどいなと思った時期でも、その人になんて声をかけられたかなって思い出したり、少しは自分も近づくことができたかなって考えたりしますね。
向いていないと思うことはある、だけどやりたいこともたくさんある
白石:
中村さんも看護師を辞めたいと思われた時期があったんですね。
中村:
今でも看護師の仕事は向いていないなと思うことはありますね。最初に思ったのは、大学の実習のときだったかな。やっぱり看護師のいい面しか見ていなかったんですよね。自分自身が患者として、見えている看護師さんのいいところしか目に入っていなかった。実際自分が実習に行くようになって、いろいろ考えることがあるし、業務的なところも含めてやらなくちゃいけないことがたくさんで、向いていないなと思っちゃいました。あと1~2年目のときは、手術室独特の指導者が厳しい方だったこともあって、つらかったですね。同期で愚痴をいいながら、なんとか困難を乗り越えた感じで。仕事がある程度できるようになって、先輩に認められるまでは、どっかで見返してやろうというような精神で頑張っていました。
白石:
中村さんが長い看護師人生で今後やりたいこと、なにか決意していることはあるんですか。
中村:
今地域で働くようになって、まだ今年の2月に立ち上げたばかりの任意団体ではあるんですが、医療以外でもダブルケアラー(育児と介護と両方担っている方)に対しての支援を考えています。まだこれから人を集めて、活動していく段階で。家族ケアって医療にかかってる人だけではなく、どんな人にも家族っていると思うんです。家族同等の関係の人も含めて。そのなかで、自分の今の資格や能力を活かせることができたらと考えていますね。ダブルケアラーに関する集まりだけだとつまらないので、なにかコラボ企画のような形で、自分にかける時間がない忙しい方が少しでもリラックスできたり、自分自身のケアができるような場を提供できたらと思います。
白石:
それでは最後の質問にいきましょう。「あなたが後輩の看護師に伝えたいことはなんですか」です。
中村:
これまでもいろいろとお話ししましたけど、やりたいことを突き詰めてほしいということですね。知らずに我慢していることがあるとか、自分の立場や自分の場所を変えにくい、外に飛び出しにくいというのも、もちろん気持ちはわかるんですけど……。やっぱりこれからも働くことを考えたときに、ひとつの場所にずっと居続けるという時代でもないですし、人生長いのでやりたいことに突き進んでほしいなと思います。ある程度自分が外に出ても困らないよなとなったら、一歩飛び出してみて変化していく、それが自分の成長につながるなと思います。
白石:
中村さんはご自身のやりたいことって、どのように考えているんですか。
中村:
僕はいつも頭のなかで思ったことは紙に書き出して、3年後、5年後、10年後と年単位で考えていますね。3年後だったらこれって実現できそうだよなとか、看護師としてだけじゃなくて、自分のなかの生き方がこんな風になっていたいなと考えています。それは必ずうまくいくわけじゃないけど、それでもある程度こうなりたいと思って動いていると、日々の過ごし方も変わってくると思うので。たとえ、うまくいかなくても、逃げ道も考えておくというか、あらかじめ選択肢を増やせるように、今現在を生きている感覚ですね。大学院や教員の道に進んだのもそうで。いろんな選択肢を作れるように、今意識してやっています。
白石:
中村さんのその前向きなお話しが多いなと思っていて、ネガティブなことももちろんあるなかで、あまり気にしないというか、そのあたりってなにか意識されていることがあるんでしょうか。
中村:
なんでしょう。これは元々持っているレジリエンスな気もします。ストレスを受けてもすぐに対処できる人と、ゆっくりな人もいると思うんですけど、元々高めなのかなって。そういう困難があっても、もちろんしっかり落ち込んでへこむんですけど……ちょっと言葉にはしにくいですけど、どこかで切り替えて前を向けるんですよね。なにか意識して対策があるわけではなくて。
でも、看護師になったきっかけや続ける理由とも重なるかもしれないですけど、困っている人を助けたいという気持ちは年々大きくなっていて。やりたいことに対してまだまだ興味関心は強いので、小さい組織のなかにずっといるのってもったいないと思うし、地域で自分の能力を活かすことができるんじゃないか……って。自分自身を俯瞰して見てみて、自分という人間がどこまでいけるかっていうところにも今は興味がありますね。どこまで通用するか。自分自身もまだまだやりたいことを突き詰めている最中です。
白石:
なるほど。自分がどこまでいけるか興味があるって、印象的です。その気持ちがあるからこそ、いろんなものを楽しめるのかなと思いました。今日はありがとうございました!
インタビュアー・白石弓夏さんの著書
私もエールをもらった10人のストーリー
今悩んでいるあなたが元気になりますように
デジタルアートや3Dプリンタを看護に活用したり、看護をとおして一生の出会いをつかみ取ったり、在宅のほうが担い手が少ないから訪問看護に従事したり、苦しかった1年目のときの自分を手助けできるようにズルカンを刊行したり、医療と企業の橋渡しをするためにスタートアップに就職したり、悩みながらも新生児集中ケア認定看護師の道をまっすぐ進んだり、ロリータファッションモデルとして第一線で活躍しながら看護師を続けたり、目的に応じて疫学研究者・保健師・看護師のカードをきったり、社会人になってから「あっ、精神科の看護師になろう」と思い立ったり……。
さまざまな形・場所で働く看護師に「看護観」についてインタビューしようと思ったら、もっと大事なことを話してくれた。看護への向き合い方は十人十色。これだけの仲間がいるんだから、きっと未来は良くなる。「このままでいいのかな?」と悩んだときこそ、本書を開いてほしい。
目次
◆1章 クリエイティブな選択肢を持つこと 吉岡純希
◆2章 大きな出会いをつかみ取ること 小浜さつき
◆3章 現実的な選択肢をいくつも持つこと 落合実
◆4章 普通の看護師であること 中山有香里
◆5章 ものごとの本質をとらえる努力をすること 中村実穂
◆6章 この道でいくと決めること 小堤恵梨
◆7章 好きなことも続けていくこと 青木美沙子
◆8章 フラットに看護をとらえること 岡田悠偉人
◆9章 自分自身を、人生や仕事を見つめ直すこと 芝山友実
◆10章 すこしでも前を向くきっかけを作ること 白石弓夏
発行:2020年12月
サイズ:A5判 192頁
価格:1,980円(税込)
ISBN:978-4-8404-7271-5
▼詳しくはこちらから