河添有希
理学療法士
 


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前回の記事で臨床から疑問を得ることが大事って書いていたと思います。でもこれってなかなか難しい。また、単語を覚えて網の目を細かくしていくことも本当に重要だと思っていますが、それでも臨床から疑問を得ることはなかなか難しい。単語はある程度知っている、勉強した、だけどなかなか疑問が湧いてこない。そんな時はモチベーションも下がっていきますよね。
ただテキストを読み過去問を解くという学習方法は、目標が呼吸療法認定士合格というところにあるだけで面白みがないです。
知らなかったことを知り、疑問に思い・覚え・調べることで知識を身につけ、それを臨床で還元できることこそゴールなわけです。
臨床に還元というのは、患者利益はもちろんのこと、自身をリスクから守れるメリットもあります。その知識を生かして院内で教育的立場になれる可能性もあり、組織還元も可能になるかもしれません。
このゴールを達成するのに、過去問だけ解くのは非効率です。試験直前であれば仕方がないことだと思いますが、試験まで時間があるなかで早くから取り組める皆さんはより実践的に知識を身につける機会を得られているわけです。

疑問の鍵はフィジカルアセスメント

検査データとか、人工呼吸器とか、薬とか……。勉強する項目って色々ありますが、机上の勉強だけだと飽きちゃうのも現実です。やっぱり患者さんを診るなかで感じる違和感がそのまま疑問になり、その疑問が疑問を生むというループに入っていけると学習は進みます。そのそれぞれの疑問を知識としていければばっちりですよね。
 「患者を診る」これもまた難しい。時間単位で働いているリハビリテーション関連職ならまだしも、それ以外の方は1人の人にじっくり時間をかけることは日々の臨床でできているかと言われるとそうでないことも多いと思います。
 そこで、呼吸のフィジカルアセスメントの基本である呼吸数を数える。これをぜひともしてみてください。30秒から1分あればできます。呼吸数を数えるだけではもったいないので、呼吸様式をまねしてみてください。呼吸数が正常範囲で正常の様式に近い形であればいいですが、そうでない場合は必ず何かあります。異常な呼吸には必ず意味があります。そこで日々勉強している解剖を思い出しながら、聴診・触診をしていくんです。そして、視診・触診・聴診で得た知識をもってCTやレントゲンをみて画像評価を行う。ここまでで何かしら疑問が出てきたら、ぜひそれを解決するまで勉強してみてください。出てこない場合はその人のカルテをみて知らない単語をつぶすように勉強していってみてください。必ず進展があることと思います。
 「カルテを読む」っていうのは非常に奥深いです。書いてある単語を理解する。その単語が記載された背景、つまり医学的な根拠や職種背景などを深く読み解く必要性があるからです。この「カルテを読む」っていう行為だけで何年も勉強できるくらいです。

臨床に課題と答えは詰まってる

酸素療法関連では臨床に課題・答えが詰まっています。例えば中央配管が通っている病室が職場にある方は、酸素・空気・吸引の配管のピンを差し込む位置を訪室の度にみてください。これほぼ毎年問題が出ています。わざわざ勉強しなくても病院で毎日みて当たり前にしちゃえばいいんです(『100日ドリル』P106 Q109 解説画像P111表2)。
また、離床時に酸素ボンベが必要な患者さんがいたら、ボンベの残量を計算してみてください。これも絶対毎年計算問題が出ます。これをみてわからなかったら、講習会テキストや問題集をみて覚えればいいです。『100日ドリル』は+αとしてポイントとなるところを教えてくれています(『100日ドリル』P106 Q110 解説P111)。

参考書・問題集と向き合ってやる勉強も試験突破には欠かせませんが、大切なのは臨床です。疑問がでないときやモチベーションが下がりがちなときこそ、臨床で様々なヒントを得て取り組んでいきましょう。

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目次


・本書の特長と使い方

【プロローグ 呼吸療法認定士合格のヒケツ】

【1章 呼吸療法総論】
■問題編 Q1-10
■解説編
1 呼吸療法の歴史/2 公衆衛生/3 生命倫理/4 関連法規と保険診療

【2章 呼吸不全の病態・解剖生理】
■問題編 Q11-55
■解説編
1 胸郭と胸腔の解剖/2 気管・気管支の解剖/3 呼吸に関するリンパ系/4 呼吸に関する神経系/5 呼吸筋の解剖/6 呼吸とコンプライアンス/7 呼吸とガス交換の解剖生理/8 呼吸と換気血流比/9 動脈血酸素含量/10 呼吸中枢と調節の解剖/11 肺循環/12 換気のメカニクス/13 気道の生理学/14 気管・気管支の解剖/15 肺胞に関する解剖 COLUMN/16 呼吸不全の病態と治療/17 COPD/18 気管支喘息/19 肺炎/20 肺結核/21 びまん性肺疾患/22 ARDS COLUMN/23 肺がん/24 気胸/25 肺血栓塞栓症/26 急性心不全/27 睡眠時無呼吸症候群/28 胸部外傷 COLUMN

【3章 血液ガス・肺機能検査】
■問題編 Q56-86
■解説編
1 肺の解剖生理/2 低酸素血症の原因/3 A-aDO2と肺胞低換気/4 低酸素血症と臨床/5 低酸素血症と酸素解離曲線/6 酸素(エネルギー)の需要と供給/7 血液ガスの正常値/8 酸素解離曲線の理解/9 ヘモグロビン緩衝系/10 酸塩基平衡/11 アニオンギャップ/12 酸塩基平衡と代償反応/13 血液ガスの臨床 COLUMN/14 肺機能検査の基礎知識/15 肺機能検査の測定結果/16 機能的残気量(FRC)検査/17 気管支喘息の検査/18 N2単一呼出曲線/19 拡散能検査/20 各種検査と得られる情報/21 コンプライアンス検査/22 COPDの病態と検査/23 肺機能検査の臨床 COLUMN

【4章 人工呼吸】
■問題編 Q87-146
■解説編
1 人工呼吸器の基本構造/2 アラーム・安全管理/3 医療ガス・ボンベ/4 気道確保、気管挿管、気管切開/5 気管チューブ・気管切開チューブ、カフ圧/6 用手換気装置/7 加温加湿 COLUMN/8 人工呼吸の適応と特徴/9 換気様式とモード・設定/10 グラフィックモニター/11 症例から考える COLUMN/12 パルスオキシメトリー・カプノメトリー・経皮ガスモニター COLUMN/13 循環動態のモニタリング:動脈圧/14 循環動態のモニタリング:肺動脈カテーテル/15 循環動態のモニタリング:心電図 COLUMN/16 人工呼吸合併症/17 術後合併症/18 水分・栄養管理/19 ウィーニング/20 全身管理 COLUMN

【5章 酸素療法・NPPV】
■問題編 Q147-186
■解説編
1 酸素投与の方法・器具・モニター/2 高気圧酸素療法/3 ハイフローセラピー(ネーザルハイフロー)/4 在宅酸素療法(HOT)/5 在宅人工呼吸(在宅NPPV、在宅TPPV)/6 酸素療法に関わる保険適用 COLUMN/7 NPPVの適応/8 NPPVの効果/9 NPPVの設定方法、しくみ/10 NPPVの管理 COLUMN

【6章 薬物療法】
■問題編 Q187-220
■解説編
1 エアロゾル粒子/2 吸入薬剤の分布/3 ネブライザーの種類と特徴/4 スペーサーの使用/5 pMDI/6 DPI/7 SMI/8 吸入薬の種類/9 LAMA/10 LABA/11 ICS(吸入ステロイド薬)治療/12 喘息治療ステップ/13 安定期COPD の治療/14 ステロイド薬の副作用/15 pMDIの利点 COLUMN/16 気管支拡張薬/17 鎮咳薬/18 去痰薬/19 副腎皮質ステロイド薬/20 抗アレルギー薬/21 生物学的製剤/22 抗微生物薬/23 抗菌薬/24 肺疾患の薬物療法 COLUMN

【7章 呼吸リハビリテーション】
■問題編 Q221-240
■解説編
1 呼吸リハビリテーションの目的/2 呼吸リハビリテーションの実施体制/3 患者選択/4 呼吸リハビリテーションを実施する目安/5 呼吸リハビリテーションの評価/6 呼吸リハビリテーションのエビデンス/7 呼吸困難の評価/8 コンディショニング/9 口すぼめ呼吸/10 6分間歩行試験とシャトルウォーキングテスト/11 運動処方/12 パニックコントロール/13 身体障害者手帳/14 集中治療における早期リハビリテーション/15 ABCDEバンドル COLUMN

【8章 新生児・小児の呼吸管理】
■問題編 Q241-255
■解説編
1 胎児期・出生時の循環と呼吸/2 肺サーファクタント/3 新生児の呼吸と管理/4 新生児の出生時対応/5 乳児の呼吸の特徴/6 小児の呼吸の特徴と管理 COLUMN

・苦手問題をキーワードから検索できる逆引きINDEX
・早調べ略語集
・資料ダウンロード方法

発行:2024年6月
サイズ:B5判 240頁
価格:4,180円(税込)
ISBN:978-4-8404-8491-6

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