理学療法士
※この記事は、COVID-19により試験が延期された2020年に配信した記事を、2021年の認定試験に合わせてアップデートしました。全記事のアップデート後は新しい企画も準備していますのでお楽しみに!
呼吸療法認定士の目的
皆さん3学会呼吸療法認定士って知っていますか?
最近では資格取ったという方も増えてきているので、名前を聞いたことがあるっていう方も多いのではないでしょうか。
2020年4月現在では、呼吸療法認定士認定試験では過去24回の試験で延べ5万3396人の合格者がいます。職種は臨床工学技士・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士と多くの職種が資格を取ることができるようになっています。
この「3学会」っていうのは日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会のことです。この学会が合同で呼吸療法を一定程度勉強していますと認定している資格になります。
呼吸療法認定士は何を目的にしているかと言うと。簡単にまとめれば、「医学が発展してきて重症管理を行う機会が増えてきているよね。その管理の中に呼吸ももちろん含まれるんだけど、知識とか技術をもった人がまだ少ないから、これを機に呼吸療法を勉強して呼吸管理をするチームメンバーを育てていこう」ってことです。
人生100年時代なんて言われている長寿社会の今、合併症をもっている患者さんがたくさんいらっしゃるのは皆さん感じていると思います。その合併症の中で呼吸器疾患が含まれている事も珍しくないです。主病名が呼吸器疾患じゃなくても酸素・吸入・人工呼吸が必要な人はたくさんいます。苦手だから/専門外だからなんて言ってられないんです。
とは言え、呼吸以外にも学ぶことも多い臨床では、すべての領域をすべて深く勉強するのは不可能ですよね。でも自分自身の知識や領域だけで対応できない事もあります。そんな時は他職種と連携していかなければならないのですが、他職種が何をできてどんな事考えているかがわからないとなかなか難しいです。
この資格試験範囲では、自身の職域以外の事も学びます。歴史から解剖・生理学・機器の安全管理・リハビリテーション・薬剤・関連法規・小児・急性期~在宅などです。これらを体系的に学ぶことができ、呼吸に関わる全般的な知識や各職種の業務内容を広く理解することができると思います。
資格取得のしかた
さて、みなさんは認定講習会に申込しましたか?すでに講習会を申し込まれた方は知っていると思いますが、資格試験を受験するまでに以下のような4つのハードルがあります。
1. 職業と経験年数
2. 必要ポイントの取得
3. 申請書類のダウンロード・作成・提出
4. 講習会の受講
この講習会を受講した方に受験資格が与えられる仕組みになっています。受講可能な職業は冒頭に記載している5職種で、准看護師は3年以上、それ以外は2年以上の実務経験がある方が対象となります。
そしてそれに加えて認定委員会が認める学会や講習会(公式ホームページ参照)に参加したポイントが必要です。その受講証や修了証を提出しなければならないので捨てずに取っておきましょう。私は捨てちゃってて受験しようと思った年に受験できなかった経験がありますのでご注意下さい。
毎年2月に申請に必要な書類のダウンロード可能日時の発表があり、3月にダウンロード可能期間があります。期日を過ぎると申請できなくなるので注意です。3月中に申請書類を揃え4月に提出があります。
この申請書類の提出方法は「特定記録郵便」です。オンライン申請ではありませんのでご注意ください。
この提出書類の受理をもって講習会の受講が可能となり、8月に認定講習会テキストが送られてきて、例年だと8月末~9月初旬で受講となります。
受講後に受験の申込用紙が配布され、それを提出して受験となるわけです。
この講習会テキストが試験範囲であり、講習会もテキストに沿って進みます。講習会までに、そして講習会以降にどのような学習をしていけばよいか、どんな参考書や問題集をどのように活用していけばいいか。わからない事がたくさんあると思います。
上記は2020年までの流れです。COVID-19の流行以降、一部プロセスの時期変更があったり、オンラインへの移行があったりと変化が著しいです。あくまでも目安となりますので、ご興味ある方は常に最新の情報を入手してください。
呼吸療法を学ぶのは楽しい
呼吸って学ぶまではハードルが高くとっつきにくいかもしれませんが、学び始めたら色々繋がって楽しいですよ。認定試験は何をどうしたらいいかわからないというあなたにこそおすすめです。医学は日進月歩で、新しい薬剤や機器が登場すると試験範囲は増えていきます。実際に講習会テキストの厚みは10年でだいぶ増しています。迷っているならすぐにでも挑戦しましょう!
認定試験合格のための実践的な勉強方法と、受験はしないけど呼吸の勉強をしてみたいぞって方にも役に立つ情報をお届けします。どうぞお楽しみに。
書籍の案内
みんなの呼吸器Respica別冊
2024-2025 呼吸療法認定士“合格チャレンジ”
100日ドリル パワーアップ版
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厳選問題と丁寧な解説で合格をGET!
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目次
・本書の特長と使い方
【プロローグ 呼吸療法認定士合格のヒケツ】
【1章 呼吸療法総論】
■問題編 Q1-10
■解説編
1 呼吸療法の歴史/2 公衆衛生/3 生命倫理/4 関連法規と保険診療
【2章 呼吸不全の病態・解剖生理】
■問題編 Q11-55
■解説編
1 胸郭と胸腔の解剖/2 気管・気管支の解剖/3 呼吸に関するリンパ系/4 呼吸に関する神経系/5 呼吸筋の解剖/6 呼吸とコンプライアンス/7 呼吸とガス交換の解剖生理/8 呼吸と換気血流比/9 動脈血酸素含量/10 呼吸中枢と調節の解剖/11 肺循環/12 換気のメカニクス/13 気道の生理学/14 気管・気管支の解剖/15 肺胞に関する解剖 COLUMN/16 呼吸不全の病態と治療/17 COPD/18 気管支喘息/19 肺炎/20 肺結核/21 びまん性肺疾患/22 ARDS COLUMN/23 肺がん/24 気胸/25 肺血栓塞栓症/26 急性心不全/27 睡眠時無呼吸症候群/28 胸部外傷 COLUMN
【3章 血液ガス・肺機能検査】
■問題編 Q56-86
■解説編
1 肺の解剖生理/2 低酸素血症の原因/3 A-aDO2と肺胞低換気/4 低酸素血症と臨床/5 低酸素血症と酸素解離曲線/6 酸素(エネルギー)の需要と供給/7 血液ガスの正常値/8 酸素解離曲線の理解/9 ヘモグロビン緩衝系/10 酸塩基平衡/11 アニオンギャップ/12 酸塩基平衡と代償反応/13 血液ガスの臨床 COLUMN/14 肺機能検査の基礎知識/15 肺機能検査の測定結果/16 機能的残気量(FRC)検査/17 気管支喘息の検査/18 N2単一呼出曲線/19 拡散能検査/20 各種検査と得られる情報/21 コンプライアンス検査/22 COPDの病態と検査/23 肺機能検査の臨床 COLUMN
【4章 人工呼吸】
■問題編 Q87-146
■解説編
1 人工呼吸器の基本構造/2 アラーム・安全管理/3 医療ガス・ボンベ/4 気道確保、気管挿管、気管切開/5 気管チューブ・気管切開チューブ、カフ圧/6 用手換気装置/7 加温加湿 COLUMN/8 人工呼吸の適応と特徴/9 換気様式とモード・設定/10 グラフィックモニター/11 症例から考える COLUMN/12 パルスオキシメトリー・カプノメトリー・経皮ガスモニター COLUMN/13 循環動態のモニタリング:動脈圧/14 循環動態のモニタリング:肺動脈カテーテル/15 循環動態のモニタリング:心電図 COLUMN/16 人工呼吸合併症/17 術後合併症/18 水分・栄養管理/19 ウィーニング/20 全身管理 COLUMN
【5章 酸素療法・NPPV】
■問題編 Q147-186
■解説編
1 酸素投与の方法・器具・モニター/2 高気圧酸素療法/3 ハイフローセラピー(ネーザルハイフロー)/4 在宅酸素療法(HOT)/5 在宅人工呼吸(在宅NPPV、在宅TPPV)/6 酸素療法に関わる保険適用 COLUMN/7 NPPVの適応/8 NPPVの効果/9 NPPVの設定方法、しくみ/10 NPPVの管理 COLUMN
【6章 薬物療法】
■問題編 Q187-220
■解説編
1 エアロゾル粒子/2 吸入薬剤の分布/3 ネブライザーの種類と特徴/4 スペーサーの使用/5 pMDI/6 DPI/7 SMI/8 吸入薬の種類/9 LAMA/10 LABA/11 ICS(吸入ステロイド薬)治療/12 喘息治療ステップ/13 安定期COPD の治療/14 ステロイド薬の副作用/15 pMDIの利点 COLUMN/16 気管支拡張薬/17 鎮咳薬/18 去痰薬/19 副腎皮質ステロイド薬/20 抗アレルギー薬/21 生物学的製剤/22 抗微生物薬/23 抗菌薬/24 肺疾患の薬物療法 COLUMN
【7章 呼吸リハビリテーション】
■問題編 Q221-240
■解説編
1 呼吸リハビリテーションの目的/2 呼吸リハビリテーションの実施体制/3 患者選択/4 呼吸リハビリテーションを実施する目安/5 呼吸リハビリテーションの評価/6 呼吸リハビリテーションのエビデンス/7 呼吸困難の評価/8 コンディショニング/9 口すぼめ呼吸/10 6分間歩行試験とシャトルウォーキングテスト/11 運動処方/12 パニックコントロール/13 身体障害者手帳/14 集中治療における早期リハビリテーション/15 ABCDEバンドル COLUMN
【8章 新生児・小児の呼吸管理】
■問題編 Q241-255
■解説編
1 胎児期・出生時の循環と呼吸/2 肺サーファクタント/3 新生児の呼吸と管理/4 新生児の出生時対応/5 乳児の呼吸の特徴/6 小児の呼吸の特徴と管理 COLUMN
・苦手問題をキーワードから検索できる逆引きINDEX
・早調べ略語集
・資料ダウンロード方法
発行:2024年6月
サイズ:B5判 240頁
価格:4,180円(税込)
ISBN:978-4-8404-8491-6
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