「薬を使って落ち着くかな」
「今日も寝ないし眠剤を…」
「この患者さん、いつも不穏だから仕方ないよね」

──そのくすり、“落ち着かせるための手段” になっていませんか?


薬剤を使って不適切に行動を抑制する「ドラッグロック」

とくに夜勤中は、看護師の心と身体もギリギリの状態ですよね。
そんなとき、用件も曖昧なのに何度もナースコールを押す患者に対して「もう……寝かそう」と思ったこと、ありませんか?

 「とにかく静かにしてほしい」「夜中に動かれるのが怖い」──
そんな気持ちが薬剤投与を“ケア”ではなく“コントロール”にしてしまう。
それが、第二のロック “ドラッグロック”です。

リスク回避の第一優先が薬剤投与では本末転倒

鎮静した結果、失禁が続き、翌日には食欲や意欲も低下する……。
ADLは下がり、昼夜逆転が進み、薬がさらに増えていく……。

薬剤投与で“リスクを回避する”つもりが、闘病のための力を奪ってしまうことがあります。
「薬を使ったことでリスクが減った」のではなくて、「動けなくなったから目立たなくなっただけ」なのかもしれません。

薬は“最後の手段”であってほしい

もちろん、薬物療法が必要なときは必ずあります。
適切な薬物療法は、患者が回復するための支えになります。
だからこそ、“理由の見えない投薬”にならないことが大切です。

「行動のきっかけは?」
「眠れない理由は?」
「苦痛はどこに隠されている? 」──

看護師ならではの視点が、ドラッグロックを防ぐカギになります。

「効いた」ではなく「効かせた理由」を見つけよう

薬で落ち着いたように見えるけど “症状に効いた”のか、“起きていられないほど鎮静された”だけなのか。

「本人の声を閉じ込めていないのか」
「生活に変化はないのか」
「薬を使わなくても済む方法はあるのか」──

そのことに気付けるのは、日々そばにいる看護師です。
投与前から投与後まで観察し、『落ち着いた』で終わらせない。
それこそがドラッグロックを回避するための秘訣です。

身体拘束最小化はアセスメントが9割

ドラッグロックを回避するための観察ってなんだろう?──
『身体拘束最小化はアセスメントが9割』(メディカ出版)で薬物投与がドラッグロックにならないためのコツを、現場目線で解き明かしました。

薬に頼らざるを得ない夜もある。
それでも「使わなくて済む方法」を一緒に考えることができるのが、看護師の力です。
この本が、あなたの新しい気づきの一歩になりますように。


「身体拘束最小化はアセスメントが9割」
この本は“誰かを責める”話ではありません。

わたしたち看護師が、身体拘束が施されがちな患者さんを知るための書籍です。

身体拘束をされている患者の思いを考える一歩を、この本で一緒に踏み出してみませんか?




白石朱美
育和会記念病院・訪問看護リハビリステーションたもつ/認知症看護認定看護師

書籍のご案内




『身体拘束最小化はアセスメントが9割』

身体拘束最小化はアセスメントが9
「トリプルロック」を防ぐためのアプローチ

身体拘束最小化に必須の知識と信念
身体拘束の最小化は、特定のスペシャリストだけの課題ではない。本書では身体拘束のきっかけとなりやすい点滴・胃管・尿道カテーテル・さらには転倒・転落リスクなどに着目し、フィジカルロックだけでなくドラッグロック、スピーチロックを含めたトリプルロックをいかになくせるかという視点で解説した、現場目線の1冊である。

発行: 2025年9月
サイズ:B5判 144頁
価格:2,860円(税込)
ISBN:978-4-8404-8825-9
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