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大阪歯科大学医療イノベーション研究推進機構 事業化研究推進センター 地域医療等連携部門 専任教授
<こんな方にオススメです!>
緩和ケアにおける対応へのヒントが満載! 自分のケアを見つめ直しましょう! 看護職者特有の関わりかたを知ることで接し方が変わります。『困ったさん』で片づけず、患者さんの特性に注目しよう!
配信|CHAPTER 1:緩和ケアの目的と全人的アプローチ
今回は、緩和ケアにおいて看護師が関わりづらさを感じるときのコミュニケーションについて、みなさんと一緒に学んでいきたいと思います。
講義全体のアウトラインはこちらです。
まずはじめに「緩和ケアの目的と全人的アプローチ」について、そして「がん患者さんの心理とコミュニケーション」について、少し復習の内容もあるかと思いますがご紹介したいと思います。
次に「看護師が関わりづらさを感じるとは」として、臨床でみなさんがお困りになっているのではないかと思われるような事例を通して一緒に考えたいと思います。
続いて「発達障害の影響を考慮した対応」ということで、いま大人の方たちの発達障害が話題になっていますが、そうしたことを念頭に置いた対応についてまとめていきたいと思います。
では「緩和ケアの目的と全人的アプローチ」についての講義を始めましょう。
みなさんもご存じのようにWHOが2018年に新しい定義を出していますのでご紹介します。
この定義には「緩和ケアとは、生命をおびやかす病に関連する問題に直面している成人と小児の患者およびその家族の苦痛を予防しやわらげることである。これらの問題には、患者の身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛、そして家族の精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛が含まれる。」とあります。
これまでの定義と違うところは、小児の患者さんについても対象にするという点、そしてご家族にも精神的、社会的、スピリチュアルな問題もあるので、そこもケアしていきましょうというところが強調されている点ですね。
私自身はスピリチュアルについて研究をしていますし、それは家族にもあるなあと思っていたので、この定義が出たときに正直「やった!」という感じがありました。みなさんはこの新しい定義をどのように受け止めておられるでしょうか。
では緩和ケアの目的を見てみましょう。
先ほどの定義をもとにスライドのようにまとめましたが、みなさんいかがでしょうか? そうだなあと思っていらっしゃる方、なかなか難しいなあと思っていらっしゃる方、さまざまではないでしょうか。
では、患者さんを全人的にとらえていくために、どんなアセスメントの方法があるでしょうか。的確にとらえるためにはアセスメントは不可欠であり、これまで医師の考え方でよく使われていて、いまでは看護でも使われているのが「包括的アセスメント」です。
これは別に難しいことではなくて、みなさんがおそらく日常の臨床のなかでされていることです。それを系統立ててみていきましょうというものです。
まず「身体面のアセスメント」ですが、これはみなさんが普段されていることですね。
その後「精神・心理面のアセスメント」に続いていきます。これはどうしてかと言うと、たとえば身体に痛みがあったらそれだけで「苦しい、しんどい、なんとかして」という状態になって、痛みがあるのに心は元気ということはないですよね。ですので、身体をアセスメントして、それをどんなふうにケアするのか、それでもまだ残っている心の問題をケアしていくということです。
次に「社会面のアセスメント」です。これは看護師だけではなかなか難しい側面もあるかなと思います。みなさんの周りにもソーシャルワーカーさんがいらっしゃるなどさまざまだと思いますが、そうした他職種の方と協力しながらアセスメントしていくということが必要です。
そして、ここまでのアセスメントとケアを行ってきても残るのが「スピリチュアル面のアセスメント」なんですね。いま聴いてくださっているなかでも経験の多いベテランさんであれば、普段から患者さんとの関わりのなかで「これはスピリチュアルな問題だな」と感じるようなことがあるかもしれませんが、そうしたベテランさんの頭の中を系統立ててみるとこのスライドの図ようになっているのではないかと思います。
このような包括的アセスメントは、基本的な緩和ケアを担っていく上で、大事なアセスメントの視点と考えていただければと思います。
そのため、身体のことはあるけど置いておいて、いきなりスピリチュアルなところにはいかないというのが、一方では大事なことと言えるのです。
では次に、基本的緩和ケアを担う看護師に求められる実践能力についてスライドのようなお話をしていきたいと思いますが、続きはぜひログインして動画でご覧ください。
プログラム
緩和ケアの目的と全人的アプローチ
がん患者の心理とコミュニケーション
緩和ケアの定義の変更点とは?
包括的アセスメントの考え方
コミュニケーションスキルを詳しくみてみよう
看護師が関わりづらさを感じるとは
―事例を通して考えよう
何度説明しても患者の理解が得られない場合
せん妄を予防しよう
認知機能の検査を活かそう
がん告知に伴うストレスと心の反応
『否認』は心を守る反応
発達障害の特徴
患者が治療をあきらめたくないと話すとき
こだわりが強いなと感じるとき
『間違ってはいない』でも何かが違う…
患者が怒りを表出した際の対応
遠方から突然、発言力のある家族がやってきた
発達障害の影響を考慮した対応
まとめ
発達障害の有病率は高い?
発達障害の影響を考慮したマネジメントとは?
患者さんを理解するためのポイント
講師・田村恵子先生の本
最新知見をふまえた患者・家族対応のヒント
全人的アプローチ、がん患者さんの心理、認知機能や発達障害の影響まで臨床のモヤモヤを見つめ直す
「これはおかしい!」を身体所見から見抜く
緩和ケアにおける基本のコミュニケーションスキルでは対応できなくて困った経験は誰にでもあるだろう。そんな時に認知機能や発達障害などの特性をふまえて対応しようという研究が進んでいる。最新知見と事例から、臨床現場を再考するための書籍。
2,750円(税込)
発行:2023年6月
サイズ:A5判 144頁
ISBN-13:978-4-8404-8177-9