第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。
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講師
中西秀彦
北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 先端医療領域開発部門 新生児集中治療学教授
<セミナーはこんな内容>
病態生理がわかっていなければ、プロとしての観察とは言えない!!
赤ちゃんが出すサインのウラに、何が隠れている?
これって正常? それとも異常サイン?
チェックポイントは? ドクターコールのタイミングは?
大っボリュームの200分! じ~っくりお話しします!
配信|CHAPTER 1:まずはここから!新生児の生理的特徴
みなさんこんにちは。北里大学医学部附属新世紀医療開発センターの中西秀彦です。
今回は、①新生児の生理学的な特徴、②新生児のフィジカルアセスメント、③新生児によくみられる症状の代表的なものをみなさんにお届けしたいと思いますのでよろしくお願いします。
では最初の「新生児の生理的な特徴」についてお話をしたいと思います。
まず、出生前後の呼吸のこと、それから循環のこと、三つ目に血液・免疫の特徴ということで基本的なお話をしていきます。
新生児が大人と大きく違うところは、子宮内環境から子宮外環境へ適応していくということです。
胎盤循環のなかでは、酸素と栄養素の供給が行われていて、それ以外にも不要物の排出などそれはすべて胎盤との協働で行われます。
また子宮内環境は体温が維持されていることや、無菌状態というところで、子宮外とは違う環境です。
それが出生とともに、スライドに表示した6つのことを新生児は一瞬のうちに適応していかなければなりません。代表的なのは上の2つ、肺呼吸の確立、そして胎外循環の確立です。
それ以外にも体温調節、また当たり前かもしれませんが、経腸的にお母さんのおっぱいを中心に栄養を吸収していくということ、そして外敵に対して自分自身の免疫能を発揮するということ、そして不要物の排泄ということを自身で成し遂げていきます。
これが子宮内から子宮外の環境に適応していくという大事な過程です。
ではまず出生前後の呼吸について、これは何が違うかということを説明していきます。
子宮内から子宮外の環境へということで、子宮内は羊水中に胎児がぷかぷか浮いていて水中生活をしているような状態ですが、ここでは血液同士で酸素と二酸化炭素を交換しています。ところが出生と同時に、肺胞つまりガス交換するスペースができ、その周りを血管が走行することによって、空気と血液のガス交換をするようになり、新生児はこれを出生から一瞬で成し遂げなければなりません。
ここで肺呼吸が成立する条件についてお話ししたいと思います。
まず一つ目に大事なことは自発呼吸の開始です。これはすでに出生前から呼吸の準備運動が行われています。
二つ目は肺の構造が成熟しているということです。肺の構造といっても、肺胞というガス交換するためのエアスペースと、ガス交換するために周りを取り囲んでいる肺胞の毛細血管が成熟していることです。
それから構造だけではなくて、肺の機能が成熟していることも条件です。排水がしっかり排除されること、また肺サーファクタントがしっかり分泌されているということが重要です。
そして最後に肺循環の確立も肺呼吸が成立するために重要な条件です。
それでは一つずつ上から見ていきましょう。
まず胎児呼吸様運動を示します(ログインして動画でご覧ください)。
これは胎児を超音波で撮った所見ですが、向かって右が「頭側」、左が「足側」、上が「腹側」、下が「背中側」となっていて、中央のあたりに心臓があり、横隔膜が上下します。肺実質も映っていますが、これが胎児呼吸「様」運動です。実際に呼吸をしているわけではなくて、出生後に備えて準備運動をしている状況だと思います。
このような胎児呼吸様運動というのが胎内で行われているか、これも出生後に肺呼吸が成立するかの重要な条件です。もし胎児呼吸様運動が妨げられるような状況があると出生後に呼吸障害を来すということが考えられます。
続いて二つ目、正常な肺の構造を有するというところですが、このスライドの図は肺の気道を中心に発達を示したものです。胚子期から偽腺様期、管状期、終末嚢期、肺胞期と肺が成長を遂げていくわけですが、特に終末嚢期から肺胞期にかけては肺のガス交換のスペースである肺胞が成長していくという重要な時期です。
肺のエアスペースだけではなくて、肺の血管の成長も非常に重要なポイントになります。つまり、終末嚢期、肺胞期肺において肺胞の周辺を網の目のように取り巻く毛細血管の成長が非常に重要です。
続いて肺の機能のお話をしたいと思います。ここで重要なキーワードは「肺水の吸収」です。
ログインして動画でご覧いただくと以下の解説(約10分程度)をすべて視聴するができます。
・肺水の吸収
・生後の呼吸の適応過程:肺水の吸収のプロセス
・肺サーファクタントの存在
・人工肺サーファクタント
・第1呼吸に必要な圧
・肺循環の確立
・新生児の呼吸の他の特徴
また、ご購入いただくとプログラムもすべてご覧いただけますのでぜひご検討ください。
プログラム
生理的特徴
【いち】呼吸 編
【 に 】循環・血液・免疫 編
フィジカルアセスメント
【さん】呼吸・循環・胸部 編
【 し 】腹部・尿路・皮膚・頭部・顔面 編
【 ご 】背部・四肢・外陰・神経・経時別 編
よくみる症状
【ろく】呼吸障害 編
【なな】心雑音、頻脈/徐脈 編
【はち】チアノーゼ、貧血/多血、四肢冷感 編
【きゅう】黄疸、腹部膨満、嘔吐、吐血/下血 編
【じゅう】浮腫、体温異常、痙攣、筋緊張異常、not doing well 編
セット受講で理解が深まるセミナー
呼吸器の波形の動きや患児の様子などふだんは見られない動画が満載!
プログラム
①まずはおさらい! 新生児の呼吸生理
②スラスラ読める 血液ガス所見
③イラストと図解で納得! いろいろな呼吸管理方法と人工呼吸器モード
④どうする? 何する?新生児呼吸疾患これだけは
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