第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。
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講師
竹内一郎
横浜市立大学 救急医学/高度救命救急センター 主任教授
<講師からのメッセージ>
■救急医療現場の実際の12誘導心電図画像を挙げて、クイズ形式で解説!
■本当に現場で使える12誘導心電図の判読のコツがわかる!
■心電図から病態を予測できる!
■「経過観察」「緊急性は低いがドクターに報告」「超緊急!ドクターに報告&処置の準備」など、次のアクションつなげられる!
■救急医療現場の実際の心電図画像を通して、ナースが知っておくべきポイントに絞って、救急科専門医、循環器専門医の竹内先生が、超わかりやすく解説します。
※教科書的、網羅的な心電図解説ではありません。
※救急センター・初療室・救急外来・救急病棟・ICU現場のナース向けのセミナーです。
配信|CHAPTER 3:自覚症状・理学所見の重要性
ここでは「自覚症状・理学所見の重要性」ということで、『Emer-Log(エマログ)』2023年6号に載っている心電図を使いながら説明したいと思います。
次のスライドで示したのは54ページ・問題13に載っている心電図ですがどうでしょうか? これはよくありがちな心電図だと思います。
判読のポイントを一つずつ見ていくと、まずはRR間隔が不正である、あるいはP波が認められていない、基線が細かく振動している、ということから心房細動の心電図ということはすぐにわかっていただけると思います。
循環器病棟の看護師さんであればよく見かけると思いますが、では次に急変や患者さんからの訴えがあったときにどう考えるかとなると、この心電図1枚では何とも言えないというのが現場のリアルです。
この心電図のなかで、患者さんにはどういう症状があるのか、ないのか、いままであった症状と違って新規のものが出てきたのか、どこか違うのか、という感じのことが治療上は非常に大事です。
例えば、この心電図の患者さんが、今朝から動悸を自覚をしたと外来に歩いてやって来たというのであれば、これは発作性心房細動の典型的な例かもしれません。
だとしたら、いま病棟にいる看護師さんならご存じかもしれませんが、抗凝固薬は必須ですのでエリキュース®とかイグザレルト®などのDOAC(直接経口抗凝固薬)や、オーソドックスであればワーファリンなどで脳梗塞の血栓症予防をしなければなりません。
当然、年齢や心不全歴などのスコアリングも必要ですし、使用する薬の基準はありますが、本セミナーではそこはいったん置いておいて、今朝から動悸があるんですと歩いてやって来た患者さんの心電図として見たら、まず抗凝固薬を投与したり、あるいは心拍数が速すぎると頻脈性心房細動で心不全を起こしますので、やっぱり心拍数を遅くしたほうがいいなあということであればワソラン®であったり、β遮断薬のメインテート®などを使います。
あるいは経験のある看護師さんだったらいきりなり除細動で心房細動をサイナスにするのはその瞬間に血栓を飛ばす可能性があるので、症状からいくと今朝からということであまり時間は経っていないけどまずは経食道エコーをして、心臓の中の特に左心房に血栓がないかということを確認したうえで除細動をして、サイナスリズムに戻そうかと考えるような典型的な心電図です。
ただ、8割か9割の患者さんではそれでいいと思うのですが、例えば同じ心電図でありながら、来院した患者さんがフラフラで、病院に来る途中でも目の前が真っ暗になったり、短時間に意識を失う感じでドキドキドキドキしててと言われたら、医師としてはこれは心房細動であまりに頻脈になり過ぎていて、循環動態がうまくいっていないんじゃないかと考えます。
その場合、最初の患者さんと同じ心電図でもこれは緊急性が高いので、先ほどのように経食道エコーなどしている余裕はなくて、もちろんDOACなどでの治療も大事ですが、まずはこれを治さないと次は本当に失神して意識がなくなってしまうかもしれないという判断をします。つまり、同じ心電図でありながら、心電図同期下のうえでのカルディオバージョンが必要になるかもしれません。
あるいは、次のスライドもまた『Emer-Log(エマログ)』2023年6号に載っているもので発作性心房細動から洞調律に戻った心電図ですが、この患者さんは高校生で、発作性心房細動で心肺停止になっています。意識がなくなっています。
だとしたら同じように心房細動でありながら、この場合は同期している場合ではなくて、すぐにdefibrillation(電気的除細動)をするしかありません。
同じ心電図でありながら、それぞれ患者さんの状態や自覚症状、バイタルによって対応が変わらなくてはならないということを、本セミナーでは強調したいと思います。
逆に言うと、心電図だから対応が一対一で決まっているというわけではなくて、心電図に変化があれば常に患者さんのバイタルはどうか、自覚症状や理学所見の変化はどうだろうというように、もう一度戻って考えるということが現場としては非常に重要です。
これは心電図の読影と同じくらい大事なことだと思いますし、現場で最前線にいる看護師さんにとって求められることのいちばん大事な点ではないかと思います。
もう一つ、同じ心電図でありながら、診断や後がまったく変わってくる典型例の「例2」を紹介します。
ログインして動画でご覧いただくと続きの「例2」まで視聴することができます。また、ご購入いただくとさらに様々な事例を通して学ぶことができるすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。
プログラム
●はじめに
●心電図を学ぶ目的
●自覚症状・理学所見の重要性
●うろ覚えの知識だけでは危険!高校生の症例
●心電図読影の基礎
●急変対応 病棟で入院している患者さん①
●心原性ショックに対する循環補助デバイス
●急変対応 病棟で入院している患者さん②
●急変対応 外来編
●緊急対応を要さない心電図異常例
●講義のまとめ
●質疑応答
本セミナーと連動している専門誌の紹介
キケンな波形を見抜く! 初期対応につながる!
救急12誘導心電図42問42答ア
■Part 1. 基礎編
救急現場・救急病棟でみる12誘導心電図
●1 12誘導心電図判読のポイント
●2 救急でみる代表的な心電図
■Part 2. 実践編
12誘導心電図42問42答
●問題1 突然の呼吸困難を訴えて意識消失の心電図
●問題2 健康診断で(無症状)指摘された心電図
●問題3 病棟で失神した人の心電図
●問題4 徐脈で失神をきたした心電図
●問題5 毎朝胸痛で目覚める心電図
●問題6 失神で来院した若年女性の心電図
●問題7 くも膜下出血の心電図
●問題8 劇症型心筋炎の心電図(IABPを挿入した症例)
●問題9 劇症型心筋炎の心電図(PCPS〔VA-ECMO〕を必要とした症例)
●問題10 インペラの挿入を考えるべき病態の心電図
●問題11 アブレーション治療を考慮すべき病態の心電図
●問題12 透析患者の異常を知らせる心電図
●問題13 心房細動の心電図(レートコントロールか、リズムコントロールか)
●問題14 突然動悸を訴えたPSVT(発作性上室頻拍)の心電図
●問題15 ペースメーカー不全を疑う心電図
●問題16 急性心筋梗塞の心電図(右冠動脈の心筋梗塞)
●問題17 急性心筋梗塞の心電図(左冠動脈の心筋梗塞)
●問題18 急性心筋梗塞の心電図(左冠動脈主幹部の心筋梗塞)
●問題19 急性心筋梗塞の心電図(ステント再狭窄)
●問題20 多枝病変の虚血を疑う心電図
●問題21 心タンポナーデの心電図
●問題22 肥大型心筋症の心電図
●問題23 たこつぼ型心筋症の心電図
●問題24 狭心症の心電図
●問題25 心膜炎の心電図
●問題26 急性肺血栓塞栓症の心電図
●問題27 左室肥大の心電図
●問題28 大動脈弁狭窄症の心電図
●問題29 拡張型心筋症の心電図
●問題30 低体温でJ波がみられている心電図
●問題31 健康診断で指摘されたブルガダ症候群の心電図
●問題32 WPW症候群の心電図
●問題33 薬物によるQT延長症候群の心電図
●問題34 トルサード・ド・ポアンツの心電図
●問題35 完全房室ブロックの心電図
●問題36 Ⅱ度房室ブロック(ウェンケバッハ型)の心電図
●問題37 Ⅱ度房室ブロック(モビッツⅡ型)の心電図
●問題38 VT(心室頻拍)の心電図
●問題39 Pseudo VT(偽性心室頻拍)の心電図
●問題40 洞性頻脈の心電図
●問題41 無脈性電気活動(PEA)の心電図
●問題42 電極の付け間違いの心電図
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