第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

※上部のサムネイルをクリックして視聴できます。
※視聴にはメディカIDが必要です。メディカIDをお持ちの方はログインしてそのままご視聴ください。




講師
平野 照之
杏林大学脳卒中センター長/副院長

<脳卒中のくすりの基礎知識に不安をもっているみなさんへ>
■脳卒中のくすりでおさえておきたいのは「どんなくすりか」「どう使うのか」「気を付けるべきポイント」の3つです。
■くすりについての不安をもつ理由は、「どんな状態の患者」に「どんな作用のくすり」を「どんな投与方法」で「何に気を付けながら」投与する、あるいは観察すればよいのかがぼんやりとしかわからないからです。
■例えば同じ「指示された通りに投薬する・観察する」場合でも、注意事項や一般的な投与量、禁忌など、自身にそのくすりに関する知識があるのとないのとでは、投薬する・観察することに対する不安や緊張が大違いです。
■本セミナーではよく使われる脳卒中のくすり46製剤について、神経内科学/脳卒中学が専門の医師が、各3分程度で一番押さえておきたい知識のみを厳選してわかりやすく解説します。
■本セミナーで学べば、脳卒中のくすりに関する不安が解消されて、自信をもってケアができるようになります!


配信|CHAPTER 1:血栓溶解薬/抗血小板薬



#01 アルテプラーゼ

アルテプラーゼはグルトパ®注、アクチバシン®注という名前で販売されています。

脳卒中のくすり01

アルテプラーゼは、脳梗塞の原因となった血栓を溶かして脳の血流を再開させる薬です。

発症4.5時間以内、かつできるだけ早期に静脈内投与します。

発症時刻がわからない場合も、MRIのFLAIR画像で発症4.5時間以内であることが確認できれば使えます。

脳卒中のくすり02

専用溶解液をアダプターで接続し、泡立てないように、ゆっくり回しながら溶かします。

正確に投与量(0.6mg/Kg)を決めて、総量の10%を急速投与、残りを1時間で点滴します。

体重あたり0.6mgという投与量が決められています。

脳卒中のくすり03

■気を付けるべきポイント
投与量・投与方法を間違えないことが大切です。

投与中・投与後は24時間までNIHSS(NIH Stroke Scale)の推移を頻回にモニターする必要があります。

投与後24時間は、他の抗血栓薬は原則として使用できません。

脳卒中のくすり04


#02 オザグレル

オザグレルは点滴専用の注射の薬です。

脳卒中のくすり05

オザグレルは血小板が凝集して起こる血小板血栓の生成を抑える薬です。

詳しく説明すると、血小板を活性化させるトロンボキサンA2(TXA2)という酵素を阻害することで、この薬は効果を発揮します。

脳卒中のくすり06

オザグレルは非心原性脳梗塞による手足の麻痺などを改善させる効果があります。

トロンボキサン合成酵素を選択的に阻害してトロンボキサンA2(TXA2)の産生を抑制し、一方でプロスタサイクリンの産生を促します。両者のバランス異常を改善するとともに血小板凝集を抑制します。

脳卒中のくすり07

■使い方
通常、2時間かけて1日朝夕2回、静脈内に注射します。

通常、2週間連続して注射します。

脳卒中のくすり08

■気を付けるべきポイント
主な副作用として、肝機能障害、出血性の副作用(出血性梗塞・脳出血・消化管出血・皮下出血など)、発疹、貧血、喘息(様)発作などがあります。

脳卒中のくすり09


#03 アスピリン

アスピリンには、バイアスピリン®、バファリン配合錠A81などいくつかの剤型があります。

脳卒中のくすり10

アスピリンは血小板の活性化を抑制することで、血小板血栓の生成を抑制する薬です。

非心原性脳梗塞の治療薬として、急性期にも慢性期(再発予防)にも用います。

脳卒中のくすり11

■使い方
急性期治療には160~300mgを内服します。

急ぎで効かせたいときには、かみ砕いて内服することもあります。

再発予防には75~150mgを用います。使用する薬剤量が異なるわけです。

脳卒中のくすり12

投与量の切り替えは、施設や病状によって異なります。

初日のみ200mg、翌日から100mgという施設もあれば、初日から2週間は200mgを飲んで、その後に100mgにするという施設もあります。

非心原性脳梗塞の急性期には、他の抗血小板薬と合わせて使用することが多いです。これを抗血小板薬2剤併用療法(DAPT:dual antiplatelet therapy)といいます。

脳卒中のくすり13

■気を付けるべきポイント
アスピリンには消化管障害に注意が必要です。

バイアスピリン®は腸溶性のコーティングとすることで、胃粘膜から直接吸収されることが防がれ、胃粘膜障害が起こりにくくなっています。

脳卒中のくすり14

バファリン配合錠A81にはダイアルミネートが配合されています。これが緩衝剤として働くことで胃内膜を保護する作用があります。

脳卒中のくすり15

急性期と再発予防で投与量が異なることに注意が必要です。

アスピリンには合剤が複数あります。

脳卒中のくすり16

タケルダ配合錠は、アスピリンとプロトンポンプ阻害薬(PPI)であるランソプラゾールが配合された薬です。

脳卒中のくすり17

コンプラビン配合錠は、アスピリンと抗血小板薬であるクロピドグレルが配合された薬です。

脳卒中のくすり18



ログインして動画でご覧いただくと、シロスタゾール(プレタール®)、クロピドグレル(プラビックス®)、プラスグレル(エフィエント®)の解説まで視聴することができます。また、ご購入いただくと本セミナーで取り上げる46製剤すべての解説をご覧いただけますのでぜひご検討ください。

脳卒中のくすり19

※本セミナーで取り上げている薬剤の製品写真は、2023年9月時点で各メーカーより許可を得て掲載しているものです。製品の外観はメディケーションエラー減少目的の改良などにより、つねに変更の可能性があります。また、製品は予告なく販売中止される可能性があります。
※本セミナー内容は正確を期するように努めていますが、薬剤情報は更新されることがありますので、薬剤の使用時には最新の添付文書などを参照し、その内容を十分に理解した上でご使用ください。また、薬剤の使用などによるいかなる事故に対し、講師および当社は責を負いかねます。







プログラム

CHAPTER1 血栓溶解薬/抗血小板薬
#01 アルテプラーゼ(グルトパ注/アクチバシン注)
#02 オザグレルナトリウム(オザグレルNa静注液)
#03 アスピリン(バイアスピリン/バファリン配合錠A81)
#04 シロスタゾール(プレタール)
#05 クロピドグレル(プラビックス)
#06 プラスグレル(エフィエント)

CHAPTER2 抗凝固薬/抗凝固薬の中和薬
#07 アルガトロバン(ノバスタンHI/スロンノンHI)
#08 ヘパリン(ヘパリンNa注)
#09 ワルファリン(ワーファリン)
#10 ダビガトラン(プラザキサ)
#11 リバーロキサバン(Xa阻害薬)(イグザレルト)
#12 アピキサバン(Xa阻害薬)(エリキュース)
#13 エドキサバン(Xa阻害薬)(リクシアナ)
#14 乾燥濃縮人プロトロンビン複合体 PCC(ケイセントラ)
#15 イダルシズマブ(プリズバインド)
#16 アンデキサネットアルファ(オンデキサ静注用)

CHAPTER3 脳保護薬/脳浮腫治療薬
#17 エダラボン(ラジカット)
#18 高張グリセロール(グリセレブ)
#19 D-マンニトール(マンニットT注)
#20 五苓散

CHAPTER4 昇圧薬
#21 ノルアドレナリン(ノルアドレナリン注)
#22 ドパミン(ドパミン塩酸塩/ドパミン塩酸塩点滴静注液キット)
#23 ドブタミン(ドブタミン点滴静注液100mg「F」/ドブタミン持続静注150mgシリンジ「KKC」/ドブタミン点滴静注液600mgキット「VTRS」)

CHAPTER5 降圧薬
#24 降圧薬の知っておいてほしい特徴
#25 降圧薬(注射薬)(ニカルジピン/ミリスロール)
#26 アムロジピン(カルシウム拮抗薬)(アムロジピン/ノルバスクOD)
#27 ニフェジピン(カルシウム拮抗薬)(アダラートCR/セパミット-R)
#28 インダパミド(利尿薬)(ナトリックス)
#29 ヒドロクロロチアジド(ヒドロクロロチアジド錠「トーワ」)
#30 オルメサルタン(オルメテックOD)
#31 アジルサルタン(アジルバ)
#32 サクビトリルバルサルタン(エンレスト)
#33 ビソプロロール(メインテート/ビソプロロール/ビソノテープ)
#34 プロプラノロール(インデラル)

CHAPTER6 血漿増量・体外循環灌流液/脳血管攣縮治療薬
#35 低分子デキストラン(低分子デキストランL)
#36 パパベリン塩酸塩(パパベリン塩酸塩注)
#37 ファスジル塩酸塩(エリル点滴静注液/ファスジル塩酸塩)
#38 クラゾセンタン(ピヴラッツ)

CHAPTER7 抗てんかん薬/鎮静薬
#39 レベチラセタム(イーケプラ)
#40 ラコサミド(ビムパット)
#41 ホスフェニトイン(ホストイン)
#42 ジアゼパム(セルシン注/ジアゼパム注)

CHAPTER8 催眠鎮静剤/全身麻酔・鎮静剤/麻酔用鎮痛剤
#43 ミダゾラム(ドルミカム注射液、ミダゾラム注)
#44 プロポフォール(プロポフォール1%静注)
#45 デクスメデトミジン(プレセデックス/デクスメデトミジン)
#46 フェンタニル(フェンタニル注)