第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。
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講師
古川力丸
日本大学医学部 救急医学系救急集中治療医学分野/医療法人弘仁会板倉病院 副院長
<セミナーはこんな内容>
血ガスが分類ができるようになることは大前提の基本事項。
大切なのはそこからケアに活かすこと、血ガスを使いこなせるようになることです。
新人さんはしっかり学べて理解が深まり、勤続10年以上のベテランさんも再確認に最適!
明日からのケアに活かせます。
配信|CHAPTER 4: 「代償反応」ってなぁに?
ここでは「代償」についてお話ししたいと思います。
この「代償」はあえて本編から外して追加コンテンツとしたのですが、ここまでのCHAPTERでは、血ガスを読む3ステップとして、ステップ①はpH7.4でぶった切って、ステップ②でCO2を見て呼吸性かどうか判定して、ステップ③で重炭酸(HCO3-)で再確認というお話をしました。
この流れから言うと、血ガスで有名な「代償」って、血ガスを読むうえではなくても読めるんです。なので本編には入れなかったのですが、「代償」を知っておいたほうが血ガスに対して馴染みも出ますし、そんなに難しいことではないので、自分の体の中でこんなことが起きているのだと知っておいてもらえたらと思います。
「代償」って何かというと、次のスライドの4分割表のなかでカッコで書いている部分、これが「代償」です。
そしてこの4分割表にあるように、大元の異常の原因は2本矢印で書いて、代償は1本矢印で書くという文化というか、取り決めがあります。
で、「代償」って何かというと、代謝(腎臓)がダメになったときには呼吸がサポートする、呼吸がダメになったときには代謝(腎臓)がサポートしてくれている、これを「代償」と言います。
この「代償」は意図的にやるものではなくて、どっちかがダメになったら自動的に動き出します。
この4分割表は、記憶力に自信のある人は丸覚えしてもらってもいいのですが、それよりも体の中で何か起きているのかということを知っておいてもらったほうがいいですので、丸覚えするよりは理解するということをしてもらえたらと思います。
それでは、まず呼吸性アシドーシスを例にしてお話をしてみたいと思います。
呼吸性アシドーシスというのは、表を見るとCO2が上がることです。CO2が上がってアシドーシスになることを呼吸性アシドーシスといいます。
そうすると腎臓が自動的に「代償」のメカニズムを働かせて重炭酸(HCO3-)をちょっと上げてくれるんですね。これが「代償」です。
ここでも丸覚えするよりは何が起きているかを理解してもらいたいので、さらさらとした砂漠の砂をイメージしてください。
このさらさらとした砂漠の砂で、人体がもっともバランスが取れてパーフェクトできれいなのは、真っ新な、真っ平らな状況だと思ってください。この状況で呼吸性アシドーシスになったとします。
例えば、もともとパーフェクトで健康な人だったんだけれど胃カメラのときにドルミカム®を打ったことにより呼吸が落ちてしまった、CO2が溜まってしまった、となると呼吸性アシドーシスになります。
ドルミカム®を打ったせいで呼吸が落ちて、呼吸回数が減って、呼吸の上りが悪くなってCO2が溜まってしまいました。さらさらとした砂漠の砂でいうと、CO2の部分がニョキニョキニョキと砂を盛ってしまった状況です。これが呼吸性アシドーシスです。
ここでちょっと想像してもらいたいのですが、さらさらとした砂漠の砂をCO2のところだけこんもりと盛っていったときに、スライドの図のようにツンと高く、東京タワーやトーテムポールのように積めるでしょうか?
そうはいかないですよね? だいたいの場合、この積まれた砂はダーッと崩れます。これが「代償」です。
何を言っているの?と思われるかもしれませんが、ちょっとスライドを見てくださいね。
CO2がマズいくらい溜まってしまったせいで緊急事態になりました。このときに、人間の体は自動的に砂をバッと崩すのです。そうするとどうなるかというと、CO2のところの標高は下がります。その代わり、重炭酸(HCO3-)のところの標高がちょっと上がります。これが「代償」です。
4分割表によると、呼吸性アシドーシスのときには重炭酸(HCO3-)がちょっと上がりますよというのがメカニズムだと理解しておいてください。
続いては代謝性アシドーシスを例にして考えてみたいと思います。
ログインして動画でご覧いただくと、代謝性アシドーシスを例にした「代償」の解説まで視聴いただけます。また、ご購入いただくとすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。
プログラム
其の1 血液ガス分析で何がわかる?
・血ガス検査でしか知りえない項目は?
・酸素化、換気それぞれどう評価する?
・ヒトの呼吸中枢は何を重視している?
其の2 酸塩基平衡ってなぁに?
・たった3ステップで酸塩基平衡がわかる
・覚えるべき正常値はたったこれだけ!
・Dr.力丸と一緒に練習問題をやってみよう!
其の3 分類したあと、どうやってケアに活かす?
・呼吸性アルカローシスは看護に直結する?
・カリウム値、乳酸値のアセスメント教えます!
・透析時、妊婦、静脈血ガスの注意点は?
【追加コンテンツ1】「代償反応」ってなぁに?
・呼吸(肺)と代謝(腎臓)はオトモダチ?
・代償は暗記せずに、メカニズムを理解しよう!
・砂漠の砂、東京タワー、井戸をイメージする
【追加コンテンツ2】酸塩基平衡とPaCO2の最適値
・PaCO2は「値」だけで判断してはいけない!
・最適値はケースバイケース
セット受講で理解が深まるセミナー
Dr.力丸流
プログラム
其の1 重症化しやすい人ってどんな人?
其の2 もっとも重要なバイタルサインは?
其の3 そうだ、いつだってABC(前編)
其の4 そうだ、いつだってABC(後編)
其の5 早期発見につなげるモニタリング
▼詳しくはこちらから
Dr.力丸の3ステップ法で驚くほどカンタンに、読めるようになる!
プログラム
1.人工呼吸器初期設定と基本的換気モード
■初期設定のガイドライン
■基本的な換気モードを理解しよう
■圧と量の関係性
2.人工呼吸器設定と血液ガス
■初期設定後の微調整
■人工呼吸中のPaCO2は正常化を目指さない
■適切なCO2コントロール(超難問)
3.換気メカニクス
■換気メカニクスの評価
■拘束性肺疾患の呼吸管理
■拘束性肺疾患の換気管理
▼詳しくはこちらから
講師が執筆された書籍の紹介
機種やモードに振り回されない! Dr.力丸が人工呼吸管理のきほんを徹底解説!
発行:2013年4月
A5判 148頁
2,200円(税込)
ISBN:978-4-8404-4508-5
▼詳しくはこちらから
ココさえ押さえれば怖くない!Dr.力丸が血液ガスのきほんを徹底解説!
発行:2016年2月
A5判 128頁
2,200円(税込)
ISBN:978-4-8404-5438-4
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