第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

※上部のサムネイルをクリックして視聴できます。
※視聴にはメディカIDが必要です。メディカIDをお持ちの方はログインしてそのままご視聴ください。




講師
中西秀彦
北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 先端医療領域開発部門新生児集中治療医学教授

<セミナーはこんな内容>
血液ガスって何? たくさん呼吸器の種類があって区別がつかない、なぜSpO2が低下しているの?
…などのギモンを解決!
呼吸生理の基本から応用まで適切な呼吸管理の知識を習得しよう。


配信|CHAPTER 3: 代表的な新生児呼吸管理法


続きましては、呼吸疾患に関連した薬剤の話をしていきたいと思います。

そのなかで酸素投与であったり、人工肺サーファクタント、カフェイン製剤、ステロイド、そして一酸化窒素吸入療法といったような、NICUにおける代表的な重要な薬物についてお話をします。

新生児呼吸管理のすべて01


まず酸素投与ですが、酸素というものは低酸素血症による臓器障害を予防する効果があって、酸素は非常に強力な肺血管拡張作用をもっているんですね。

投与基準は、例えば蘇生時は効果的な人工呼吸にもかかわらず状態が改善しない場合、また呼吸管理中にSpO2が低下していたり、血液ガスを元に量を調節する必要がある場合、そして無呼吸の場合は酸素を投与するのですが、酸素は呼吸中枢を賦活化するといわれているんですね。このようなときに酸素を投与することによって酸素が回復していきます。

ただ注意点があります。酸素というのは、なんでもよいわけではなくて諸刃の刃といわれています。赤ちゃんのそのときの成長具合によっては慢性肺疾患を助長したり、重症の未熟児網膜症(ROP)を助長させたりするような危険性があるので非常に注意を要します。

新生児呼吸管理のすべて02


例えばこのスライドのモニターを見てどう思われるでしょうか?

赤ちゃんの心拍数は保たれていて、呼吸のリズムも少し不整がありますがだいたい落ち着いていて、血圧も安定している。

ただ、酸素飽和度(SpO2)が100%なんですね。この赤ちゃんはだいたい25%の濃度の酸素投与がされていました。じゃあ様子を見ようかというところなんですが、これは注意を要するのです。

新生児呼吸管理のすべて03


それはどういうことかというと、以前のチャプターでヘモグロビン酸素解離曲線というものを示して、例えば酸素飽和度98%だと酸素分圧は100mmHg、酸素飽和度90%だと酸素分圧は60mmHgといった大まかな目安の話をしましたが、つまり、酸素分圧の高いところを見ていただくと100mmHgから先のところ、じつはわからないんですね(無限大??)。

そのため酸素飽和度98%とか100%を呈しているときの酸素分圧というのは、わからないんです。無限大に高い可能性もあります。

だから酸素飽和度が高い環境では、過剰な酸素に暴露されている危険性があるということだけは理解しておいてください。

つまり酸素投与下の赤ちゃんの場合は安易に酸素飽和度100%という数字を見逃してはいけないということです。ルームエアーはそれ以上は下げることができないので別ですが、酸素投与下における酸素飽和度が100%というのは行き過ぎではないかというところなのです。

新生児呼吸管理のすべて04


次のスライドは至適なSpO2を維持しようということを示すもので、横軸が児の成熟度で、縦軸が至適濃度ですが、至適濃度は児が未熟であればあるほど難しく、至適濃度の範囲が狭いです。そして児が成熟していくにつれて許容範囲が広がっていくということを表しています。

このように成熟度が未熟な赤ちゃんの場合に酸素を過剰投与すると、先ほどお話ししたような未熟児網膜症や慢性肺疾患が悪化します

そして逆にもっと酸素を絞ってSpO280%くらいが良いのかというとそうではなくて、酸素不足だと組織の酸素化が悪くなって死亡率の上昇、壊死性腸炎、中枢障害が起きたという報告も多々ありますので、適切な至適濃度の範囲を保つということが必要です。

一般的には90~95%くらいの値で管理しようとすることが多いかなと思います。

新生児呼吸管理のすべて05


続いては人工肺サーファクタントですが、RDS(呼吸窮迫症候群)の特効薬です。これは日本人が世界で初めて実用化に成功した、開発したというところが誇れるところなんですね。

では説明していきましょう。

新生児呼吸管理のすべて06



ログインして動画でご覧いただくと、人工肺サーファクタントカフェイン製剤の解説まで視聴いただけます。また、ご購入いただくとすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。







プログラム

①まずはおさらい! 新生児の呼吸生理
●胎児期から新生児への変化
●呼吸確立に必要な生理適応 ・呼吸様運動 ・肺の構造の成熟 ・肺の機能の成熟
●成人と何が違うのか?
ここでは、児が子宮内環境から子宮外環境にどのように適応していくのかを、イラストや動画を交えて解説します。呼吸管理やケアを実行するためにも呼吸生理を学びましょう。

②スラスラ読める 血液ガス所見
●アルカリ血症と酸血症
●アルカローシスとアシドーシス
●pHの変化
●アニオンギャップって?
●代償性反応とは?
血液ガス分析結果は、児がわれわれに示す訴えそのものです。あなたが新人ナースであっても、これらの結果を正しく評価して、適切な呼吸管理やケアをできなければなりません。ここでは、血ガス所見がスラスラと読めるようになるコツをわかりやすく解説します。

③イラストと図解で納得! いろいろな呼吸管理方法と人工呼吸器モード
●代表的な新生児呼吸管理法
・酸素投与 ・呼吸促進薬 ・サーファクタント投与 ・一酸化窒素吸入療法 など
●人工呼吸器モード
・IMV ・SIMV ・A/C ・VTV ・HFO ・n-CPAP ・HFNC
●グラフィックモニター
ここでは、人工換気、人工呼吸器のしくみについて、イラスト・図解を交えて解説します。苦手意識を克服しましょう!

④どうする? 何する?新生児呼吸疾患これだけは
●呼吸窮迫症候群(RDS)
●新生児一過性多呼吸(TTN)
●胎便吸引症候群(MAS)
●エアリーク症候群
●肺低形成
●未熟性無呼吸発作
●慢性肺疾患(CLD)
●人工呼吸管理中に急にSpO2が低下したら?



セット受講で理解が深まるセミナー


新生児のからだのみかた

【写真 81点】 【画像 27点】 【動画 14点】 でよくわかる!


新生児のからだのみかた


プログラム
生理的特徴
【 いち 】呼吸 編
【 に 】 循環・血液・免疫 編

フィジカルアセスメント
【 さん 】呼吸・循環・胸部 編
【 し 】 腹部・尿路・皮膚・頭部・顔面 編
【 ご 】 背部・四肢・外陰・神経・経時別 編

よくみる症状
【 ろく 】 呼吸障害 編
【 なな 】 心雑音、頻脈/徐脈 編
【 はち 】 チアノーゼ、貧血/多血、四肢冷感 編
【 きゅう 】黄疸、腹部膨満、嘔吐、吐血/下血 編
【 じゅう 】浮腫、体温異常、痙攣、筋緊張異常、not doing well 編
▼詳しくはこちらから